ピーのパパ

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ピーのパパ

経験や知識をいつでも索引できるように。あたまの中に自分なりの図書館を創っていきます。誰かの役に立つとうれしい読書記録。小学校教師。二児の父。

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最近の記事

とにかく馬鹿にしたい。

周囲から笑われている…と思う人へ。 芥川の『鼻』を読んだことがあるだろうか。 端的にまとめてしまえば、以下のような内容である。 顎の下まで届くほどの長い鼻を持った僧は、その鼻故に周囲から嘲笑されている。弟子に箸で持ち上げさせなければ飯を食べられないほどの鼻。バギーもびっくりなデカっ鼻。 そんな僧は、鼻を茹でて、弟子に踏ませて、念願の短い鼻を手にする。 鼻の短くなった僧を見た周囲の人間は、嘲笑する。 寝ていると、僧の鼻が再び長くなる。これでもう馬鹿にされないぞと晴々とした

    • 【小説】『芋粥』芥川龍之介

      周囲から嘲弄され、子どもからも馬鹿にされる。過酷な状況の中にいる五位の微かな夢。 「芋粥を飽きるほど食べたい」 ある年の正月二日、酒の席で自分より地位の高い藤原利仁から言われる。 利仁の権威を誇示したい欲望により五位の夢は【他者の手で】いとも簡単に叶えられてしまう。五位は道中こそ芋粥を楽しみにしていた。しかし、いざ目の前に大量の芋粥が並び、食べるよう勧められた際には と苦しむ。 周囲から嘲弄される過酷な環境の中「芋粥を飽きるほど食べたい」という欲望を大事に守ってきた

      • キラキラしている若人よ

        過去の自分を振り返り思う。 何故、世界は自分の思い通りになると考えていたのか。 頑張れば頑張っただけ報われる。 これだけ一生懸命やったのだから、何か変わるはずだ。 …費用対効果の思考を信じて疑わなかった。 人の悪口は言ってはいけない。 今の苦しい状況は、自分に(あなたに)だからこそ乗り越えられる壁なんだ。 …聖人君主にでもなるつもりか。 そんなの全く馬鹿げている。 ボク達は人なんだ。美しさも醜さも持ち合わせている。 キラキラしている若人よ。 世界はあなたが思っているよ

        • 北風と太陽の寓話は何にでも応用できる話

          『人は聞き方が9割』をkindleで一気読みした。(ビジネス書とサブスクの相性は良い。必要なところだけパパッと読んで、あとは流すという読み方を惜しげも無くできる。) そこでは聞き方の対比として『北風と太陽』の寓話が用いられている。 北風は「自分を押し付ける」、太陽は「相手を考える」というイメージですね。当然、太陽タイプのが良い。人を動かすのではなく、人が動きたくなるように自分が動く。 強さで迫るのではなく、温かさで迫る。 この寓話、子ども相手に大人が話をするとき、結構万

        とにかく馬鹿にしたい。

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        • 【小説】
          11本
        • 【ビジネス書】
          4本
        • 【教育】
          9本
        • 読み返したい記事
          4本
        • 【子育て】
          5本
        • 【映画】
          4本

        記事

          【映画】アバウトタイム

          邦題では〜愛おしい時間について〜という副題がつけられているが、正直蛇足感が否めない。 ただそうした副題がつけられるだけあり、鑑賞後には何気ない日々を愛せるようになること間違いなしだ。(ただし、それには少しコツがいる。もちろん本編にて明かされる) ヒロインを演じるレイチェル・マクアダムスがとにかくかわいいのを差し引いても、大好きな映画。 あらすじをザッと紹介すると、 主人公(ティム)は冴えない青年。 父、母、妹(キットカット)、デズモンドと暮らしている。 21歳の誕生日

          【映画】アバウトタイム

          【小説】『老人と海』ヘミングウェイ

          『海の命』という話を覚えているだろうか。 父ちゃんの仇である瀬の主を殺すのかい?殺さないのかい?どっちなんだい?でお馴染みの作品である。 ちなみにあなたが、1996年度以降に小学6年生を迎えたならば、国語の学習で習っている可能性が高い。(光村図書、東京書籍の教科書に掲載されている) あの物語には与吉じいさという老人が出てくる。彼の「千匹に一匹でいいんだ。千匹いるうち一匹を釣ればずっとこの海で生きていけるよ。」という言葉からは、海と共に生きていこうとする考えが読み取れる。

          【小説】『老人と海』ヘミングウェイ

          憧れのお爺ちゃん先生

          新卒一年目。教師という職業は、怒らなければ成立せぬものだと早々に思わされた。声を荒げて怒るか、ネチネチと嫌味ったらしく言うか。当時の学年団はそんなカラーだった。廊下で説教されている児童の姿を頻繁に見た。「先生、もっと言った方がいいよ。」とよく言われた。怒ることは必要条件なのだと思わずにいられなかった。 新卒二年目。この年の学年主任は、カラッと怒っていた。怒る言葉の最後に、「まったくも〜」という笑みが見られる。そんな明るい雰囲気を醸し出す人だった。昨年の環境が異常だったのだと

          憧れのお爺ちゃん先生

          【珈琲記録】ウガンダ共和国『アフリカンムーンJACKAL』ルウェンゾリ山脈、ナチュラル製法。ハイロースト。果実感のある華やかかつ柔らかい酸味。口当たりが良く飲みやすい。

          【珈琲記録】ウガンダ共和国『アフリカンムーンJACKAL』ルウェンゾリ山脈、ナチュラル製法。ハイロースト。果実感のある華やかかつ柔らかい酸味。口当たりが良く飲みやすい。

          怒りたい人々

          20代半ば以上の方は、平成に流行った『あたしンち』という漫画を知っているだろう。アニメ化もされており、金曜夕方の『あたしンち』→『ドラえもん』→『クレヨンしんちゃん』のゴールデンラインナップを楽しみにしていたあの頃。 『あたしンち』の漫画を今読み返してみると、お母さんはなかなかクレイジーだ。 みかん、ユズヒコに叫び散らすシーンの多いこと多いこと。平成のお茶の間には受け入れられていたが、令和のお茶の間には受け入れられないだろう。(もちろん、個人的には今でも好きだ) ところで

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          【小説】『変身』フランツ・カフカ

          フランツ・カフカは、著書『変身』において不条理に襲われる個人を描いた。 物語の主人公グレゴール・ザムザは、ある朝巨大な毒虫に姿が変わってしまったことに気づく。経済的に厳しい家族をひとりで支えてきたグレゴール。皮肉にも、彼が働けなくなってしまったことで家族の自立を促す結果となる。 毒虫を排除した時(直接手を掛けていない所がリアル)、家族の世界に明るく暖かな兆しが感じ取られ、物語は終わりを迎える。 毒虫が何かしらの比喩というのは明白だ。 引きこもり、心身の障害、要介護者、読み

          【小説】『変身』フランツ・カフカ

          面白がる姿勢

          小学校教員の(特に低学年の)仕事は、「ええ?!」に溢れている。 「先生!コクワガタの死体持ってきたよ!みんなと埋めるから引き出しにしまっとくね!!」 「先生!トイレ行っていいですか!…ぼくも!…わたしも!…×10」 「先生!外行ってきます!!(外は土砂降り)」 この他にも、授業中に突然お漏らししたり、トイレにマーキングしたり、掃除の時間にアーティストになったり、ほかにも言葉が通じないことから起こる数々の「ええ?!」もあるし、枚挙にいとまがない。どうやって「前」を説明し

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          現在の当たり前は否定されていく

          シェイクスピア『ヴェニスの商人』では、キリスト教徒がユダヤ人をひたすらこけ下ろす。ユダヤ人はキリスト教徒に貸した7000万円が返ってこない上に、宗教の自由を奪われてしまう。しかしこの脚本は喜劇として成立している。 こんな非人情な脚本が受け入れられるなど、現在の世の中では考えられないことだ。現在に生きる私たちは『ヴェニスの商人』を見て当時生きていた人々を否定する。 こうした現象は世の常なのだろう。 校舎の中で竹刀を持ち指導していた教師。かつての当たり前だ。現在に生きる私たち

          現在の当たり前は否定されていく

          未来の視点から

          先月2歳になった息子は、よく私を遊びに誘う。 「とーとー」「ぶーぶー」 「よっしゃ、いっちょ遊んでやるか!」と意気込み私は息子と一緒に遊ぶ。 そう。遊んで「やる」のである。 我が家はこどものとも年少版を定期購読している。今月は『カッパのかんた』だ。その中に「絵本の楽しみ」という小冊子もついてくる。そこには『まてまてタクシー』の作者である西村敏雄の原稿が載っていた。西村家の父と息子2人の「ライオン」という遊びが紹介されている。その遊びは息子の成長に父が「参りました」と言って

          未来の視点から

          【珈琲記録】ミャンマー、オレンジサンシャイン。近年、スペシャリティコーヒーの産地として少しずつ人気が出てきているミャンマーの珈琲。オレンジのようなジューシーな酸味とクセのない後味。

          【珈琲記録】ミャンマー、オレンジサンシャイン。近年、スペシャリティコーヒーの産地として少しずつ人気が出てきているミャンマーの珈琲。オレンジのようなジューシーな酸味とクセのない後味。

          父親の役割

          「学校に行けない」という低学年の児童がいる。その児童はこう主張する。 「ママがいれば行ける。」 母親が「子供のために」と思って学校へ付き添う。愛する我が子から「ママがいれば行ける」なんて言われた日には「私がこの子を支えてあげなければ」と思うはずだ。親ならば誰もがついて行ってあげたい気持ちが芽生えるだろう。 そして母親と共に学校へ到着。 母親に促されて教室へ入る。母親が付き添っていることもあり、なんだか得意気だ。その児童が廊下を走る。支援員に注意される。悲しそうな顔をする

          父親の役割

          反応か、行動か。

          ふざけて掃除をしている児童がいる。 「なんでふざけているんだ!もっとちゃんとやれ!」と声を荒げる教師がいる。 こうした声を荒げるタイプの教師は、その場の行動(刺激)に対して「反応」している。 反応というのは受け身の行為だ。 この手の教師は仕事に追われ、その日暮らしで生きているという性質がある。 ふざけて掃除をしている児童がいる。 「おいおい、君にはもっと力があるだろう。本当の力を先生に見せてみろ。」とニヤニヤしながら挑発する教師がいる。 こちらの教師は受け身ではない。ふざけ

          反応か、行動か。