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【現代詩】『 暫(しばらく) 』


『 暫(しばらく) 』


赤黄緑紫



さては今年も

やってきました

自己を実現しようと

砂埃舞う最中

声も荒らげず

静かに登壇

燕尾の羽がいかした、俺様



ー暫(しばらく)ー
だったな


ねえ、お前。おい、話を聞けよ

= 人 間 様 っ て =

どんな風にして面白いの

どんなふにしてお腹を空かすの

どんなふにして

どんなふに…して、ちょいまち

=これは=

ついさっきまで

苦楽を共にしていたはずの友達…

みっともなく八つ裂きにされて

脚が千切れて羽が潰れて

目も当てられない




ご 愁 傷 様 お 疲 れ 様



お前を殺めた犯人は

言うまでもない

その手のままで

玉ねぎ微塵に切り裂いて今

踊るようにチャーハン炒めてる

√お偉い様


奴等ってさ、馬鹿なんだ

賞味期限を過ぎた食材ならば

軽蔑するように葬り去る

恨みを込めて

金繰り(かなぐり)捨てる

そして 皮肉にも

俺等には

あれが、最高。

ありがと、さんきゅう

あれがあるから

また明日だって頑張れる

大袈裟じゃなくお世辞でもなく

これっぽっちの

命の恩を返すには、満たない

本音




ああ、気持ちよく脂で

ぴかぴかに

磨かれた俺様

今にも脳味噌ぶっ飛びそう、な

サンバ踊る胸に蝶ネクタイ

=人間的な深み=

だなんて

馬鹿馬鹿しくって

だって俺は生粋の

ゴキブリ科ゴキブリ目

悪光りしていて、上等

惚れ惚れでござん…はて、お前

何でこっちを見ているんだい

さては、お前さん

たくらんでるだろ

次に生まれ変わったら

俺様みたいな自由気儘で何不自由ない

茶羽根のゴキに

転生したいって

実はどこかで憧れてんだろ




2024ねん
あかきみどりむらさき


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