坂東太郎

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『征服と文化の世界史:民族と文化変容(下)』トマス・ソーウェル著、2004

感想第5章 新大陸のインディアン 単純に良く知られていない事実。 5-1. 地理的条件 これは、ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』で有名な命題。この2つはほぼ…

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5日前
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『征服と文化の世界史:民族と文化変容(中)』トマス・ソーウェル著、2004

感想4章 スラブ人 4-4. ロシア帝国 外国人 現在、日本は中国の経済成長を手助けしたことを悔やむ時期に来ているが、同じことをアメリカが経験していたことは知らなか…

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8日前
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『征服と文化の世界史:民族と文化変容(上)』トマス・ソーウェル著、2004

感想2章は大体知っている話。多少、イギリス国内のウェールズとスコットランドの違いとかが興味深いぐらい。 序文本書は一九九四年のRace and Culture、続く一九九六年の…

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11日前
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『X集客の教科書:500フォロワーで稼げる人10万フォロワーで稼げない人』門口拓也著、KADOKAWA、2023

感想合計の文字数は7万余り。非常に丁寧な説明。 プロローグXなら、どんな人でも稼げる 本書を手に取っている方は、こんなことを考えたことがあるかもしれません。 し…

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11日前
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『政治はどこまで社会保障を変えられるのか:政権交代でわかった政策決定の舞台裏』山井和則著、ミネルヴァ書房,、2014

感想全体・まとめ 構成がちゃんとしていないので、「資料」とかの番号指定のミスが目立つ。 この本は山井和則という人間・政治家を知る上で非常に参考になったし、一般…

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3週間前
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『超巨大旅客機エアバス380』杉浦一機著、平凡社新書、2008

はじめに国際長距離便の機内に乗り込むと、乗客は思い思いに長旅に備えた用意を始める。客室乗務員に毛布や枕を頼んだり、スーツの上着を脱いでラフなカーディガンを羽織…

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1か月前
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"Iron and steel in the Industrial Revolutionby" Thomas Southcliffe Ashton, MA, Lower Volume, 1924

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1か月前
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"Iron and steel in the Industrial Revolutionby" Thomas Southcliffe Ashton, MA, Upper Volumes

感想基本的にはダービー親子とか、ワット、ヘンリー・コートたちの話の詳細。ただ、5章だけは毛色が違って、当時の政治・戦争と貿易政策の関係が論じられているが、これは…

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1か月前
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『大砲からみた幕末・明治:近代化と鋳造技術』中江秀雄著、法政大学出版局、2016

たたらは日本古来の製鉄法。われわれの祖先が営々として築き上げた日本独自の製鉄法で、千年以上の歴史をもつ。たたら操業には日本刀などの鋼を造る鍛押しと、鉄鋳物の原料…

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2か月前
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『兵器市場:国際疑獄の構造 下』アンソニ・サンプソン著、TBSブリタニカ1977

読書感想文この本は上下からなっているが、自分にとっては12章のカリフォルニアという割と日本人になじみ深い地域が軍需産業のメッカだったこと、13章が日本の所謂ロッキー…

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2か月前
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『兵器市場:国際疑獄の構造 上』アンソニ・サンプソン著、TBSブリタニカ1977

日本語版に寄せて私は兵器の国際取引きについて調べ始めたころ、日本がこの問題について、きわめて重要な光を当てられることに気づいた。それは二つの大きな理由による。 …

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2か月前
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『アメリカの巨大軍需産業』広瀬隆著、集英社、2001

べルリンの壁が崩壊し、東西対立の構図が消滅するとともに、アメリカの軍需産業は大統合に向かった。本書は、三〇兆円もの膨大な国防予算を背景に、各企業がますますその…

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3か月前
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『現代戦略論:大国間競争時代の安全保障』高橋杉雄著、並木書房、2023

はじめに2022年は歴史に残る年となった。2月24日にロシアがウクライナに侵攻し、ロシア・ウクライナ戦争が始まったのである。これは、戦域の広さ、参加兵力の大きさ、国際…

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4か月前
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『現代の航空戦:湾岸戦争』リチャード・P・ハリオン著、2000

感想1段落が長すぎる。 序本書は、ペルシャ湾岸戦争の遠因、経緯、及ぼした影響等を総括した権威ある歴史書ではない。この戦争が一段落して日も浅く、どの国も一次史料を…

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4か月前
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『極超音速ミサイル入門』能勢伸之著、イカロス出版、2021

はじめに~忍び寄る影、新たな脅威、極超音速ミサイルとは~本書のテーマは、中国、ロシアが開発・配備を先行し、米国その他の国々がその後を追う、新たなる兵器「極超音速ミ…

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4か月前
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『最貧困シングルマザー』鈴木大介著、朝日新聞出版、2015

プロローグ2009年ほどメディア上でシングルマザーの経済的窮状が報じられたことはなかったように思う。4月に自公政権下で廃止された生活保護の「母子加算」。これを復活さ…

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5か月前
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『征服と文化の世界史:民族と文化変容(下)』トマス・ソーウェル著、2004



感想第5章 新大陸のインディアン

単純に良く知られていない事実。

5-1. 地理的条件

これは、ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』で有名な命題。この2つはほぼ同時期に出版されている。

第6章 総括

6-1. 富の創出における差異

なるほど、著者の出発点・起点がマルクス主義だとするなら、搾取理論云々を議論するのも当然だし、その代替案として人的資本とか自然環境をもってくるのも当然

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『征服と文化の世界史:民族と文化変容(中)』トマス・ソーウェル著、2004


感想4章 スラブ人

4-4. ロシア帝国

外国人

現在、日本は中国の経済成長を手助けしたことを悔やむ時期に来ているが、同じことをアメリカが経験していたことは知らなかった…人間は本当に歴史に学ばないものである…

別の見方をすれば、上で挙げられているような、技術が確立されており、所謂「装置産業」というものは、社会主義・共産主義国でも比較的導入が容易であることも伺える。これまた、70年代以降の

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『征服と文化の世界史:民族と文化変容(上)』トマス・ソーウェル著、2004


感想2章は大体知っている話。多少、イギリス国内のウェールズとスコットランドの違いとかが興味深いぐらい。

序文本書は一九九四年のRace and Culture、続く一九九六年のMigrations and Culturesの三部作の完結編である。この三部作はすべて、一九八二年から書き始めた本来一つの膨大な原稿であった。九〇年代に入り、最初はそうしようと思ったものの、1冊の本とするにはあまりに大

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『X集客の教科書:500フォロワーで稼げる人10万フォロワーで稼げない人』門口拓也著、KADOKAWA、2023


感想合計の文字数は7万余り。非常に丁寧な説明。

プロローグXなら、どんな人でも稼げる

本書を手に取っている方は、こんなことを考えたことがあるかもしれません。

しかし実際には、Xで稼ぐ方法は再現性が高く、どんな人でも少ないフォロワーで、お小遣い程度から本業以上までのお金を稼ぐことが可能です。

X集客には、成功者しか知らない「勝ちパターン」があります。
そして自己流で失敗する人には、共通の「

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『政治はどこまで社会保障を変えられるのか:政権交代でわかった政策決定の舞台裏』山井和則著、ミネルヴァ書房,、2014


感想全体・まとめ

構成がちゃんとしていないので、「資料」とかの番号指定のミスが目立つ。

この本は山井和則という人間・政治家を知る上で非常に参考になったし、一般論としても勉強になった。

下の部分でも書いたが、彼は独善性が強いと思う。また、彼が正しいことを主張し、それを実行しようとしているとしても、その経過(プロセス)においては周りの人を巻き込み、説得し、受け入れてもらう(あるいは、敢えて反対

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『超巨大旅客機エアバス380』杉浦一機著、平凡社新書、2008


はじめに国際長距離便の機内に乗り込むと、乗客は思い思いに長旅に備えた用意を始める。客室乗務員に毛布や枕を頼んだり、スーツの上着を脱いでラフなカーディガンを羽織ったり、ローションを塗るなどさまざまだ。

離陸して三〇分も経つと、機内サービスが始まる。料理が温まるまでのつなぎを兼ねて食前酒がふるまわれ、乗客はツマミを片手に好きなワインやビールを味わう。心地よい酔いが身体を包み始めるころに機内食が配膳

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"Iron and steel in the Industrial Revolutionby" Thomas Southcliffe Ashton, MA, Upper Volumes

感想基本的にはダービー親子とか、ワット、ヘンリー・コートたちの話の詳細。ただ、5章だけは毛色が違って、当時の政治・戦争と貿易政策の関係が論じられているが、これは珍しい気がする。

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『大砲からみた幕末・明治:近代化と鋳造技術』中江秀雄著、法政大学出版局、2016

たたらは日本古来の製鉄法。われわれの祖先が営々として築き上げた日本独自の製鉄法で、千年以上の歴史をもつ。たたら操業には日本刀などの鋼を造る鍛押しと、鉄鋳物の原料である銑鉄を造る鉧(けら)押しがある。
この写真のたたらは日刀保たたらで、現代の刀工にその原料である玉鋼を供給することを目的に操業されている。したがって、もちろん、鉧押しである。鉧押しでは三日三晩操業した後にたたら炉を取り壊して、その中から

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『兵器市場:国際疑獄の構造 下』アンソニ・サンプソン著、TBSブリタニカ1977

読書感想文この本は上下からなっているが、自分にとっては12章のカリフォルニアという割と日本人になじみ深い地域が軍需産業のメッカだったこと、13章が日本の所謂ロッキード事件だったこと、14章の70年代半ばにイランに米軍需産業が入れ込んだことが79年の革命との対比であまりに皮肉だったことなどから、下巻の方がはるかに印象に残った。まあ、単純に時代が現代に近いということでもある。やはり、WW2なんかは完全

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『兵器市場:国際疑獄の構造 上』アンソニ・サンプソン著、TBSブリタニカ1977


日本語版に寄せて私は兵器の国際取引きについて調べ始めたころ、日本がこの問題について、きわめて重要な光を当てられることに気づいた。それは二つの大きな理由による。

きわめて明白なことだが、第1に日本は軍事、民間計画を含め、ロッキード事件が最も目立ち、広範囲にわたった国だということである。東京における贈賄行為の暴露によって、多国籍企業の工作がユニークにも観察された。それに続く日本の捜査と裁判によって

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『アメリカの巨大軍需産業』広瀬隆著、集英社、2001


べルリンの壁が崩壊し、東西対立の構図が消滅するとともに、アメリカの軍需産業は大統合に向かった。本書は、三〇兆円もの膨大な国防予算を背景に、各企業がますますその経営を合理化していった謎を解き明かす。

九九年のNATO軍によるユーゴ空爆などの地域紛争は、従来、民族対立によるものと理解されてきたが、そこに常に介在していたアメリカ製兵器の持つ意味について言及されることはなかった。

膨大な資料を分析す

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『現代戦略論:大国間競争時代の安全保障』高橋杉雄著、並木書房、2023


はじめに2022年は歴史に残る年となった。2月24日にロシアがウクライナに侵攻し、ロシア・ウクライナ戦争が始まったのである。これは、戦域の広さ、参加兵力の大きさ、国際社会の関わりなど、多くの点で、21世紀や冷戦終結後どころか、第二次世界大戦後最大級の戦争となっている。

特に現代の問題を扱う安全保障の専門家にとって、同時代史は必須の知識であり、「20XX年には何があったか?」と問われれば何かしら

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『現代の航空戦:湾岸戦争』リチャード・P・ハリオン著、2000


感想1段落が長すぎる。

序本書は、ペルシャ湾岸戦争の遠因、経緯、及ぼした影響等を総括した権威ある歴史書ではない。この戦争が一段落して日も浅く、どの国も一次史料を大々的には公開してはいないので、まだこの戦いの「歴史」を書き得る時期ではないのである。したがって、サダム・フセインがクウェートに侵攻し撤退を拒んだ理由を解明しようとしたものとはなっていない。湾岸危機を外交の面から追ったものでもないし、ク

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『極超音速ミサイル入門』能勢伸之著、イカロス出版、2021

はじめに~忍び寄る影、新たな脅威、極超音速ミサイルとは~本書のテーマは、中国、ロシアが開発・配備を先行し、米国その他の国々がその後を追う、新たなる兵器「極超音速ミサイル」である。

極超音速ミサイルの「極超音速」とはマッハ5以上つまり、音速の5倍以上の速さのことだが、一般にロケット・ブースターで打ち上げ、標的目指して落下する弾道ミサイルでも、極超音速に到達する。そして極超音速ミサイルは、弾道ミサイ

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『最貧困シングルマザー』鈴木大介著、朝日新聞出版、2015


プロローグ2009年ほどメディア上でシングルマザーの経済的窮状が報じられたことはなかったように思う。4月に自公政権下で廃止された生活保護の「母子加算」。これを復活させるかの論議に加え、緊急経済支援であった「子育て応援特別手当」の執行停止も論議を呼んだ(母子加算は09年12月に復活)。だがそんなニュースを、僕は寒々とした思いで聞いていた。

僕の前著は、親元や児童養護施設などを長期間にわたって飛び

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