『大砲からみた幕末・明治:近代化と鋳造技術』中江秀雄著、法政大学出版局、2016

日刀保たたらで炉を取り壊しての鍛取出し作業

たたらは日本古来の製鉄法。われわれの祖先が営々として築き上げた日本独自の製鉄法で、千年以上の歴史をもつ。たたら操業には日本刀などの鋼を造る鍛押しと、鉄鋳物の原料である銑鉄を造る鉧(けら)押しがある。
この写真のたたらは日刀保たたらで、現代の刀工にその原料である玉鋼を供給することを目的に操業されている。したがって、もちろん、鉧押しである。鉧押しでは三日三晩操業した後にたたら炉を取り壊して、その中から鍋を取出す。まさに、その炉の取り壊しの瞬間の写真がこれである。

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