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2024年1月の記事一覧

短編小説 | 枯れ枝と椿

短編小説 | 枯れ枝と椿

 ミニストップに集まってはハロハロを食べた。そんな10代を過ごしていた。

 遅く目覚めた朝に、白い遮光遮熱のカーテンが眩しいくらいに光っている日は、なぜだか気持ちの奥の方がじゅわっとする。
 家にいてはいけない、そんな気がする。だから電車に乗って、車内の暖房と、窓からの日差しにあたためられながら、どこへ向かうともなく、どこかへ行こうと思った。

 もしも電車で、自分の右隣に座る人を、自由に選べる

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方法論

方法論

感情の優先順位に悩む
愛と憎しみのシーソー
揺るがりやすさが先導する

本当に欲しいものはなに
選択の天秤が差し迫る
本当はわかってるくせに
わざとらしさを隠さない

誰かに探して欲しくて
見つからないように
見つかるように隠してる
誰も気づかないと知りながら…

わからなさを尊重している

どうすればいいのでしょう
そのまま出てしまう行動は
誰もが受け入れがたいもの
選べないと言いながら
優柔不

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短編小説 | 眠らない

短編小説 | 眠らない

 雨。
 三人がけのソファをベッド代わりにしている。薄い毛布にくるまって目を閉じる。
 足を伸ばしてもソファの端から端にすっぽりと収まる僕のからだは、同じ年頃の同性と比べて大きいのか小さいのか、よくわからない。
 人に会わなくなって、人と自分を比べることもなくなったら、自分のことがよくわからなくなった。

 目を瞑り、ソファに収まって、耳だけは知らない誰かが発することばを聞いている。
 誰かは恋愛

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希望的に希望の詩。

希望的に希望の詩。

任されるべくして任された残業を終えての帰り道。

休日のバスの本数は激減するのは知っている。
そのバスが目の前を行くのを見て次のバスは座れるという希望。

MAXの待ち時間。
スマートフォンを好きなだけ弄れるという希望。

スマートフォンを弄りながら、夕飯にマクドナルドと思いきや、朝に食べていたのを思い出し、食を偏らなく出来た希望。

「朝も食ってたな」
とうっかり漏れた独り言を、バスの待ち時間M

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もしもデザートがティラミスなら。【青豆ノノ氏cover小説】

もしもデザートがティラミスなら。【青豆ノノ氏cover小説】

青豆氏を知った初期段階で読ませていただいた作品をcoverさせていただきます✨️もちろんリスペクトを込めて✨️

『はい?』
わたしの素っ頓狂な声と顔で、郵便局員はもう一度言う事にした様だ。
「336円です」
『ぬぅぁんで!着払いなのよぉぉぉぉぉぉ!!!!』
わたしの大声に郵便局員は端末操作を誤ったようで、電子音が忙しく訂正をしている。
送料込が基本の取引サイトでの、着払い設定だと……。
ふつふつ

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短編小説 | いつまでもあなたを | カバー小説

短編小説 | いつまでもあなたを | カバー小説

一冊の本を埋めた。誰からの便りも途絶え、使われなくなった、古びたポストの横だ。
365日書き続け、真っ白だった本のページが全て私の字で埋め尽くされた今日、一冊の本を埋めるには大きすぎるくらいの穴を掘って、私はそこに、本を埋めたのだ。

本を埋めた日から、私は毎日水やりをした。
本であろうが、なにであろうが、土に埋めたものには水をやる。そうすることは、私の気を紛らわせるから。
「もしかして、本当に埋

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海の底

海の底

誰からも忘れられて
時間さえもわからなくて
黒いまま重みは忘れてる

何も知らないが許される場所

そこに光は届かないから
光なんて誰も知らないから
海水が空気のように
風になって揺らいでるだけ

前も後ろも見なくていい
北とか南とか知らなくていい
誰かより偉くなったり
優れたりしなくていい

私とかすら存在しない場所

そこに束縛は必要ないから
限られたものもないから
自由の空気のように
命のま

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ともそうびのともしび

ともそうびのともしび

あたりをあかるくする
そんなあたたかさが
かくそうとしていた
きもちさえも
あたためてくれる
じぶんでは
つけられない
こころのともしび
ぐうぜんかも
しれないけど
あなたのともしびが
いまのおもいを
すくいあげる
じぶんではできない
かなしみをやさしく
いやしてくれるから
ふしぎなかんじで
おどろいてしまう
なんとなくわらってしまう
あなたはともしび
だれかがともしてほしい
そんなときに
ともそ

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今日が雨なら。【青豆ノノ氏cover小説】

今日が雨なら。【青豆ノノ氏cover小説】

青豆氏がトライしている『カバー小説』が非常に勉強になるという事で、企画に参加する度胸も文才もない故に無理を言って青豆ノノ氏の承諾を得て『練習』させてもらうことに。(笑)

下記、原作をまくらがcoverする。
おいおい、正気か?
わたし如きが青豆氏のあの空気感をcover?とちゃんちゃらおかしいが、やってみたい気持ちの方が強くなってしまった。

青豆氏から背中を押して頂いて企画に参加してみることに

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はじまろうとしている

はじまろうとしている

思いが
手から
溢れて
綺麗に
失って
なにも
ないと
涙すら
消える
なにも
なくて
周りを
見たら
全ての
始まり
みんな
今から
全てを
始める
だから
溢れは
再生の
始まり
失うと
怖れる
必要は
ないと
無言で
青空は
教えて
くれる
なにも
なくて
なにも
ないの
だから
始まり
進んで
行くの
全てを
始めて
全てが
初めて
昨日と
等しい
青空を
見ない
ように
いつも
全てが

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この世界は

この世界は

この世界は
寒すぎるけど
向かい風に
抗わないと
生きていけないから
立ち向かい
目を開いて
真っ直ぐ前を
見ないといけない

すぐに迷うから
見えるだけでなく
信じる方へと
歩んでいく
その1歩を
まずは踏み出そう
すぐに振り返りたく
なってしまうけど
前だけを
ただ前だけを
見つめながら
2歩3歩と
たしかな歩みを
刻んでいこう

歩みをいつの日か
優しく振り返れる
そんな時が来たら
きっと言

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短編小説 | 駄文

短編小説 | 駄文

温めたフライパンに油をひいて、たまごをひとつ、ふたつと落としていく。この時に「ジュッ、ジュッ」という音が聞こえる人はそこそこいるのだ。だけどその次からは、油がぱちぱち言う音が気になったり、ヘラでいじくる音が気になったり、再び点火されるガスコンロの音が気になったり、それぞれなんだろう。

たまごに火が通って色が変わる。
目玉焼きを二つ並べたらハートになったと言う人があれば、おっぱいみたいという人もい

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大空

大空

いつからだろう
空を見上げるのを
忘れてしまったのは
目の前にあること
声をかけられ
そちらばかり
見ていたこと
日々を越えるのに
必死だった

いつの間にか
自分が置いてきぼり
どう思い何を感じるか
後まわしになってた
立ち止まる必要
周りを見る余裕
知らずに視野を狭く
目の前をただ真っ直ぐ
それが逃げてない
証明と信じていた

足をとめたのは
景色が広がる川辺
そびえ立つ山々には
白い季節を告

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大切なもの  #シロクマ文芸部

大切なもの  #シロクマ文芸部

新しい記憶を手に入れた。
何もかも新鮮で刺激的に感じられる。

でも、

どんな場所に行っても、どんなに高級な食事をしても、どんなに高価なものを身に纏っても、どんなに素敵な異性と時間を過ごしても、心が満たされない。

本当に大切なものが何か覚えていないから。

何でも新しければ良いというものではないらしい。

出来ることなら取り戻したい。
#シロクマ文芸部