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お花見note🌸🌻

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2021年。お花見企画【春】【夏】投稿作品をまとめています。次回の開催もお楽しみに!
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#小説

お花見note*2021夏【終了】

お花見note*2021夏【終了】

皆さまお待たせいたしました!お花見企画第2弾のお誘いです。

春に実施したお花見企画。「お花を一緒に楽しむのは桜の時期だけじゃなくてもいいんじゃないか」ということで!今回も一緒にnoteでお花見を楽しめたらいいなと思っています。ご参加お待ちしております!

【企画内容】
ヒマワリが登場する物語(ショートストーリー)を募集します。そして、お気に入りのヒマワリの写真(又はイラスト)を記事に貼ってくださ

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サニー・サイドエッグ・シンドローム

サニー・サイドエッグ・シンドローム

 容赦なく照りつける日差しが、夏の訪れを知らせていた。この季節、ふとした拍子に頭の中でパッと思い浮かぶ光景がある。あの時も満ち足りた気持ちだったはずなのに、理由もなく心が揺らいだ。みんな若かったのだ、たぶん。

*

<過去のさる夏の日のこと>

 カラカラと扇風機が回っている。僕の隣では時折「くぁ」と寝息ともいびきともわからぬ声が聞こえてきた。いつの間にかブランケットが隅に追いやられている。風邪

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夏の花見をいつまでも 第560話・8.5

夏の花見をいつまでも 第560話・8.5

 容赦なく照りつける日差しが、夏の訪れを知らせていた。一面に咲くヒマワリが、すうっと吹き抜けていく風に身体を揺らす。
「なんで桜だけが、花見なんだろう」

 多くの大人たちが全く疑問に思わないことを、目の前のヒマワリに問いてみる。もちろん返事はない。と思ったらヒマワリが大きく動いた?
「今は風がないのになぜ動くの?」それに私は体がびくついた。そしたら嬉しそうに笑う和夫君が、ヒマワリの間から顔を出す

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🌻お花見note*夏🌻『まる』

🌻お花見note*夏🌻『まる』

容赦なく照りつける日差しが、夏の訪れを知らせていた。

「暑いね」
「梅雨が明けたね。ね、知ってる?」
彼女は時々こう聞いて、その後に突拍子もないことを続ける。

「ミニヒマワリの真ん中のところ、一つ一つが輪っかになってるんだよ」
「え?」
ほらきた。でも彼女はかまわず続ける。

「その輪っか、大体は○だけど、たまに♡もあるんだって」
もう、”へぇ~”としか言いようがない。

本当に日差しが容赦な

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【小説】noteでお花見

【小説】noteでお花見

風がひとひらの花びらを運んできた。私は、髪に付いた桃色のそれを指でそっと摘む。畑仕事の手を休め、風上へ顔をむけると訪ねてきたのは山のふもとに住むおばあだった。

(上記の続編になります)

無造作に新聞で包まれた桜はそのほとんどが姿を見せている。

「わぁ!綺麗。どうしたんですか?」
「お土産ぇ。うちの山に咲いてたんさ、こっちの桜はまだやろう?」

いつもなにくれと世話を焼き、それでいてほどよい距

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短編小説:月下の花見、私の彼氏

短編小説:月下の花見、私の彼氏

 羽のように軽い風が、ひとひらの花びらを運んできた。私は髪に付いた桃色のそれを、指でそっと摘む。ああ、今年もこの季節が来てしまったか。冬から春へのちょうど変わり目の時期は、それまでの気温がまるで嘘かのように体をポカポカと温めてくれる。たくさんの人たちが新しい気持ちで始まりに臨むことだろう。その中で、私の心だけがひとつ置いてけぼりにされてしまうのだ。

*

 私の家族は母と父と私、それから母の父に

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故郷の桜@小説noteでお花見

故郷の桜@小説noteでお花見

#お花見note

4月30日までのこちらの企画に
もう一度参加させて頂こうと思います

***

風がひとひらの花びらを運んできた。
私は、髪に付いた桃色のそれを指でそっと摘む。

河川沿いの桜並木と河の上を泳ぐ鯉のぼりが映し出される画面の下に流れる文字が、音楽に合わせ色を変えてゆくのを目で追いながら

「この歌、カラオケがあったんだ」とつぶやいていた

「はっ? 部長 何言ってんですか 自分で

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【noteでお花見】桜 ワンシーン小説

【noteでお花見】桜 ワンシーン小説

yuca.さんの『小説noteでお花見』に参加させて頂きます^^

指定の冒頭と最後
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風がひとひらの花びらを運んできた。私は、髪に付いた桃色のそれを指でそっと摘む。
《フリー》
満開の桜を眺めた。
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を使って小説のワンシーンを書く。ということで、
さっそくこちらを書いてみました!

風がひとひらの花びらを運んできた。私は、髪に付いた桃色のそれを指でそっ

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【小説】noteでお花見

【小説】noteでお花見

風がひとひらの花びらを運んできた。
私は、髪に付いた桃色のそれを指でそっと摘む。

桃、梅、桜、足元では水仙が咲いている。
長く厳しい冬を超え、雪深い寒冷地に訪れる春。

冬の間はまるで枯れたかのように見える枝先にほんのり、しかし確実に色がおびる。

一雨ごと、山は息をふきかえす。

植物たちもその訪れを待っていたかのように一斉に花が咲き誇る。

ああ、春だ。山にもやっと春が来た。
長らく待ち望ん

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櫻の花は今が盛り(ショートストーリー)

櫻の花は今が盛り(ショートストーリー)

風がひとひらの花びらを運んできた。私は、髪に付いた桃色のそれを指でそっと摘む。

「…ん…」
私の指の気配に気付いた彼が、少し顔を歪ませた後、薄く目を開けた。
「あ、起こしちゃったね」
私はそう言い、自分の太ももの上にのった彼の頭をゆっくりと撫でる。
「桜の花びらがついてたからとったのよ」
「そっか…俺、ずっと寝てたんだね」
彼は呟いて、大きなあくびをした。うららかな春の日差しが、彼を優しく包んで

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寅吉とじいちゃんの約束【ある春の物語】

寅吉とじいちゃんの約束【ある春の物語】

風がひとひらの花びらを運んできた。

私は、髪に付いた桃色のそれを指でそっと摘む。

そして、寅吉の頭の上に置いてみた。

うん。よく似合う。

寅吉は、じいちゃんが飼っている柴犬だ。

正確に言えば、“飼っていた“柴犬だ。

今日はじいちゃんの葬儀で、朝から母さんと叔母さんが準備に追われている。
もうすぐばあちゃんも施設から一時帰宅するそうだ。

私はなんだか居場所がなくて、大きな桜の木が鎮座す

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【お花見企画】小説noteでお花見!

【お花見企画】小説noteでお花見!

桜もそろそろ見納めの時期ではありますが、
偶然こんな企画を見つけました。

桜との風景を小説のワンシーンにして、
お気に入りの桜の写真を記事にする。

noteで一緒にお花見って素敵!

そう思って遅ればせながら企画に参加させて
いただくことにしました。

確かに春といえばお花見!
でも、このご時世ですとなかなかできないですよね。
なのでnoteでお花見というのは
素敵な企画だなと思いました。

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図書館帰りのお花見

図書館帰りのお花見

風がひとひらの花びらを運んできた。私は、髪に付いた桃色のそれを指でそっと摘む。
「あの人元気かしらね」私は、突然図書館に来なくなった男性を思い出した。

ーーーーー

「こちら3冊を借りられますね。わかりました」私の職業は図書館の司書。
 私がこの仕事をしている数年前からいつも図書館にくる男性が気になっていた。それは1月半ほど前から姿を全く見なくなっていたから。

 この日もその人は姿を見せない。

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「さくらベンチ」           ~小説noteでお花見企画~🌸

「さくらベンチ」           ~小説noteでお花見企画~🌸

風がひとひらの花びらを運んできた。
私は、髪に付いた桃色のそれを指でそっと摘む。

土手に続くゆるい坂道、自転車押しながら
家までの道、遠回りして送ってくれたね。
河原の季節の移ろいを感じながら、いろんな話しをして歩いた日々に
終わりが近いことを、桃色の花びらがそっと告げてるように感じて
ぐーをしたままホールドした。

「桜、今年も綺麗だったね」という横顔の向こうに
散り染めの桜並木がうつる。

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