旅野そよかぜ@ほぼ毎日小説 

2020年1月からほぼ毎日のペースで掌編・短編小説を執筆中。スキを押してくれると嬉しい…

旅野そよかぜ@ほぼ毎日小説 

2020年1月からほぼ毎日のペースで掌編・短編小説を執筆中。スキを押してくれると嬉しいです。https://twitter.com/2018kumakuma

マガジン

  • 日々掌編短編小説(そよかぜの千夜一夜物語)

    2020年1月1日から、ほぼ毎日掌編小説を執筆中。東南アジア小説をはじめ、興味のあるあらゆるジャンルをネタにして作品を発表しています。ちなみにこちらには「書き下ろし」としてしばらくの間、無料公開。後日推敲を重ねた完全版が電子書籍化する際に有料設定となります。

  • シリーズ都道府県

    掌編・短編小説のうち 都道府県をテーマにした旅の作品を毎週格納します

最近の記事

8月27日は ジェラートの日

「食べたいがどこにある?」無性にジェラートが食べたくなってきた。冷凍庫には似たものといえるアイスクリームやシャーベットが入っている。 ところがこの時はなぜかジェラートが無性に食べたくなったのだ。外は雲ひとつない晴れ空、外に出たら確実に暑さで参ってしまうことは間違いない。 それでもジェラートが食べたいとの想いから出かけたが、外に出ればいきなりの暑さに後悔した。 この暑さは殺人的で、どんどん体から汗がにじみ出る。するとあれだけ「ジェラート」と思っていたのに冷たいものなら何で

    • 8月26日は ユースホステルの日とレインボーブリッジの日

      「まさかユースホステルに泊まることになるとはな」男がいるのは東京湾である。  ちょうど夕日がきれいな時間帯に目前に見えるのはレインボーブリッジだ。男は出張に来ていたが、仕事が終わった時ちょうど夕暮れ時だったから、夕日を眺めながら若い時に旅をしていたころを思い出していた。  若い頃、とにかく安く泊まれるユースホステルを良く活用している。だが男は大人になり、安定した収入が入るようになると、ビジネスホテルの利用に切り替わり、ユースホステルの利用は自然と無くなっていた。  今回

      • ヒマワリへ

         ヒマワリへ向かって歩くのは、伊豆萌と蒲生久美子のふたり。このふたりは職場の先輩と後輩で、プライベートでは同棲している間柄。お揃いの麦わら帽をかぶっている。 「久美子さん、確かもう少しだったはずです」萌に先導されるようについていく久美子は疲れた表情を見せる。「ねえ、萌ちゃん、こんな暑い日にわざわざ行くことないじゃない」そう言いながらハンカチを顔に当てる。萌も額に汗をかいているが、目標がすぐ近いとみて必死で探した。 「あ、あ、ありました!」萌が大声を出す。久美子が萌のその先

        • 8月24日はドレッシングとバニラヨーグルトの日

           新鮮な野菜をいっぱい買ってきたので、サラダで食べることにした。  皿に盛り付けて後はドレッシングをかければと言う段階で、ドレッシングが家に無いことに気づいた。 「そっか、この前ドレッシングを使い込んだ。となればマヨネーズ」と思ったが、あろうことかマヨネーズも使い切って無いのだ。 「塩かけようか?」とも思いつつ、せっかくだから普段かけないものにしようとなり、冷蔵庫を探してみる。 「どうだろう」と見つけたのがバニラヨーグルトだ。どんな味なのか想像はつくものの、果たして野

        8月27日は ジェラートの日

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        • 日々掌編短編小説(そよかぜの千夜一夜物語)
          957本
        • シリーズ都道府県
          86本

        記事

          8月23日は油の日

           油を買いにスーパーに行く。  油なら何でもよいと思ったが、スーパーに来てみるといろんな油があることに今更ながら気づいた。  食べ物に使うものだからサラダ油で間違いないと思ったが、その横でさらに存在感を発揮しているキャノーラ油が非常に気になって仕方がない。  どう違うのかよくわからないなと思っていたら、「こめ油」と言うのまであるではないか!  そうなると油を買いに来たのに、その目的よりも後どんな油があるのか確かめたくなってしまった。するとごま油がある。ごま油をみると、こ

          チクタク水兵さん

          「水兵になりたいだと!兵隊は殺し合いが職業だ。絶対やめておけ」親に強く言われたのは、みんなから「チクタク」という愛称で呼ばれている千曲匠海(ちくまたくみ)である。  チクタクは悔しかった。名前に「海」が付いている為だろうか、物心ついた時から海が好きだ。海に関係する仕事へのあこがれを募らせる。いよいよ自らの職業を決める年齢に達した。  海の仕事と言えば漁師、あるいは定期船の操縦士などがあるだろう。  だけど「チクタク」は水兵にあこがれていた。カモメの水兵さんと言う歌を知って

          告白水平線

          「あの、さっきから何探しているの?」女性からの声に男性は黙って海を見ている。男性は同僚の気になる女性とのデートに成功して今日が3回目。それだけではない。今日男性は、女性への告白を本気で考えていた。  それほどまでに惚れた相手の女性も男性に対しては好意的な雰囲気。「どこで告白をするのが良いか」男性の頭の中ではそのことで頭がいっぱいである。 「この場所はいいところだが、記念すべき場所には微妙だ」男性はそう言いながら歩く。 「ねえ、どこに行くんですか?」慌てて後についていく女性

          8月20日は蚊の日

          「まただ」夜寝ていると耳元に聞こえるあの羽を震わせた音、決して飛んでいることを評価しないが、まだ実害が少ないハエのほうがましだ。 相手は血を狙う。それだけなら少量で気づかないが、かゆみを残してしまうから厄介なのだ。 「この野郎」と寝ながら手を動かしても暗闇でどこにいるのかわからない。  仕方なく電気をつけた。すると上空を飛んでいる黒い点が見える。 「蚊め確実に仕留めてやる」気合入れて両手を広げ、奴がその両手の間に入るよう手を動かす。  奴は突然明るくなったので慌てて

          8月19日はバイクの日

          「バイクがあればもっと簡単に遠くまで行けるのに」バイクショップに置いてあるいろんなバイクを見ながら、つぶやく男がいる。  遠くに行くのに普段は自転車を使っているが、断然バイクのほうが早い。わかってはいる、わかってはいるが、バイクを買うお金もないし、そもそもバイクを乗るための免許すら持っていないのだ。  まずはバイクの免許を取り、そのあとバイクを買うためのお金を溜めれば、バイクが買え、もっと楽に移動できる。  その達成までどのくらいの時間とお金が必要なのか男はため息をつ

          ただ歩く

           ただ歩く。さて歩き始めてからどのくらいたったのだろう。 日の出とともに歩き始めたからもう半日以上は歩いている。ずっと西に向いて歩いているから、太陽を背に歩き始めたのに、あっという間に上空を通過して今では遥か西の彼方に沈もうとしていた。  ではなぜ歩いているのか?誰かに強制されているわけでもなく、歩くことを止めようと思えばすぐ横の国道で走っているバスに乗れば済む。それなのに歩く理由。それは体力作りだとか歩きながら物珍しいものを探してみる、いろんな理由があるだろう。  だが

          反るべきか、反らざるべきか。それが問題だ

          反るべきか、反らざるべきか。それが問題だわ デート中だというのに、木島優花は突然悩みだした。そんなことも知らずにトイレから太田健太が戻ってきた。 「どうしたんだ浮かない顔をして?」「うん、大したことない」と、作り笑顔になった優花は何事もなかったように健太の手を握る。「さて、この後どうしよう」街を歩きながら健太は悩んだ。時刻は午後3時を過たところ。ランチを食べ終えてそのままドリンクを飲んで過ごしたので、カフェで休憩という状況ではない。今日は夕方から優花が見たいという映画鑑賞の

          反るべきか、反らざるべきか。それが問題だ

          剃るべきか、剃らざるべきか。それが問題だ。

           剃るべきか、剃らざるべきか。それが問題だ。と悩んでいるのは、高校生の尾道拓海である。それは中学生の頃から生えはじめた髭のこと。これまでは生えてくると必ず剃っていたが、この夏休み思い切って剃らずに伸ばしてみることにしたのだ。 「イメージが変わったな。大人っぽいぞ」拓海は鏡を見て自分自身に酔いしれる。おそらく二学期が始まれば剃らないといけないだろう。校則には髭のことなど書いていなかったが、髭を伸ばしている同級生などいない。夏休み中は制服も着ないので、髭を伸ばしたまま私服姿で街

          剃るべきか、剃らざるべきか。それが問題だ。

          無頼ママチャリ

          「これからの時代はバイクじゃねえ、もちろん4輪車でもない、ママチャリだ」町からは「無頼者」と呼ばれた集団のリーダーはそうつぶやいた。 「し、しかし、速度が」メンバーの中には不満を持つものがいる。そりゃそうだ。バイクの速度とママチャリの速度では、月とスッポン、エンジンを吹かせば乗っているだけで勝手に動くバイクと、自らの足で漕がなければばならないママチャリに代わるという事は、冷房を止めて団扇にするようなもの。  当然メンバーからは反発が起こったが、リーダーが固執するために、遂

          未来断捨離

          「ゴミ屋敷になってしまった」男は寝るスペースとトイレに行くスペースを除いて、天井まで物が溜まっている状況を見て顔色が変わる。  初めからこのようなことを目指していない。「もったいないから」と思っていろんなものを捨てずに置いた結果だ。  それでも一時断捨離を意識したことはある。だが「もう少ししてから」と重い腰を上げず、「未来に必ず断捨離をする」と言いながら、結果的にこうなってしまったのだ。 「もう手の付けどころがない」断捨離をしたくてもどれがどれなのかわからない。すべてを捨

          8月13日は怪談の日と左利きの日

          暑い!こういう時は怪談話に限る。扇風機しかない部屋からは熱風に近い風しか吹かない。怖くなって鳥肌が立たせる方法しかないと思い、怪談話をつくることに。幽霊話なども考えたが、幽霊など今時定番すぎてつまらない。 「もっと身近な怖い話。突然変化するのとか」と思い手を見る。「そうだ、突然左利きに!」とひらめいた。右利きである主人公が突然左利きになる。箸も鉛筆も左で持たないとうまくできない。  戸惑いながらも困難を切り抜けていくという話だ。「うーんオチはどうしよう」元に戻ってハッピ

          8月13日は怪談の日と左利きの日

          8月12日は太平洋横断記念日

           太平洋横断記念日と言われても全くピンとこない。太平洋どころか日本海さらに小さな琵琶湖、いやいやもっと小さな近くを流れている川も横断なんてできないだろう。  近くのプールでは子供たちが楽しそうに騒いでいる。プールはうらやましいが、プールの端から端も無理。つまり泳げないのだ。 「陸上で生活しているから泳ぐ必要がないと言えばそうだが」などと思っているが、子供たちが楽しそうに泳いでいるのが聞こえるので、どうしてもうらやましくなる。 「いまさら泳ぎの練習うーん」子供のころにしっか

          8月12日は太平洋横断記念日