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【noteでお花見】桜 ワンシーン小説

yuca.さんの『小説noteでお花見』に参加させて頂きます^^

指定の冒頭と最後
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風がひとひらの花びらを運んできた。私は、髪に付いた桃色のそれを指でそっと摘む。
《フリー》
満開の桜を眺めた。
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を使って小説のワンシーンを書く。ということで、
さっそくこちらを書いてみました!

風がひとひらの花びらを運んできた。私は、髪に付いた桃色のそれを指でそっと摘む。

その瞬間、彼の細くなった指先が私の指と重なったようにみえた。
彼は目を細め私を見つめると
「髪についてる」
と静かに言って、私の短い髪から花びらを取ってみせた。
その淡い桃色の儚さが、私にはひどく哀しげに映った。
彼の指から、そのひとひらが風に舞って、淡い水色の空へとけるように見えなくなっていった。
私たちは黙ったまま、ただそれを見つめていた。

そののち、彼もまた煙となって空にとけていった。
あのとき短かった髪の毛は、今では胸の先まで続いている。

私は、あの日の思い出とともに満開の桜を眺めた。

読んでくださりありがとうございます。
なんだか、楽しげでなくこんな文章になってしまいました。

ソメイヨシノの淡い色から、儚げな印象が強いからなのか、
佐々木倫子さんの漫画『Heaven?』に出てくる「花見は無意識のお墓参り」という台詞や、
田村由美さんの漫画『BASARA』の「人は人に帰る」という感じの台詞がいまでも心に残っているからなのか。
(たしかBASARAだったと思いますが違ってたらごめんなさい)

とにかく、そうした自分の中に蓄積されたものと、昨日コロナで亡くなった方が日本で累計1万人とニュースで聞いたことや、映画『ノマドランド』の紹介でみた「I'm not homeless , I'm just houseless」が印象的だったこと。
そんなことが混ざり合って出てきた文章なのかも、と思いました。

人は生きていても死んでいても人とともにある。
そんな気がします。そんなことを感じて頂ける文章になっていたらいいなぁ。完全にあと付け理論ですが(f;^ω^)

桜の木の下で子どもたちが遊んでいれば、桜は楽しそうにしているし、悲しみを抱えた人がいれば、慰めているようにも思える。
だから、桜の魅力は全てを包み込むようなあたたかさなのかもなぁ、なんて思います。

桜のnoteを書こうかな程度に思っていたら、偶然『小説noteでお花見』を見つけ便乗して書かせて頂きました。
きっかけを頂いて本当に感謝です。(おそらくこのきっかけがなかったら書いてなかった)

yuca.さん、本当にありがとうございます❣

そして最後にご紹介したいのが桜の曲で有名なユーミンこと松任谷由実さんの『春よ、来い』

この曲をピアニストの辻井伸行さんが演奏しているのですが、これを聴いたとき、自然と涙がこぼれました。ぜひ一度聴いてみてください。

【You Tube動画】
辻井伸行/「春よ、来い」作詞・作曲 松任谷由実
https://youtu.be/KduduYZKs5U

最後までおつきあいくださり、本当にありがとうございます。

〈厳しい冬の寒さを知る者は春の本当のあたたかさを知る〉

いつだったか誰かがこんな風なことを言っていた気がします。

世界中のひとたちのこころのなかに桜が咲くように祈って。
(2021.4.27)

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