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「さくらベンチ」           ~小説noteでお花見企画~🌸

風がひとひらの花びらを運んできた。
私は、髪に付いた桃色のそれを指でそっと摘む。

土手に続くゆるい坂道、自転車押しながら
家までの道、遠回りして送ってくれたね。
河原の季節の移ろいを感じながら、いろんな話しをして歩いた日々に
終わりが近いことを、桃色の花びらがそっと告げてるように感じて
ぐーをしたままホールドした。

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「桜、今年も綺麗だったね」という横顔の向こうに
散り染めの桜並木がうつる。

手のひらを広げて、桜の花びらをみた。
ハート型のそれは、しわしわでもなく凛として
背中を押すように、手のひらから私を見つめてくる。

自転車を停めて、桜の木の下のベンチに座った。

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「札幌と東京で離れちゃうけど、来年は、両方の桜を一緒に観られるといいな」とつぶやくと

ハッとしたような表情でかたまる君、思わず

「なんてねー、あっ、かごに桜がきた!」
とごまかした。

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「あのさー、来年の春までにも来るから、東京」

桜の枝に急にハイタッチした君が作るさくらシャワー越しに
満開の桜を眺めた。

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#お花見note

yucaさんのお花見noteに参加させていただいています。
終盤の桜並木を散策しての第二弾です💦


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