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フランス生活

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フランスでの生活の一コマや、経験の記録。フランスについて思うことなどなど
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#日記

フランスで家探し 《後編》

フランスで家探し 《後編》

パリから車で一時間半。辿り着いたのは、一言で言うなら個々の割当てを広く取ったキャンプ場のような場所だった。野鳥がいる水辺があり、木々で覆われた広い敷地を、区画ごとに低い塀や生垣で囲ってある。ログハウス、トレーラーハウス、平家、二階建て、大きさもスタイルも様々な、思い思いの住まいが並んでいた。
入り口は開放されているものの、一応私有地なので、たまに車が通っても歩行者に配慮しているのが感じられる。基本

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バルコナージュはじめました

バルコナージュはじめました

昔、誕生日の度に小さなサボテンをくれる友達がいた。私がパソコンを使って絵を描くので、側に置いておくと電磁波を和らげてくれて良いとか、そんな理由だったと思う。3度もらって、3度とも枯らしてしまった。サボテンは手間がかからないが、逆に水やりの間隔が開きすぎて、机の上の只のオブジェと化してしまったのが原因だろう。申し訳ないことをした。3度もらう前に、正直に枯らしたと言うべきだった、いや、もしかして言った

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夏時間《サマータイム》とフランス語

夏時間《サマータイム》とフランス語

3月初旬にフランス移住したせいか、夏時間→村上春樹→語学習得の振り返りと、見事に話が逸れて行きました。この6年、振り返ればあっという間。

3月の最終日曜日、午前2時になった瞬間、時計の針が3時へ進む。この1時間のワープが欧州の夏時間開始の合図。
今年は不思議と午前2時に目が覚めてトイレへ行き、それから暫くどうにも寝付けず仕方なく本と携帯片手にキッチンへ。オーブンに付いているデジタル時計は4時を過

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戦争の定義

戦争の定義

2020年の春、ロックダウンが始まる前の演説で、フランスのマクロン大統領は「Nous sommes en guerre(戦時中なのです)」と言った。
新型コロナウイルスとの戦争だと。非常時だから、感染がこれ以上拡大しないように、ロックダウンという、人々の自由を大きく侵害する手段を取らざるを得ないと。

1日1時間、自宅から1kmの範囲まで。外出の際は、その理由を記した証明書を携帯する。街には警察官

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2022年を迎えて

2022年を迎えて

最近思うことは、そろそろワクチンに関しては、積極的に情報収集しなくても良いのではないかということ。当初、その効果や安全性について専門家の意見は極端に割れていたが、今は、誰が信頼出来て何を参考にすれば良いか分かる。各国のデータや論文等での答え合わせにより、様々な仮説が事実と間違いに振り分けられた。長期的な部分は未だ明確でないにしろ、大枠でどんな物かということは、自分の中でひとまずケリが着いた。

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自転車でロワール古城めぐり

自転車でロワール古城めぐり

10日間かけて、古城で有名なロワール地方を自転車で周りました(2019年7月)。フランスの北部に位置するパリからは、南西方面へ電車で2時間くらい。ワインの生産地でもあり、安くて美味しいワインを毎晩飲みながらの自転車+キャンプ旅行でした。

ロワール川流域には数百もの古城が点在しており、世界遺産にも登録されているので、フランスが好きな人は知っている人も多いかもしれない。私も以前からその景観の素晴らし

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ヴァンセンヌの森の鳥たち

ヴァンセンヌの森の鳥たち

パリには、大きな森が二つあります。パリを挟んで東側にあるのがヴァンセンヌ(Vincennes)、西側にあるのがブーローニュ(Boulogne)。この「森」というのが、同じ首都でも東京では想像つかない類の「本気の」森で、人の手が入り整備された、いつも誰かが散歩やジョギングしている、明るい憩いの場だけでなく、奥深くには、昼間でも一人では歩く気にならないような(実際にオススメしません)、鬱蒼としたエリア

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ベランダの攻防

ベランダの攻防

夫の住むアパートに、ダンボール3箱分程の、最低限の物のみ携えて引っ越して来た私の、先住者との戦いの記録。《2016年6月》

ベランダに鳩が来て困っている。鳩そのものには何の恨みもないのだが、彼らの落とす糞や羽でベランダが汚れるのは嫌なのだ。しかし実のところ新参者は私の方で、彼らはここで生まれ育っているらしい(!)。鳩が生まれ育つって、結構な環境だと思うのだが、夫は多分、色々とあまり気にならない人

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仏式結婚狂想曲

仏式結婚狂想曲

2016年春に渡仏し、フランス語もほぼ分からない状態で迎えたドタバタ日仏結婚式の話。それでもイラストレーターの意地にかけて(?)招待状は自作しました。

フランスに来て初めて迎えたある春の日、住んでいる街の市役所で、ささやかな結婚式をした。式は16時から始まり、その後自宅に移動して、17時からはパーティ。新郎新婦自ら手料理でおもてなし、といえば聞こえは良いが、私は全く料理に自信がなく、大人数なんて

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信頼と励ましの効用

信頼と励ましの効用

これはまだフランスに来たばかりの頃、今から5年前の話。

スイスとイタリアとの国境近く、フランスの南東の端にあるValloire(ヴァロワール)という街に行ってきた。まだ彼だった夫と、夫の同僚のムッシュー二人と、計四人。ちなみにフランス語は殆ど話せないし聞き取れないので、当時は英語をメインに使っていた。

山歩きとスキー、どちらも馴染みがないので、観光がてら、くっ付いて行くだけだとタカをくくってい

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