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覚えておきたい

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#エッセイ

母に駆け寄ってくれたのは小籔さんだった時のこと

母に駆け寄ってくれたのは小籔さんだった時のこと

2019年のお話だけど、ちょうどこの間、吉本新喜劇の人と話していて「小籔兄さんのアレって岸田さんのお母さんやったんですか!?」って驚かれ、思い出したので。

あの日は、仕事で東京に行っている母から電話がきたのだった。

「聞いて。さっきな、助けてもらった」

母は、車いすに乗ってるので、
人にはよく助けられる方だ。

「だれに助けられたと思う?」

知らんがな。

母は興奮気味に、説明してくれた。

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届け、メリークリスマス。

届け、メリークリスマス。

ブックサンタなるものを知ったのは昨年のクリスマス直前でした。

ブックサンタは大変な境遇にいる全国の子どもたちに本を届けることを目的にスタートしたプロジェクト。賛同書店で選んだ本がNPOを通じて子どもたちへ贈られます。

昨年は、どんな本が嬉しいんだろう?と考えている間にクリスマスは過ぎてしまって、来年こそは!と思い迎えた今年のクリスマスシーズン。

書店で見かけたブックサンタの文字。何処かでサン

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魂をこめた料理と、命をけずる料理はちがう

魂をこめた料理と、命をけずる料理はちがう

ラーメン屋の行列に並んでいた。

京都の自宅へ遊びにきた母が
「ラーメン食べとうて、しゃあない」
と、眼をかっ広げて言うのである。

母はたまに、そういう猛烈な天啓が下る。

車いすなので、こぢんまりした店にはひとりでフラッと入れないからだ。

ならば、どうしても食べさせたいラーメンがある!京都の名店!

麺屋猪一!

いつ来ても行列で、ミシュランにも載り、外国のお客でごった返してる。

おっ。

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テイクミー、バインミー

テイクミー、バインミー

1人ではもう二度と辿り着けない旅先の場所というものに、生きてると時々巡り会う。

山道に慣れてる人に連れてってもらった険しい道の先にあるレストランとか、母の仕事相手のご友人がお住まいでいらした海外のおうちとか。貴重な機会を供してくれた感謝と珍しい経験の喜ばしさと同時に、もう一回というものは難しいんだろうなと思う切なさのようなものもある。

私にとってのそんな、もう1人では辿り着けないと思う場所のう

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美咲さんの玉子かけごはん

美咲さんの玉子かけごはん

大学生の頃、当時のおれよりも10歳くらい上だっただろうか。歳上の女の人が一人でやっている小さな居酒屋があった。美咲さんとみんなから呼ばれていたその女の人は、元々銀座の夜のお店で働いており、お店を辞めたタイミングで知り合いのオーナーから物件を借り受ける格好で長年の念願だったお店を始めたのだそうだ。おれがそこに通い始めたのは、大学で一番仲が良かったスズキが、同じく銀座の夜のお店でアルバイトをしていた縁

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星野源と、マイ生霊に救われた話

星野源と、マイ生霊に救われた話

ちかごろ、マイ生霊に救われた。

あ、スピリチュアルなアレではないですよ。僕、霊的なものは見えないですし。怖いですし。祟られるほど誰かに恨みもかってないですし(たぶん)。

まぁ長い話でもないので、聞いてください。

******

僕は小さい頃から、「見守ってくれる存在がいる」という感覚がなかった。

親と一緒に暮らしていなかったことも影響してると思う。そんな「見守ってくれる存在の不在感」は、そ

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夢の先が正解じゃなくても

夢の先が正解じゃなくても

やっと叶えた夢を1年で手放したって別にいいんだ。
それは決して逃げたってことじゃないからね。

最近読んだエッセイの、そんな感じの言葉に私は確かに少し救われたと思う。

ずーーーっと願っていたお菓子の職場に、ようやく来られた。沢山の人に「良かったね」と言われた。うん、そうだね良かったよ。

良かったと共に、この1ヶ月はまあ大変だった。多分これからも大変だと思う。毎日が新しいことばかりでさ。きっと理

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他人のためにやることはぜんぶ押しつけ(もうあかんわ日記)

他人のためにやることはぜんぶ押しつけ(もうあかんわ日記)

毎日21時更新の「もうあかんわ日記」です。もうあかんことばかり書いていくので、笑ってくれるだけで嬉しいです。日記は無料で読めて、キナリ★マガジン購読者の人は、おまけが読めます。書くことになった経緯はこちらで。

今回特にもうアカンし、書いてる方も読んでる方もモヤモヤするしんどい内容なので、元気で余裕があってつまらんボケにもツッコミできるくらい元気なときに読んでください。

弟の健康診断の結果が返っ

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「もうあかんわ日記」をはじめるので、どうか笑ってやってください

「もうあかんわ日記」をはじめるので、どうか笑ってやってください

トップの写真は「いま実家の神戸にいるよ、母のお見舞い行ってくる」と、わたしが東京にいる友人に送ったものだ。

返ってきたのは。

「眉毛は?」

の一言である。

眉毛がない。うっすらとあるけど、いつものように描いてないし、髪と同じ色にあわせてない。つまりはすっぴん。東京では考えられない。

いいよね、慣れ親しんだ田舎の地元って。こうやって気軽に外出できるし、メイクする手間もないし。楽だわ。ここで

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麦茶も愛もありあまる

麦茶も愛もありあまる

「もっと、指先に愛をこめる」

うすい壁越しに、あついフレーズが聞こえてきた。
たぶん生まれて初めて聞く。

わたしはうつぶせのまま、両脚を「又」みたいなかんじで思いきりクロスしている。
たぶん生まれて初めての体勢。

マッサージでは満足できなくなり、ネットで見かけた本格整体に試しに行ってみた。

力加減も少し強めでしっかりほぐれるし、次回予約やキャンペーンの類をいっさい勧めてこない商売っ気のなさ

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