しえ

会社員です。 うつくしいものと、おいしいものと、おかしなものが好きです。菓子や歌詞や瑕…

しえ

会社員です。 うつくしいものと、おいしいものと、おかしなものが好きです。菓子や歌詞や瑕疵に関する内容が多いです。 ほぼ日曜更新、書いていることは一個人の見解です。

最近の記事

マーロウ、それはもう

誕生日と地元が近くて、年齢と名字が一緒の友人と、毎年誕生月におでかけをしている。 美術展に行ったり、和菓子をつくったり、ほんのちょっとだけ非日常を味わう。 今年はどうしよう? 日程は7月15日にすんなり決まったのに、場所がなかなか決まらない。 7月の3連休は天候が崩れがちだから、歩き回るのは避けたい。暑いし。 考えあぐねて壁に視線をやると、ガチャで取ったビーカープリンのミニチュア(のおじさん)と目が合った。 そうだ、マーロウの本店レストランはどうだろう。 今年創

    • スコーンサンドの憧憬

      マリトッツォを見かけなくなって久しいが、ちまたではとにかく何かをはさんだものが目をひく。 わかれ、あれば、であいあり。 あんバタースコーンサンド専門店『an and an(アンアンドアン)』。 横浜の百貨店に催事で出店していて、その見た目に吸い寄せられた。 ちいさいのに、ぶあつい。シンプルなのに、見ごたえ。 コロナ禍の来客減少をうけ、地元を盛り上げる商品をつくりたい、という思いから、なんと和歌山県のスナックで誕生したという。 もとが洋菓子店ではないためか、2024

      • さながら短冊のようで

        こんなに天気がよくて灼熱の七夕は、物心がついてから初めてだ。 どんなに暑くても、天の川は干上がらない。 むしろよく見えるはず。 国立天文台のホームページをみていたら、あまりにも現実的な記述があって、遠い目になってしまった。 とても無理なのです、と。 スピッツの『スピカ』の詞をかりて言い換えるなら、幸せは途切れながらも続くのです、と(この曲は七夕リリース)。 ところで、この暑さの方がとても無理なので、空調の効いた部屋で書類整理をした。 捨てはしないものの、1カ所にま

        • あまじょっぱいは正義

          上半期の一大イベント、健康診断が終わった。 待合室に座っているひとは、みんな生気を失っているように見える。 朝早いし、食事抜きで空腹だから、おのずとそうなる。 今年は肺機能検査があった。 機械につながった筒をくわえて、鼻をつまんで口から思い切り息を吐ききるだけの、簡単な検査。 若い検査技師さんに「もっとはけるはず!」と励まされるも、お腹がすいて力が入らない。 空も飛べるはずみたいに言わず、そっとそばで笑っていてほしい。 スタンプラリーのように検査を終え、ラスボスの

        マーロウ、それはもう

          まるごとみかんジュレ

          「やきとり一年」 電話中の採用担当から急に発せられた、気になるワード。 わかっている。 派遣かマネキン会社とやりとりしており、応募者の職歴をたずねていたのだろう。 紹介いただいた方は、やきとり屋さんで一年の勤務経験があるのだ。 わかっているが。 「やきとり一年、あげもの二年、三年経ったら即店長♪」 と、脳内で勝手にカロリーの高い替え歌が流れてしまう。 あの、関東ではおなじみのカステラのCMソングにのせて。 本当は「カステラ一番 電話は二番 三時のおやつは文明

          まるごとみかんジュレ

          人生2周目の新入神へ

          入社2年目の人から突然、 「課長から〇〇さんに送るよう指示いただいた、トルテの画像です。よろしくお願い申し上げます」 と丁寧なメールがきた。 …??? たのんでいない。 そもそも画像は自分で探せるから、課長がわたしへ送るよう指示する理由が分からない。 彼は、2年目にしては仕事の覚えが異様に早くて、話し方やたたずまいが公共放送のベテランアナウンサーのように落ち着いている。 人生2周目なのでは、と疑ってしまうほど。 おまけに彼の名字には「神」という漢字が入っている

          人生2周目の新入神へ

          天空の贈り物展をみた

          「今日は17時半頃に国際宇宙ステーションが見えるから、興味あればご一緒に」 と職場で声をかけられたのは、ちょっと外へ出るにもダウンコートが必要な季節だった。 無機質な数字が並ぶExcelを放置して、寒空の下へ出る。 日が沈んだばかりの空は、群青色に晴れわたっているが、星は見えない。 ややぽっちゃりした三日月だけが、ひときわ明るく輝いている。 ほどなくして、高いビルの影から小さな光の点がスーッと出てきて、月の下を通過した。 あれが国際宇宙ステーション「きぼう」か。

          天空の贈り物展をみた

          初夏を告げる文鳥羊羹

          地下鉄の入り口に、ツバメがかえる季節がやってきた。 近くの田んぼは無事に田植えが終わったようだし、ヤマブキもあざやかに咲きほこっている。 ここは緑豊かだから、野生動物の子育てには安心安全の町なのだろう。 駅側の配慮で巣の下には台座が設置されているから、いろいろ落ちてこなくてヒトも安心。 数週間前はかすかな鳴き声しか聞こえなかったのに、気付けば巣からあふれんばかりのムクムクたちが、親鳥の帰りを待っている。 こんな感じで。 以前、あまりのかわいさにパケ買いした金沢の文

          初夏を告げる文鳥羊羹

          +物産展に心がおどる

          おとなになったな、と思う瞬間に、 ・物産展に心がおどる を追加した。 おとなになればなるほど、精神的な世界は広がるのに、物理的な世界はさまざまな制約でせまくなりがち。 そんな折、遠く離れた土地の名物が一堂に会する物産展は、とてもありがたい。 ちなみにいままでの「おとな実感ステップ」は下記のとおり。 先日、百貨店で催された《紅花の山形路 物産と観光展》に足を運んだ。 北海道展はわりと頻繁にあるものの、山形はなかなか機会がない。しかも、初夏ならさくらんぼがちょうどシ

          +物産展に心がおどる

          犬派?猫派?展をみた

          展覧会タイトルとチラシを見て、これは行かねばならぬと思い、さっそく足を運んだ。 争うつもりはまったくないが、どちらかに所属せよと言われたら、犬(ときどき鳥)組である。 山種美術館は、1966年に開館した日本初の日本画専門の美術館。 恵比寿駅から徒歩10分、オフィスビルや飲食店が並ぶエリアを抜けると、昭和のおもかげを残す食料品店がぽつんと佇む。 その食料品店のわきに置かれた、色あせたビールケースに、なにやら文字が。 洗濯ばさみで留められた、手製の道案内。 駅からほぼ

          犬派?猫派?展をみた

          百年後芸術祭に行った

          とある小学校が、敷地内に分校を置くという。 学区内にマンションが次々と建ち、5年後には45学級を超える見通しだとか。 単純計算で、ひと学年約7クラス。 異次元の少子化対策が叫ばれているご時世に、局地的なタイムスリップだ。 ふつう、分校というのは本校とは離れた場所に造られるもの。しかし、ここの校庭は一般的な小学校の2倍の広さがあるのだ。 いっぽう、房総半島の山間部では、廃校となった小学校に老若男女が集う。 木々や竹が生い茂る道をくねくねと登っていくと、突如、カラフルな

          百年後芸術祭に行った

          明日のバス未来のバス

          先日、木更津の山奥に行った。 内房総一帯を会場とする「百年後芸術祭」のライブイベント、《スーパーフォークロア》に参加するためだ。 芸術祭とリンクしているので、ふだんの野外フェスとは趣が少々異なり、ダンサーが華麗にポールダンスを舞うなどした。 いっぽう夜空には、400基ほどのドローンが舞い、星空や、音楽にリンクする絵が描かれた。 人間は星空も操れるようになったのか、と畏怖の念を抱きつつ、バグる1基をめざとく見つけて、愛おしさも抱く。 行きは電車を使ったが、海沿いをぐる

          明日のバス未来のバス

          その件名に意味がある

          営業管理部のS部長からのメールは、必ず件名に「~の件」がついている。 これを、『月曜から夜更かし』スタイルと呼んでいる。 世間で起こる様々な件に、ちょっとだけ首を突っ込んだり突っ込まなかったりする、あの番組のと同じやり方だからだ。 番組が知名度をあげる前から、S部長はこのスタイル。 番組の内容もあいまって、全社への指示命令でも、威圧感がなくて良い。 「ちゃんとやっといてねェ~」と、気さくなS部長の関西弁イントネーションが聞こえてくるようだ。 「~の件」は、いわばS

          その件名に意味がある

          自慢のフルーツポンチ

          ついに手に入れたぞー。 近江屋洋菓子店のガシャポン、大人の手土産コレクション。 去年は取扱店が少なく逃してしまったが、ありがたいことに再販していた。 2回目で目当てのフルーツポンチを引き当て、気が大きくなって3回目をまわしたら、いちごサンドショートまで出た。大満足。 歴史を感じる紙袋も、ファンシーな包装紙も、オーガンジーのリボンの透け感も、見事に再現されている。 そういえば、前回近江屋洋菓子店を訪れたとき「次はフルーツポンチを赤子のように抱いて帰る」と宣言していた。

          自慢のフルーツポンチ

          柑橘への愛を確かめた

          近所のスーパーの青果コーナーが、柑橘で埋め尽くされている。 オレンジと黄色の柑橘連峰、絶景なり。 清見オレンジ、デコポン、河内晩柑、マーコット、そして神奈川が誇る湘南ゴールド。 スピッツの「めぐりめぐって」の歌詞にも出てくるデコポンにしようか。 と手を伸ばしかけたところで、そのとなりに、見つけてしまった。 ブラッドオレンジ、愛媛県産。 ブラッドオレンジジュースは「なんかいい感じの店」に行くと出会えることがあるが、リアルブラッドオレンジ、というか果実そのものには初め

          柑橘への愛を確かめた

          原画展をはしごしたら

          食べてばかりだというのに、1日の歩数がぐんぐん減っている。 春だ。外に出よう。 おいしいものだけでなく、うつくしいものも摂取したい。 神奈川県民、国境(と書いて多摩川と読む)を越えて、東京へ。 渋谷の公園通りは外国人観光客のほうが多く、本当に国境を越えたのではと錯覚するくらいだった。 今日は、原画展のはしごだ。 ■ ひみつストレンジャー展 スピッツのアルバム『ひみつスタジオ』におさめられた全13曲の歌詞を、画家のjunaidaさんが物語として可視化した歌画本『ひみ

          原画展をはしごしたら