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共有帳【(。・ω・)フムフム..】

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”スキ“を付けさせていただいたクリエイターさん達の投稿の中から是非とも多くの方々に読んで欲しい、共有したいと思った投稿のまとめ。 (ご迷惑な場合は連絡をいただければ出来るだけ早く…
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#映画

『関心領域』 反ハリウッドの殺戮

『関心領域』 反ハリウッドの殺戮

 スティーブン・スピルバーグに称賛された『関心領域』は、ある意味、反スピルバーグである。巨匠の名画『シンドラーのリスト』が広めたホロコーストの悲劇的犠牲やナチズムの邪悪性を押し出す形式のアンチテーゼをとっているから、説明描写がきわめて少ない。というわけで、ジョナサン・グレイザー監督の説明を踏まえて、背景や主題を考えてみよう。

「聴く」映画

 まずこの映画、舞台は1943年ドイツ占領下のポーラン

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格差の少ない社会が成長する

格差の少ない社会が成長する

『みんなのための資本論』という映画があります。
「資本論」という言葉がタイトルに含まれていますが、原題は『Inequality for All(みんなにとっての不平等)』なので、ミスリードを誘う邦題だと思います。「資本論」という言葉で連想されるマルクスや共産主義の話は、まったく出てきません。
むしろ、マルクスの『資本論』が資本主義の分析であったとおり、この映画も資本主義社会の問題を語っています。そ

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WOWOW『PLAN 75』放送&配信記念 早川千絵監督×安田菜津紀:特別対談――無知・無関心が一番の問題。この映画が少しでも関心を向けるきっかけになれば

WOWOW『PLAN 75』放送&配信記念 早川千絵監督×安田菜津紀:特別対談――無知・無関心が一番の問題。この映画が少しでも関心を向けるきっかけになれば

構成・文=よしひろまさみち 撮影=中川容邦

自己責任論や生産性で人を測ることの恐ろしさ安田菜津紀(以下、安田)「長編版はもちろんですが、長編のもとになったオムニバス映画の『十年 Ten Years Japan』('18)(※3/12(日)後11:15放送)に収められた同名短編も拝見しました。自分がもし<プラン75>を勧めるあの役所に勤めていたら…、または、もうすぐ子どもが生まれる立場で、認知症の

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ガンダム映画の最新名作『ククルス・ドアンの島』で、安彦良和監督がネットミームから奪い返したもの

ガンダム映画の最新名作『ククルス・ドアンの島』で、安彦良和監督がネットミームから奪い返したもの

特別料金1900円かよ、高いな〜と見る前は思っていた。貧乏なCDBちゃんはいつも割引デーに映画をハシゴして鑑賞料金を節約しているからである。しかし、1時間48分の最新ガンダム映画『ククルス・ドアンの島』を観たあと、思わず4400円の豪華版パンフレット+クリエイターサンクスセットを買ってしまうくらい面白い内容だったのである。率直に言ってこれは歴史に残る名作アニメだと思う。

何よりまず、異常なくらい

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「プラン75」がもし本当にあったら。

「プラン75」がもし本当にあったら。

先日、封切られたばかりの邦画、「プラン75」を見てきました。

この映画で早川千絵監督が今年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で新人監督賞にあたるカメラドールのスペシャル・メンション(特別表彰)を受けたので、ご存知の方も多いかもしれません。

わたしが見に行った日は上映前に早川監督と出演者の河合優美さんのトークを聞くことができたので、ほぼ満席。

「まだみなさんご覧になっていないので」
と監督も河合

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無性に書きたくなって。

無性に書きたくなって。

ずっとこのnoteというものの使い方を考えていました。最初は初回の投稿でも書いたように、自分が興味を持っている分野を色々実験的に表現してシェアできたらな、と考えていました。たぶん主に精神世界的なことや、スピってる経験則を自分なりに書く!としていました。ところがあれこれ捏ね回して考えているうちに、そっちは書こうとするほど抑止が利いて筆が止まってしまうのでした。そういう時はまだそのタイミングではないと

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2022年1月28日公開 映画『クレッシェンド 音楽の架け橋』

2022年1月28日公開 映画『クレッシェンド 音楽の架け橋』

こんにちは。駐日パレスチナ総代表部です。寒い季節が続いておりますが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか?

本日は、1月28日に全国公開される映画『クレッシェンド 音楽の架け橋』についてご紹介します。

まずは予告をどうぞ!

予告あらすじ世界的指揮者のスポルクは、紛争中のパレスチナとイスラエルから若者たちを集めてオーケストラを編成し、平和を祈ってコンサートを開くという企画を引き受ける。オーディシ

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なぜポル・ポト派は生まれ、なぜカンボジアを掌握するまでに至ったのか――「なぜ」を1本の映画から考える

文=安田菜津紀 @NatsukiYasuda

 今回取り上げるのは、第42回アヌシー国際アニメーション映画祭で長編コンペティション部門の最高賞であるクリスタル賞を獲得した映画『FUNAN フナン』('18)。

 柔らかな絵のタッチとは対照的に、描かれているのは1975年以降のカンボジアにおける、虐殺や飢えに見舞われた過酷な日々だった。カンボジアの経てきた歴史は、今を生きる私たちに何を投げ掛けて

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「ムーミン」作者の半生、勇気が湧く物語 【次に観るなら、この映画】10月2日編

「ムーミン」作者の半生、勇気が湧く物語 【次に観るなら、この映画】10月2日編

 毎週土曜日にオススメ映画3本をレビュー。

①「ムーミン」の作者トーベ・ヤンソンの半生を描き、ムーミンたちがいかに生み出され、成長していったかに迫る「TOVE トーベ」(10月1日から映画館で公開)

②命令を守り続け、終戦後約30年を経て帰還した実在の日本兵を描く「ONODA 一万夜を越えて」(10月8日から映画館で公開)

③ルーマニアを震撼させた巨大医療汚職事件を題材にし、第93回アカデミ

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ジョニー・デップが日本の“水俣病”を追った衝撃作など 【次に観るなら、この映画】9月25日編

ジョニー・デップが日本の“水俣病”を追った衝撃作など 【次に観るなら、この映画】9月25日編

 毎週土曜日にオススメ映画3本をレビュー。

①ジョニー・デップが製作・主演を務め、日本の水俣病の存在を世界に知らしめた写真家を描いた「MINAMATA ミナマタ」(9月23日から映画館で公開)

②耳の不自由な主人公が、連続殺人鬼に追い回される恐怖の夜を描いた新感覚スリラー「殺人鬼から逃げる夜」(9月24日から映画館で公開)

③美しくなりたいという、人間の果てなき欲望と狂気を描いたサイコホラー

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アフガニスタンの難民家族が自ら撮影した作品など 【次に観るなら、この映画】9月11日編

アフガニスタンの難民家族が自ら撮影した作品など 【次に観るなら、この映画】9月11日編

 毎週土曜日にオススメ映画3本をレビュー。

①アフガニスタンの難民家族が、安住の地を求めて旅する様子を“自らスマートフォンで撮影した”ドキュメンタリー映画「ミッドナイト・トラベラー」(9月11日から映画館で公開)

②「火口のふたり」の瀧内公美が主演を務め、情報化社会の抱える問題や矛盾を真正面からあぶり出していくドラマ「由宇子の天秤」(9月17日から映画館で公開)

③ボスニア・ヘルツェゴビナ紛

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過激かつ美しい描写が際立つ新作映画3本 【次に観るなら、この映画】8月14日編

過激かつ美しい描写が際立つ新作映画3本 【次に観るなら、この映画】8月14日編

 毎週土曜日にオススメ映画3本をレビュー。

①警察とやくざの攻防戦を過激に描いた“傑作”の続編「孤狼の血 LEVEL2」(8月20日から映画館で公開)

②実在の画家ジュゼップ・バルトリの人生を描いた長編アニメーション「ジュゼップ 戦場の画家」(8月13日から映画館で公開)

③盲目の最狂老人による恐怖を描き全米でスマッシュヒットを記録したホラーの続編「ドント・ブリーズ2」(8月13日から映画館

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