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ドイツこぼれ話

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歴史から文化、ライフスタイルまで、ドイツを探る新しい視点をお届け
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2024年2月の記事一覧

お墓参りをするためだけの場所ではないドイツ墓地

お墓参りをするためだけの場所ではないドイツ墓地

ドイツ人旦那につられて、こっちに来てからよく散歩するようになった。ドイツ人は散歩が好き。行き先は近所の川辺だったり公園だったり森の中だったり、驚いたのは墓地でも散歩をするという事。

最初知った時は〝それ大丈夫なの?〟と思ったけど、実際に訪れてみてその考えはなくなった。こっちの墓地は日本のと雰囲気が随分違う。自然と寄り添っている閑静な場所だ。

一般的に散歩okなんだけど、場所が場所なだけに、勿論

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ドイツで乗車券検査員に捕まった話

ドイツで乗車券検査員に捕まった話

ドイツの鉄道では改札がない。
簡単にキセルが出来てしまう環境のため、検査員が抜き打ちチェックで時々乗り込んで来る。

これまで3回捕まった。
定期が入っている財布を家に忘れた時に限って奴らはやって来る。

今回はチケットを持っていない状態で検査員に見つかったらどうなるか、以下に書く。

無賃乗車がバレると次の駅で降りるように指示され、身分証の提示を求められる。

これは3回目の話になるけど、全部財

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言葉の間の静寂:ドイツ人にとっての相槌の意味

言葉の間の静寂:ドイツ人にとっての相槌の意味

ドイツ人のコミュニケーションスタイルの一つに、相槌が極端に少ないことが挙げられる。
この習慣に初めは戸惑いを感じた。
彼らは基本的に相槌を打たないため、自分がドイツ語で話しているときに、相手が理解しているのかよく不安になったものだ。

対面であれば相手の表情や仕草から、「理解している/していない」を推測できるが、電話で話す時はそのような手がかりがない。
要件を伝えても、電話口の相手は何の反応も示さ

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ドイツでの無期限滞在許可取得の道のり:移民局での手続き実体験

ドイツでの無期限滞在許可取得の道のり:移民局での手続き実体験

在独7年目の去年、無期限滞在許可を得た。
3回目のビザ更新でようやく実現したものであり、自身の大きな前進と感じた。
今回はその申請過程について書こうと思う。

ビザの期限が切れると1か月前に気がつき、2月に慌てて移民局にメールを送る。
レスポンスの遅さ、人手不足で申請日が延期されるなどの事情から、実際に移民局を訪れたのは5ヶ月後の7月だった。(その間、持っていたビザの期限はとっくに切れて仮ビザを持

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近々ドイツで大麻が吸えるようになる

近々ドイツで大麻が吸えるようになる

再来月からドイツで大麻が合法化される予定だ。
⋯⋯まぁ合法化される前から大麻を吸っている光景を当たり前に見かけるけど⋯⋯。

日常茶飯事なのでドイツに来てから大麻の存在が身近になり、解像度も上がった。
日本にいた時は大麻=ドラッグという認識で、人生を終わらせる代物というと言うイメージだったが、大麻はドラッグとは別物らしい。
大麻は紙タバコに巻いて吸い、ハイになるのではなく、だら〜っとリラックスした

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ドイツでは出産したら胎盤を持ち帰る?

ドイツでは出産したら胎盤を持ち帰る?

数年前、ドイツでの出産に備えていた頃、分娩当日病院に求める対応を考えた方が良いと旦那が言い、どんなオプションがあるのか一例として、ネットで見つけたリストを送ってくれた。

先に書くと実際に細かく聞かれる事はなかった。
今になって思えば旦那の思い違いだったと分かるが、当時の旦那も私も人生初の大イベントに勝手がよく分かっておらず、真面目に熟読した。

このリストでは、出産希望場所や誰に付き添ってほしい

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ドイツの病欠事情:柔軟性と悪用の間で

ドイツの病欠事情:柔軟性と悪用の間で

うちの職場では、体調不良になったらほとんどの人がすぐに休む。この点は日本とは異なり、ありがたいにはありがたい。

しかし「体調不良なので休みます」と言って済む訳ではない。

職場の規定によるが、うちの場合、1日でも病欠する場合は医師の診断書が必要になる。
まぁこっちの医師は、例え軽いカゼでも最低3日の安静を必要とする診断書を出すけど。

これを受け取り、写真で撮って上司に提出する。
これでやり取り

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ドイツの女性専用駐車場:安全と配慮の象徴

ドイツの女性専用駐車場:安全と配慮の象徴

ドイツの一部の駐車場には、女性専用の駐車エリアというものがある。
特に地下駐車場や立体駐車場でよく見かける。この存在理由は、女性が暴力や性的暴行から身を守るため、不安を和らげるために設けられている。

女性専用駐車場は、出口付近や明るい場所、防犯カメラの撮影エリアなど、女性の安全と安心を最優先に考えて配置されている。
その効果は大きく、女性が駐車場を利用する際のストレスや不安を軽減し、日常生活の中

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煙突掃除夫:ドイツの幸運を象徴する職業の意味

煙突掃除夫:ドイツの幸運を象徴する職業の意味

幸せになれるというラッキーモチーフといえば代表的なのは四つ葉のクローバーや青い鳥が挙げられる。しかしここドイツでは煙突掃除夫もまたそこに名前を連ねる。

そもそも煙突掃除夫とは何なのか。
名前の通りただ煙突を掃除するだけなのか。

ラッキーモチーフとして数えられている理由を語る前に、まず彼らの基本的な情報、仕事内容を簡単に書いていこうと思う。

ドイツには7,500の事業所があり20,000人の煙

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英語が話せることはベルリンの就活において強みにはならない

英語が話せることはベルリンの就活において強みにはならない

ベルリンでは、ドイツ人/非ドイツ人と国籍に関係なく、みんなが英語を話せる。
語学学校に通っていた時、ドイツ語のレベルがまだ十分でないクラスでは、休み時間みんな英語でコミュニケーションをとっていた。アジア人のクラスメートたちですら、スラスラと英語で話す。

また、ベルリンで実際に就活をしていた日本人の知り合いからも、語学力アピールで挑むことのハードルの高さを聞かされた。

一人は以前、日本で外資系企

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ドイツオリジナルのユニークな窓

ドイツオリジナルのユニークな窓

外国人が初めてドイツを訪れると、飲食店での水が有料であることや、スーパーのレジが動くレーン式であることなど、様々な文化や習慣の違いに驚きや発見をする。
しかし、私が初めて渡独した際には、窓を開けて戸惑った。というか肝を冷やした。

ドイツの窓は日本のような引き戸ではなく、手前に引いて開けるドアタイプで、ドアノブのような役割のレバーがついている。
ドイツに来た当初、換気をしようとして、レバーを適当に

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バレンタインの国際比較・日本の輝きとドイツの静けさ

バレンタインの国際比較・日本の輝きとドイツの静けさ

ドイツのバレンタインは、男性がパートナーに花とちょっとしたプレゼントを贈る。
ドイツの製菓業界も何か仕掛けてきてくれれば良いものの、そんな動きは、ない。
そうなると日本のバレンタインがキラキラとした思い出として思い起こされる。

当日が近づくとメディアやSNSで盛り上がる。
特にデパートのチョコレートフェアは毎年楽しみだった。催事場に足を踏み入れると、さまざまなチョコレートが並び、「宝石箱やぁ〜!

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ドイツ人と日本人間のコミュニケーションは相性が悪い

ドイツ人と日本人間のコミュニケーションは相性が悪い

ドイツ近隣諸国からすると、ドイツ人の直接的でキツい言い回しは有名だ。この異なるコミュニケーションスタイルには、お互いの文化に根差した理由が存在する。

なぜドイツ人の言い回しがストレートでキツイのかと言えば、彼らには言外の意味を理解するための察する能力が低いからだ。
この図を見てほしい。

ローコンテクストの言語であるドイツ語は、要は一から十まで言わなければ伝わらない。彼らは回りくどい言葉遣いをせ

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日本との対比・ドイツの仕事文化に見る「楽しむことの重要性」

日本との対比・ドイツの仕事文化に見る「楽しむことの重要性」

仕事が嫌いだ。この感覚は日本にいても同じだった。職場に向かう電車の中で「労働はいやだ⋯」「宝くじあたらないかな⋯」と弱音を吐く毎日。あくまで生きていくお金を稼ぐ為に働いていた。

そんな精神性だったので、ドイツに来て驚いた事の一つが「楽しんだ?」だった。
ドイツにはProbetag、もしくはProbezeitと呼ばれる試用期間がある。
期間の長さは職種によって違うだろうけど、私の場合、とりあえず半

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