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記事一覧

プロとアマではどちらの方がパフォーマンスが高いのか

プロとアマではどちらの方がパフォーマンスが高いのか

長文ファンの皆様おはようございます。

スポーツには、そもそもプロのスポーツ(リーグや協会が賞金を出す、チームが純粋に金銭で契約する)とアマチュアのスポーツがあります。

近年、アマチュアスポーツの中でプロ的に活動する選手とアマ的に活動する選手が分かれるようになりました。この場合のプロとアマの違いはほぼ「長期雇用前提か、短期の契約前提か」と言っていいと思います。

プロの方がパフォーマンスが高くな

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組織に“できたてホヤホヤの暗黙知”をシェアする仕組みをどうつくるか?子どもの「逆上がり」習得過程を見て気づいたこと

組織に“できたてホヤホヤの暗黙知”をシェアする仕組みをどうつくるか?子どもの「逆上がり」習得過程を見て気づいたこと

今日は「子どもの日」ということで、個人的な話になりますが、先日、5歳の娘が「逆上がり」を習得しました。

一人の親として感動を覚える瞬間だったことはもちろん、習得のプロセスがまさにヴィゴツキーの言う「ZPD(Zone of Proximal Development、最近接発達領域)」そのもので、親としても、研究者としても非常に感激してしまいました。

そこで本記事では、「娘の『逆上がり』習得」とい

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自分がヤバい思想にハマらないか俯瞰する仕組みが欲しい

ネットで色々な記事を読んでると、自分の足元とか現在地がよくわからなくなるので、定期的に現在位置とかをチェックする仕組みが欲しいなぁ…というメモ。

1. チェックしたい思想を定義するまず自己診断したい思想やムーブメントを定義し、図のセンターにおく。

「リベラル」「新自由主義」「フェミニズム」とか抽象レベルでも、「地球温暖化」「中絶法」のような具体的な思索でもよい。

2. 上下左右の極端な思想を

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ケン・ロビンソンのCreative Schools(探究演習)

ケン・ロビンソンのCreative Schools(探究演習)

大学院で学ぶ「学習のでデザイン」。後期の授業まではまだ期間があるので、しばらくは論文の下調べで読んでいる本を紹介します。

今回は教育実践者である、ケン・ロビンソンさんの本の紹介です。

数学とダンスは同じくらい大事

まずこちらの有名なTED TALKから。

イギリス人らしく皮肉もりだくさんですが、彼のテーマは教育と創造性、特に子どもについての、です。

その結果、科目の中でこんなヒエラルキー

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私たちは何を計測するべきか

私たちは何を計測するべきか

長文ファンの皆様おはようございます。

最近、計測の科学という本を読み始め、計測について考えています。人が計測をし始めた歴史は古いのですが、それが世界共通の基準(メートル法)に至ったのは案外古く、フランス革命の時期になるそうです。

それより前は、各地域で基準が違ったり、または状況によって違ったそうです。例えば牛10頭が食べられる広さという定義だったそうで、そうなると牧草地よりも、荒地の方がおなじ

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進捗マネジメントではなく、プロダクトマネジメントを始める

進捗マネジメントではなく、プロダクトマネジメントを始める

 何をマネジメントしたら、成果に辿り着きうるのか?

 これまでの仕事のやり方と、今期待されている仕事のやり方、この2つの間にある大きな違いについて、気付くための問いだ。さらに、この問いの背景には、成果そのものの意味が異なる、という事実が存在する。

 成果とは何か?

 この問いに向き合うたびに、ドラッカーの顔を思い浮かべてしまう。シンプルながら突き詰めて答えようとすると歯ごたえのある良い問いだ

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本当に空気を読める人は、逆張りが上手にできる人になる。

本当に空気を読める人は、逆張りが上手にできる人になる。

かつてKYと呼ばれる言葉があった。

KYとは「空気(K)を読めない or 読めよ(Y)」の略で、それができない人は「あいつKYだな」などと揶揄された。

そんなKYが流行語大賞にノミネートされたのは、今から14年前の2007年。今ではすっかり、その言葉を聞かなくなった。

なぜKYという言葉は消えたのか。回答の1つは「そんなこと当たり前になったから」だろう。今や空気を読む(もしくは、空気を乱すこ

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11/9:「一億円の壁」に騙されるな!

11/9:「一億円の壁」に騙されるな!

(この記事は11月9日に書きました)
今日の日経新聞に「1億円の壁」が大きく取り上げられていた。
1億円の所得を境目に所得負担率が下がることを理由に、財務省がキャンペーンを張り、超富裕層に対する課税を強化しようとしている、というものである。
しかし私は、この政策が間違いであることを、去年の初当選直後からずっと、部会や調査会などで訴えてきた。

「1億円の壁」と呼ばれる上の図は、「金融所得課税」とし

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「あいだ」こそが大事だとわかる中範囲理論(実践と理論の融合)

「あいだ」こそが大事だとわかる中範囲理論(実践と理論の融合)

大学院で学ぶ「学習のデザイン」。前回につづけて理論について、今回はレイヤーの観点から整理してみます。

理論の階層

まず、すごく大きな話から入ると、理論の枠組みはこんなレイヤー分けで成り立っています。

哲学レベル:概念・存在論・世界観などメタ的な問い

理論レベル:理論のなかでの階層

実証レベル:方法論・アプローチ

上位はWhyで下位がHowのレイヤーですが、どれも〜論と呼べるような項目に

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文理を融合する横と斜めのデザイン実践知識(実践と理論の融合)

文理を融合する横と斜めのデザイン実践知識(実践と理論の融合)

大学院で学ぶ「学習のデザイン」。今回は前期の要の授業だった「実践と理論の融合」の最終課題を紹介します。

自身の専門領域のデザインで考えてみました。

分断しがちなデザインの現状

デザインでの実践と理論は、ビジネスの現場で活躍するデザイナーと、デザインとは何かを探索する研究者や批評家に、それぞれ分かれます。

ここがそれほど分断されている印象はありません。というのも、デザインの実践には理論が裏付

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「普通エンジニア」はみんなシアトルに来たらええのにと思う話

「普通エンジニア」はみんなシアトルに来たらええのにと思う話

 アメリカで、ソフトウェアのエンジニアをするというのは、ごく一部のものすごく優秀なエリートが達成できる境地…みたいに思っていないだろうか?そんなことは無いですよ。アホにゃんにゃんで、日本ではプログラマとして通用しなかった自分でもやれています。5年たった今でも自分的には最高に居心地が良くて楽しい!だから、なぜ私がタイトルのように思うかを解説したいと思う。

シアトルでエンジニアをやる楽しさ 本記事は

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「居心地が悪い」状態を「楽しめる」かが、自分の成長のコツかもしれない

「居心地が悪い」状態を「楽しめる」かが、自分の成長のコツかもしれない

 先日、自分の同僚の Anjana を観察していてふと気づいたことがあったのでシェアしたいと思う。彼女は比較的新しいメンバーで大学も出たてだが、めっちゃ優秀で、たまに彼女のメンタルモデルを質問して学ばせてもらっている。

新しい Http Scaling の Buddy 最近 Anjana が自分の担当している、Http Scaling の領域を私と一緒に受け持つようになってきた。この領域は最近ま

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インターネットの登場で本当に知識に価値は無くなったのか

インターネットの登場で本当に知識に価値は無くなったのか

長文ファンの皆様おはようございます。

昔はいろんなことを知っている人が賢い人だったが、インターネットの登場でそれが崩れ、知識は必要なくなった、wikipediaを調べればいいし、chatGPTに聞けばいい、と言われることがあります。

しかし、そもそも「知っている」とはどういうことなのでしょうか。

例えば日本の歴史に詳しい人がいます。何を聞いても少なくとも教科書に載っているような史実を知ってい

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評価とは比較ではないか。そうであれば、何と比較するのか

評価とは比較ではないか。そうであれば、何と比較するのか

長文ファンの皆様おはようございます。

「評価とは比較ではないか」と私は考えています。例えば仮に人生で一度も車を見たことがない人が、車を見てその車がいいか悪いかを判断することは難しいのではないでしょうか。車というカテゴリーそのものの評価はできても。

「目利きができる」人は、その領域で量に触れてきた人なのではないかと思います。
ただ、問題はある狭い範囲だけにふれてきた人は、短い物差しで測る癖

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