ジマタロ

デザイン・ストラテジーについて日々かんがえています。本・イベント・体験したことなどから…

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デザイン・ストラテジーについて日々かんがえています。本・イベント・体験したことなどから気づいたことをグラレコメモを交えて感想を書きます。2018年までのアーカイブはこちら( https://designstrategy-studyroom.blogspot.com/

マガジン

  • 学習のデザイン

    「学校教育にデザインを」をテーマに、学習がもっと面白く創造的になれるようなデザインを考えていきます。

  • デザインストラテジー Studyroom

    デザインストラテジーについて学ぶために、ビジネス・ソーシャル・クリエイティブのいろいろな視点から、本を中心に感想とグラレコを合わせて紹介します。

  • リビングルームのあるHOTEL

    みんなが集まってPC作業をしたりおしゃべりができる「リビングルームのあるホテル」をテーマに、自身が宿泊してみた面白いホテル・ホステル・ゲストハウスをマンガ形式で紹介していきます。

最近の記事

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Designship2022に登壇してみた

11月12日にdesignship2022でお話した内容を、こちらに共有します。 カテゴリとか肩書きにとらわれず、自分がこれまでデザインで取り組んだり考えたことを整理する機会にもなりました。どうぞご覧ください。 1.はじめに こんにちは、中島です。 モノとデジタルのデザインについて、お話しします。 僕はデザイナーとして仕事をはじめて、今年で20年になります。そのうち最初の10年はモノのデザインに、後半の10年はサービスやデジタルのデザインに関わっています。 今年のは

    • 創造を続けるためのネガティブ・ケイパビリティ(探究演習)

      大学院で学ぶ「学習のデザイン」。これまでは授業で学んだことの紹介が主でしたが、春休みなので少しの間は、自分の研究テーマで調べたことの内容を、本などを中心に紹介していきます。 今回はネガティブ・ケイパビリティについてです。 ネガティブ・ケイパビリティとは 聞き慣れないこの言葉、「あいまいな状況にあっても対峙し続けて可能性を見つける力」つまりネガティブさを受け入れるスキル、といったような意味になります。 こちらの本に詳しく書かれています。 何かを創ろうとした人なら、産み

      • 人的資本経営と人材育成(教育サービスの現状と未来)

        大学院で学ぶ「学習のデザイン」。今回は企業の人材育成と社会人の学びについて紹介します。 資源から資本へ これまで、企業は従業員のことを人的資源(Resource=コスト)として捉えていましたが、最近は人的資本(Capital=投資)として扱うように認識が変わってきています。 人的資本ってどういうことか?経産省はこう定義しています。 企業を木に例えてみます、果実の実が収益だとすると、収益を生み出す枝葉幹にあたる人材が強いことが企業の成長につながります。つまり、会社が成長

        • シンガポールやインドから学ぶ、学習のアップデート(教育サービスの現状と未来)

          大学院で学ぶ「学習のデザイン」。今回はデジタルの取り組みについて、アジアの事情から学びます。 日本とデジタル デジタルの時代ですが、世界デジタル競争力ランキングで、日本は32位と年々順位を落としています。アメリカやヨーロッパが上位に入る中で、シンガポール・台湾・韓国・中国は日本より上位にきています。 また、ランキングは日本より下ですが、インドの優秀なエンジニアが世界的なIT企業のCEOなどに就任していることは有名で、実質的には強いデジタル力を持っています。 日本の課題

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        記事

          図書館と学ぶ権利(教育サービスの現状と未来)

          大学院で学ぶ「学習のデザイン」。今回は図書館についてです。 真理・自由・人権と図書館 日本の図書館は戦後の1948年、国立国会図書館法のなか という考えのもと、図書館サービスが打ち立てられました。 図書館は基本的人権のひとつとして、個人の自由のプライバシーを尊重しています。例えば、0歳でも(!)本人の図書カードをつくって借りることができます。逆にどのような理由があっても借りた本の履歴を他人に知らせることはしません。 日本図書館協会では、自由の権利をこのように定めてい

          図書館と学ぶ権利(教育サービスの現状と未来)

          学歴とオープンバッジ(教育サービスの現状と未来)

          大学院で学ぶ「学習のデザイン」。ここから数回は春季講座で受けている授業で、教育業界でいまどういった変化が起こっているのかを紹介します。 日本の教育の偏り 世界から見ると日本の教育はこのくらい変わっています。 25歳までに大学に入る割合が99%(世界平均は83%) 大学にいる年齢幅はほぼ18-24歳(世界はおおよそ20-30歳) 成人後の自分の意思で入学を選択した人が少なく、早い年齢で学びを終えてしまっている、といえます。つまり日本は、人生のなかで自らが選択して主体的

          学歴とオープンバッジ(教育サービスの現状と未来)

          創造性は教えることができるのか?(認知学習論)

          大学院で学ぶ「学習のデザイン」。今週は認知学習論でこれまで学んできたことのまとめです。 この授業を受けた当初の目的として、学校で創造性は教えられるのか?学ぶことはできるのだろうか?ということを考えていました。15回の授業を通して、自分なりの考えを少し整理することができたので紹介します。 今回もめちゃめちゃ長いです。ご了承ください。 1. 創造性における学校教育の動向 本論は、学校教育のなかで創造性はどのように教えられているかを取り上げる。21世紀は不確実で予想が困難な

          創造性は教えることができるのか?(認知学習論)

          創造性と学校教育の課題を考えてみた(教育社会学)

          大学院で学ぶ「学習のデザイン」。今週は教育社会学のまとめです。創造性と学校をテーマにして、社会学と教育学の観点から何ができるのかをレポートにしてみました。 以下、長いですが(5000字くらい)お付き合いを。 要約:学歴社会における受験勉強の過熱化は、短期的な知識獲得を目的とした学習に偏っている。その一方で、21世紀の社会では答えのない問いに取り組むことが重要と言われており、偏差値の高い大学や高校では創造性を学ぶためのプログラムが採用されている。創造性を高めるには学校の中だ

          創造性と学校教育の課題を考えてみた(教育社会学)

          受け身ではない学びのための自己調整学習(認知学習論)

          大学院で学ぶ「学習のデザイン」今回は、学びたいという気持ちをどのように認知するか?ということについてまとめてみます。 自分で学習状況を管理すること 自己調整学習とは、学習者自身が自分の学習状況を俯瞰的に観察して、もっとよいやり方があれば修正していく取り組みです。ざっくり仕事的にいえばPDCAのことです。主にこんな4ステップです。 目標設定と方略計画 方略実行とモニタリング 方略結果のモニタリング 自己評価とモニタリング(1に戻る) ただPDCAとは違って会社や上

          受け身ではない学びのための自己調整学習(認知学習論)

          マイクロ・ティーチング実践(インストラクショナル・デザイン)

          大学院で学ぶ「学習のデザイン」、今回はID(インストラクショナル・デザイン)で実際の模擬授業を行なった内容です。 マイクロ・ティーチングとは これまでIDでは授業を設計するために、学習目標・評価方法・教授方略の3要素で組み立てること、授業の効果・効率・魅力を高めるためのメソッドを学んできました。 ただし知識だけでわかった気になるのは危険で、教える側の自分が実際にできる技能や態度の3要素がそろってはじめて習得したといえます。 技能や態度は実践しないと学べません。そこでマ

          マイクロ・ティーチング実践(インストラクショナル・デザイン)

          なぜ外国語の習得は難しいのか?(認知学習論)

          大学院で学ぶ「学習のデザイン」今回は言葉の学び方について、人はどのように認知して学習するかを、いくつかのキーワードから整理してみます。 即時マッピング 学校で勉強しなくても、子どもは言葉を自然に覚えます。1-2歳くらいに語彙爆発が起こり、1日に6-8語を覚えていくそうです。 例えば「くるま」を覚えるときは、親から1-2回教えてもらうと、次に新しいうさぎが出てきても「これもくるまだ」と認知できます。このように1つの事例から他にも適用して推論することを "即時マッピング"

          なぜ外国語の習得は難しいのか?(認知学習論)

          教師・学校・地域・政治(教育社会学)

          大学院で学ぶ「学習のデザイン」。今回は現代の教育を社会学的な視点でミクロからマクロへと考察しています。 教師(ミクロ) 学校の先生の仕事範囲はどこまででしょうか? 最近は、教師のブラック環境が明るみになっています。例えば部活指導の実態はサービス残業化になっていて、多忙さのために本来の授業の準備時間が取れないといった問題が出ています。 しかし一方で、現場の先生(この授業の生徒の一人は小学校の校長先生)がいうには、部活の指導によって、勉強ではパッとしない生徒を育てることが

          教師・学校・地域・政治(教育社会学)

          熟達と認知的徒弟制(認知学習論)

          大学院で学ぶ「学習のデザイン」今回は、教室で学ぶスタイルではなく、職人の世界の学び方についてです。 熟達とは スポーツ選手、演奏者、棋士、落語家、大工、料理人など、その分野の優れた人たちは、いずれも長い年月をかけて1つの道を学んで極めて、熟達の域に達します。 初心者と熟達者の違いは、こんな点があります。 目のつけ所が違う:大事な点に気づいて無駄な動きをしない 記憶力が違う:流れで捉えているので再現性が高い 課題遂行方法が違う:感覚的に法則や対応策を見出す(手続き的

          熟達と認知的徒弟制(認知学習論)

          学習の到達方法を設計する(インストラクショナル・デザイン)

          大学院で学ぶ「学習のデザイン」、今回はインストラクショナル・デザイン(ID)の学習到達方法についてです。 学習者にとって勉強の大半はつまらなさそうに見えますが、大人になって学校の教科書を読み返すとかなり面白いものです。このギャップを理解したうえで、興味を持って挫けずに取り組んでもらうための設計モデルをいくつか紹介します。 ARCSモデル アメリカの教育工学者ジョン・M・ケラーによる、1980年代に提唱された、学習者のやる気を高めるためのモデルです。 IDでは「学習者が

          学習の到達方法を設計する(インストラクショナル・デザイン)

          「概念を認知する」ということ(認知学習論)

          大学院で学ぶ「学習のデザイン」今回は概念についてです。 私たちは「概念」という言葉を仕事でも日常会話でも、よく使います。でもあらためて「概念って何?」という概念の概念をメタ認知的に考えてみたことってあまりなかったので新鮮な視点です。 境界があいまいな概念 概念の定義について見てみましょう。まず1つめです。 たとえば少年という概念だと、内包と外延はこうなります。 内包:男性、6-12歳くらい 外延:青年や幼児との違い この整理は定義を示すことに役立ちます。そしてこ

          「概念を認知する」ということ(認知学習論)

          学習成果を見える化する(インストラクショナル・デザイン)

          大学院で学ぶ「学習のデザイン」、今回は学習成果を分類してテーブルに並べる方法について3つのメソッドを取り上げます。 目標分類学 まず1つ目、目標分類学はアメリカの教育心理学者のベンジャミン・ブルームたちが整理した考え方です。学習で設定した目的を段階的にまとめたいときの指針として使われます。 まず、教育の目標とする領域を3つに分けます。 あたま(認知的領域) こころ(情意的領域) からだ(精神運動的領域) そして、それぞれに対して段階を提示しました。 あたま:知

          学習成果を見える化する(インストラクショナル・デザイン)