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地域の社会教育を企ててみた(社会教育経営論)

大学院で学ぶ「学習のデザイン」。今週から何回か、授業の最終レポートで提出した内容を紹介します。

これまで受けた授業を通じて、社会教育の大切さはわかっていても、学校とは違って義務でもないし強制もできないので、経営する観点がないと必ず廃れてしまうことが理解できました。

なので、社会教育士は教えるだけでなく、学びをコーディネートするスキルが求められます。このことを模擬的に企画してみました。

課題テーマ

出された課題はこちらです。

自らが居住する自治体、あるいは、勤務地の自治体、もしくは、興味関心がある自治体の社会教育施策について、事例を参考にしながら、構想してください。

私がすむまち〜東京都府中市について(Chat GPT生成文章を下地に記載)

  • 面積:29.34平方キロメートル

  • 人口:約26万人(2023年現在)

  • 位置:東京23区の西側の多摩川沿い、調布市、国立市、小金井市などと隣接しています。

  • 歴史:府中市は、古くから交通の要所であり、甲州街道の宿場町として栄えました。特に江戸時代には、府中宿として多くの旅人が行き交い、商業や文化が発展しました。また、武蔵国府が置かれていたことから、「府中」という名前が付けられました。

  • 名所:大國魂神社は武蔵国の総社であり、約1900年の歴史を持つ神社です。毎年5月には大規模な「くらやみ祭り」が行われ、多くの観光客が訪れます。

府中市を対象に、どんな社会教育ができるかを考えてみました。


提案:市のラジオ番組での生涯学習

私が住んでいる東京都府中市は「87.4MHzラジオ・フチューズ」という、ラジオ放送局をもっています。この放送局の場を教育に活用して、市民の学びの機会を提供する企画を提案します。

市のラジオ番組は、全国放送などのラジオ番組との違いを出すために地域性に着目した番組などが多くありますが、リスナー層がかぎられてしまい、府中市に限らず放送時間が埋まっていな状態が多くみられます。

ラジオフチューズのある日のタイムテーブル

ここに着目して、社会教育を入れられないかと考えます。

理由は、市民センターや生涯学習センターなどの施設を使うと、参加人数や時間帯が限られ、腰の重い活動になってしまうからです。ラジオにすることで自宅でながら作業をしながら、教育を受けることができます。

ラジオフチューズは、市民メディア・地域密着のメディアを理念に掲げており、市全体で社会教育を受ける場として適するかと考えます。

画像引用:ラジオフチューズより

番組をオーガナイズする

社会教育士の資格を持つラジオ・パーソナリティが全体の企画を担います。週に1回60分の番組を確保します。

番組では毎回ゲストとして専門家を招きます。専門家も社会教育士であることが望ましいですが、その限りではありません。専門家は必ずしも説明が得意ではないので、ラジオ・パーソナリティである社会教育士の、ファシリテーション力やコーディネート力が求められます。


ゲストの専門家を集める

市に在住する専門家を募集します。日常生活でなかなか接点のない職種や、無償で話を聞くことができないような職業の人です。大人になってからの学びということで、例えばこのような方々。

  • デザイナー

  • 漫画家

  • ITエンジニア・プログラマー

  • 経営者・起業家

  • 市民活動家

  • 外国語話者

  • 国際的に活動している人


本を軸に講義する

ラジオでは、専門家に進行を自由にまかせると、どうしても自身が話したいことだけを語り、小難しく一方的な伝達の授業スタイルになってしまいます。なので、ある程度プログラムの型を持っておき、かつ運営のための費用が確保できるビジネスモデルが必要です。

私が考えるラジオ番組は、1冊の本についてゲストの専門家を招いて解説する、というプログラム内容を考えます。

本の種類は、ビジネス専門書から歴史や社会に関するもの、あるいは小説など様々ですが、いまの社会を生きるうえで大切な題材をオーガナイザーが選定します。60分の番組で、次の進行プログラムをベースとします。

  1. オープニングと自己紹介(3分)

  2. 本日取り上げる本と専門領域(3分)

  3. ポイントa(10分)

  4. ポイントb(10分)

  5. ポイントc(10分)

  6. エンディング(5分)

途中で曲を3つとCMをはさむと、トーク自体は45分以内です。

番組ではオーガナイザーの社会教育士が司会進行を担い、専門家に解説してもらいます。前の週で次に取り上げる本を紹介し、学習者であるリスナーは事前に予習することを推奨します。


図書館と連携する

本を取り上げる番組なので、市の図書館と連携します。図書館では番組で取り上げられた本だけでなく、関連する本を特集することで、図書館を利用する市民が増えることにつながります。

専門家や番組のリスナーが特集内容に主体的に関わることで、図書館スタッフだけでなく市民と一緒になって訴求する活動がうまれると考えます。

画像引用:府中市立図書館より(ほぼ毎週利用しています)

スポンサーから運営費を確保する

番組を運営するにあたり、通常であれば使用料を支払う必要がありますが、府中市と出版社からそれぞれスポンサーになってもらい、広告と番組内での宣伝を行うことで、使用料と出演者への謝礼金など、運営費を継続的に得ることを考えます。

画像引用:FMラジオフチューズより(週1回で15万円以上の予算確保をめざす)

あるいは府中市に所在する企業への依頼も考えられます。例えば府中市には東京競馬場がありますが、収益を社会に還元する活動の一環として、金融教育などに関連するテーマで番組に登場してもらうことも考えられます。

画像引用:JRAより

他にも、府中は工場や刑務所などもあり、市民との距離を近づけるという目的において、双方に利点があるかと考えます。


社会教育で学び続ける市民を育てる

ラジオ番組の継続によって、リスナーである市民が、図書館と接する機会が増えたり、市の活動に関心を高めるなどの交流やつながりが増えることを目指します。

市の理解を得て、教育費などの予算の一部としてサポートを得ることで、市全体で学び合う環境をつくることが、本活動の狙いです。

実施の課題は、市とスポンサーの協賛を得ること、ゲストスピーカーをどのように集めるか、市民にどのように周知するか、という3点です。

はじめから質と量を兼ね備えたコンテンツを提供しつづけることは難しいので、まずは1年目の計画と目標を立てて賛同者を集めることの下準備を行い現実性があるかを段階的に見極めるべきだと考えます。


学んだこと

以上が、レポートで提出したものです。こうして考えてみてあらためて、学びを社会に定着させることの難しさを体感できました。

生涯学習は、楽しくないと続かないし、何か役立てられないと優先度は下がるし、簡単にお金がうまれるビジネスでもありません。そんなことを理解したうえで何ができるかを、社会教育士は考えて実行する役割を担います。

僕自身はごく限られた機会でしか教員としての活動はしていませんが、ビジネスとして成り立たせるための実務経験はそれなりにあるつもりです。そう考えると、このタイミングで社会教育から学習領域に踏み込めたことは、ちょうどよいと思いました。これから実践機会を増やしていきます。

今日はここまでです。

デザインとビジネスをつなぐストラテジーをお絵描きしながら楽しく勉強していきたいと思っています。興味もっていただいてとても嬉しく思っています。