牛尾 剛

米マイクロソフトの Azure Functions プロダクトチームのシニアソフトウェ…

牛尾 剛

米マイクロソフトの Azure Functions プロダクトチームのシニアソフトウェアエンジニア。シアトル在住。Serverless, DevOps, Agile などソフトウェア開発のよりよいやり方に興味があります。ブログは個人の意見であり所属会社と関係ありません。

最近の記事

ADHD の自分が細かさを手に入れるための戦略と実践

 アメリカに来て5年、そして今のチームに4年居てようやくソフトウェアエンジニアとしてこういう風にしたらいいんじゃないかなぁ。的なことが見えてくるようになりました。相変わらずどんくさいのですごく時間がかかったけど。  じゃあ、次の段階は自分の最終目標である「良いエンジニアになる」だ。自分が「自らやる」ことが上手くできたためしのない自分が4年もエンジニアとしてサバイブしているので、素直に自分をほめてあげたいがそろそろ次のステップの作戦を立ててみたら良いだろう。 「細かさ」チャレ

    • アメリカのシアトルでエンジニアになる方法

        前の記事で、普通エンジニアはシアトルにみんな来たらええのにという記事を書いて、もし沢山読まれたら具体的にどうやったらええかを書くわ!と書いたら結構読まれたので約束通りフォローアップ記事を書きます。お断りしておきますが、私の所属会社の意志ではなく、個人の意見です。 一番重要なのは「できるものなのだ」と認識すること 先のブログでも少し書いていますが、もしシアトルで働きたかったら、一番最初に重要なことは私は「可能である」と認識することだと思います。  私も昔英語がうまくなり

      • 「普通エンジニア」はみんなシアトルに来たらええのにと思う話

         アメリカで、ソフトウェアのエンジニアをするというのは、ごく一部のものすごく優秀なエリートが達成できる境地…みたいに思っていないだろうか?そんなことは無いですよ。アホにゃんにゃんで、日本ではプログラマとして通用しなかった自分でもやれています。5年たった今でも自分的には最高に居心地が良くて楽しい!だから、なぜ私がタイトルのように思うかを解説したいと思う。 シアトルでエンジニアをやる楽しさ 本記事はもちろんマイクロソフトはなんの関係もなくて、自分の意見であるが、私はマイクロソフ

        • 「居心地が悪い」状態を「楽しめる」かが、自分の成長のコツかもしれない

           先日、自分の同僚の Anjana を観察していてふと気づいたことがあったのでシェアしたいと思う。彼女は比較的新しいメンバーで大学も出たてだが、めっちゃ優秀で、たまに彼女のメンタルモデルを質問して学ばせてもらっている。 新しい Http Scaling の Buddy 最近 Anjana が自分の担当している、Http Scaling の領域を私と一緒に受け持つようになってきた。この領域は最近まで私しか担当が居なかったので、Pull Request のレビューで苦労したり、

        ADHD の自分が細かさを手に入れるための戦略と実践

          ブルースと黒人音楽の体験を求めて

            私は普段はシアトルエリアに住んでおり、ソフトウエアエンジニアをやっている。一方で自分の音楽的な趣向の最大のものは黒人音楽でありブルースである。特にデルタの香りがするディープなシカゴブルースが大好物だ。   しかし残念なことにそのような演奏をする本物はほぼ亡くなってるし、自分が知らないだけかもしれないがシアトルエリアではお目にかかれない。だから5年前にアメリカに来てから最も行きたかったところがミシシッピ州。   特にクラークスデールだった。クラークスデールの付近にデルタ

          ブルースと黒人音楽の体験を求めて

          見積せえへんねやったらどうやって予算取りするねんという話

          私は世界規模のクラウドプラットフォームの開発者で、現在はシアトル付近に住んでいる。  先日書いた自分のポストに対する反応で面白い意見があってそれを読んでそらそう思うやろなぁと思った。ただ、私も別に嘘を言っているわけではないですし、これでビジネスも回っている。面白そうなので、その辺も調べてシェアすることにしてみました。 自分のチームの開発プロセス的なものこちらの方に自分のチームが現在やっている開発プロセスは書いてある。アジャイルとか、DevOps 以降の手法であるが、厳密にア

          見積せえへんねやったらどうやって予算取りするねんという話

          エンカレ大学で大学生の皆さんに講演して質問が来たので回答してみた。

          今日はちょっとしたポストを。著作の関係があって、大学生の皆さんに次のような講演をしてきました。いくつか質問をいただいたので例によって全部回答したいと思います。ちなみに、エンカレ大学に入っていると、今日の動画が1カ月後ぐらいに公開されて観れるようになるらしいですので、お楽しみに!  わかります。このようなケースでお勧めの作戦は、ある程度上の方(部長とか、事業部長とか)に、社内勉強会等で発表させてもらうことを作ることがお勧めです。例えば「理解に時間をかける」というプラクティスを

          エンカレ大学で大学生の皆さんに講演して質問が来たので回答してみた。

          Frog カンファレンスが楽しかったので、質問に全部答えてみた

          先週、カナダのバンクーバーの Frog カンファレンスで「世界一流エンジニアの思考法」のからみで、ありがたくも基調講演のスピーカーとして呼んでもらえました。これがきっかけらしい。ちなみに、yuya さんのPodCastも楽しいよ。 初めてのバンクーバーというのもあって、とても楽しかったので、イベントに寄せられた質問に勝手にすべて回答してみようと思います。すべてが私に寄せられた質問ではないので、答えられないのもありますが、そこは聞かれてないけど勝手に答えてみます。 私は何か

          Frog カンファレンスが楽しかったので、質問に全部答えてみた

          ウォータフォールはやめて2024年の開発をやろう!

           今回の記事は特に私の意見であり、所属会社の意見ではないことをお断りしておきます。  最近になってまたウォータフォール vs アジャイルの議論を見かけることが多くなってきたので、私が勤務する米国の世界規模のクラウドプロバイダーでは2024年現在どんな開発をしているのかをご紹介したいと思います。私はこれが「正解」といいたいのではなく、何らかのポイントが皆さんの何らかの参考になったらいいなと思って筆をとりました。 ちなみに、2016年時点で私のウォータフォール開発に対する考え

          ウォータフォールはやめて2024年の開発をやろう!

          「勉強がめっちゃ出来る人」と出来ない自分のメンタルモデルの違いに気づいた話

          先日めっちゃくちゃありがたくも YouTube や、『科学的根拠に基づく最高の勉強法』で著名な安川康介先生と対談することができました。自分は単なる先生のファンという感じでいろいろな質問に答えてもらえて役得かつ至高の時間で最高でした。  個人的には勉強法というのは、人生において最高にレバレッジの効くテクニックだと思っているので、下記の本を読んでいない人は人生損していると思いますw この本は人生で読んだ勉強法の本の中で一押しです。 物事を記憶する肝は、アクティブリコールつまり、

          「勉強がめっちゃ出来る人」と出来ない自分のメンタルモデルの違いに気づいた話

          カオスの世界が秩序の世界を圧倒してるかもしれないという話

           私は米国でマイクロソフトのクラウドのサーバレスプラットフォームの開発者をしている。今日はふと気づいた「良い」と思っていたことがもしかするとソフトウェア開発だとちょっと違うかもということに気づいたのでシェアしたいと思いました。  私の意見は自分のものであり所属会社とは関係ありません。 日本はめっちゃくちゃきっちりしている国 アメリカに来て思うのは「日本はめっちゃくちゃきっちりしてる国だなぁ」ということだ。電車は時間通り来るし、宅配を頼んでも荷物がボコボコではないし、サポー

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          クラウド人材って一体何やねん?

           先日個人的に勝手に尊敬している登さんにインタビューした記事があって面白い切り口やなぁと思ったので自分でも考えてみることにした。今回も自分の所属会社ではなく、私個人の意見であることを強調しておきます。  この記事ではいろいろなことが書いてあるが、クラウド人材というのは、クラウドを「創れる」人であって「使う」人ではないと書いてあります。私はアメリカのレッドモンドでマイクロソフトのクラウドAzureの開発者なので、この定義でも「クラウド人材」と言えると思います。自分としては、上

          クラウド人材って一体何やねん?

          歴代最高の「職場環境の秘密」が分かってきたかもという話

           今の職場はアメリカのマイクロソフトのレッドモンドキャンパスでもう5年ぐらい働いている。正直めっちゃくちゃ快適で居心地がよい。英語のハンデがあったとしても正直過去に勤めたどんな会社より圧倒的に快適。人生でここでもう最後までやってもええわと思えたのは本当に初めて。  なんでやろう?といろいろ考えてきたけど、最近いろいろ見えてきたことがあるのでシェアしてみたい。  毎回そうなのだけど、これは所属会社の見解とかではなく、一個人の意見であることをお断りしておきます。 この職場はどう

          歴代最高の「職場環境の秘密」が分かってきたかもという話

          今のチームに来てから最も生産性が上がった考え方

           多分今回のポストは多くの人には参考にならないだろう。相当ニッチなので。でもこれは自分にとってはとても大きなことだったので、忘れないように記録しておきます。 生産性の悩み あまりこの世界では生産性とはあいまいな言葉で、何をもって生産性が高いとは言いにくい。速いのが良いのではない。ただ、自分の実感として自分は生産性が良くないといつも感じていた。だからいろいろ努力したり、考え方をできる人を観察して真似してみたり、直接本人に聞いたりして工夫をしてきた。  実は自分はめっちゃコーデ

          今のチームに来てから最も生産性が上がった考え方

          世界一流エンジニアは自分と考えが真逆だった話

           今日はちょっと驚いたことがあったので、自分の記録のためにも書き残しておきたい。 ライブサイトの問題 自分のやっているプロジェクトで問題が起こって、その障害の復旧と調査にあたっていた。問題は大きいが、DividedByZero が起こっている。これはスポットしやすい。  自分の見慣れたコードパスをログを頼りに DividedByZero が起こりうるところを特定する。  実際にそれが起こるところは2点と特定する。 フロントエンドが0台になる アプリケーションの必須の設定

          世界一流エンジニアは自分と考えが真逆だった話

          マイクロソフトの時価総額3兆ドル突破が嬉しいので中から見てたらどんな感じだったかを書いてみた

           私はマイクロソフトに2015年に入社して、日本のリージョンでエヴァンジェリストをしたのちソフトウェアエンジニアになって、今アメリカの Redmond で Azure の開発者として勤務している。中の人としてはとても嬉しいニュースで感慨深い事なのでブログを書いてみたい。尚、ここに書いていることは単なる私の体験で、私の意見であり、所属会社の見解ではないことを断っておく。 マイクロソフト前夜 私は子供のころから、マイクロソフトのコンピュータは全然使ってなくて、マイクロソフトに入

          マイクロソフトの時価総額3兆ドル突破が嬉しいので中から見てたらどんな感じだったかを書いてみた