歴代最高の「職場環境の秘密」が分かってきたかもという話
今の職場はアメリカのマイクロソフトのレッドモンドキャンパスでもう5年ぐらい働いている。正直めっちゃくちゃ快適で居心地がよい。英語のハンデがあったとしても正直過去に勤めたどんな会社より圧倒的に快適。人生でここでもう最後までやってもええわと思えたのは本当に初めて。
なんでやろう?といろいろ考えてきたけど、最近いろいろ見えてきたことがあるのでシェアしてみたい。
毎回そうなのだけど、これは所属会社の見解とかではなく、一個人の意見であることをお断りしておきます。
この職場はどう快適なのだろう?
全部英語の環境で、日本人の私にはコミュニケーション面で大変きついはずなのだが、快適な理由を考えると「人間関係のストレスが0」であることが大きいと思う。大体のストレスの理由は人間関係らしいし。
過去にどんな会社にいても、様々なバトルがあったり、人の陰口を言う人とか、嫌な人がいたり、意地悪をするような人がいたり、他人の足をひっぱったり、パワハラ的なものがあったり、私は過去の会社も良い職場環境のところばかりだと思うけどそれでもそういうことがあるのは普通だった。もちろん大抵の人はそんなことはないのだが、ここでは対人のストレスがマジで0でほんまいい人しかいない。みんなお互いのことを尊重しているから技術的なディスカッションはあれどバトルにすらならない。どうなってるの?
文化面での違い
ここはアメリカであり、インターナショナルチームであるので、「人はこうあるべき」みたいなものがないことも関係しているかもしれない。様々な国の人、インド、ロシア、オーストリア、メキシコ、日本、エジプト、アメリカとかそんな感じなので、もう文化的になにも共通していない。だから、「常識」が無い。マイクロソフトだと「ダイバーシティ&インクルージョン」というコンセプトが浸透しているので、誰かが差別されてるとかそんなのも少なくとも私は見たことが無い。違っているのが当然だから。
また、アメリカの場合、飲み会みたいなものが無い。部で仕事以外で集まるモラールイベントは大抵昼間に行われる。ある意味人間関係が日本みたいにディープではなく、あっさりとしていて、それぞれが適度な距離をたもちながら、お互いあまり干渉しすぎることないところも文化的な面での貢献かもしれない。この辺は、ベルビューで講演した時に、シアトルやカナダで働いている在米の人に聞いてみて大差ないので多分文化的な面かと思われる。
「アメリカ人」に聞いてみた最大の要因
ただ、私はアメリカに来てからずっとマイクロソフトだし、今のチーム、そして前のチームの2つにしか所属していない。両方同じぐらい快適だったので、「マイクロソフトはそう」なのかなぁとぼんやり思っていたがそうではないようだ。私はメンタリングセッションの時にアメリカ人で私のメンターのクリスにこの疑問をぶつけてみた。「アメリカ人」の彼はどう思っているのだろうか?これは普通過ぎるのだろうか?
最大の要因は「チームの違い」
彼はアメリカ人なのできっと、「アメリカ人から見た視点」を教えてくれるだろう。彼が言った最大の要因は「チームの文化」だった。マイクロソフトですら無いようだ。つまり、これは、我々でも真似をできるということを意味する。
牛尾:この職場は本当に最高で、私はこれがアメリカの文化なのか、マイクロソフトの文化なのかよくわからない。でも誰もバトルしてないし、足を引っ張るような人はいないし、誰も陰口とかいってなくて本当にいい人ばかり。だって人間関係が一番ストレスになるだろう?でもここでは全くないのは本当になんでなのかな?
クリス:僕は「チームの文化」だと思う。この組織の。この組織のリーダーは本当に文化を気にしている。自分が昔にいたチームは違っていたよ。アメリカでももちろん、バトルがあったり、いじめとか、嫌な奴とかいるよ。でもここにはいない。
昔チームが合併した時があって、そこには、Toxic (毒のある)なマネージャとかがいたんだ。でもそういう人は全員いなくなったよ。
たしかに、うちの組織の人は出戻りが多い。他のところに行ったらきっと如何に快適だったのかがわかるのだろう。クリスの友達もそう言って出戻って楽しく仕事をしているらしい。
もちろん自分がめっちゃ快適なのは、それだけじゃなくて、技術的に超面白いことをさせてもらえるとか、同僚めっちゃ出来る人ばっかりで尊敬できるとか、お給料ももったいないぐらいもらえるし、福利厚生とかの面でも凄いので、本当になんの不満もないというのもあるけど、きっと最大は「人間関係ストレスゼロ」だと思う。
チームカルチャーは創れる
確かにアメリカの映画とかドラマを見ててもいじめっ子とかいやな上司とか絶対出てくるけど、ここには本当に居ない。でもそれは、「チームカルチャー」で、きっと、そういった人がいたら、このチームではいくら仕事が出来ても評価されないから辞めていったのだろう。そういう文化は組織の意志があれば、創れるようだ。
マイクロソフトのノリもサティアになって以降「ダイバーシティ&インクルージョン」で人を助ける人が評価されるし、サティアも「自分がCoolになりたい人ではなくて、お客さんにCoolになってほしい人に来てほしい」と言っていたので、最近のマイクロソフト自体のカルチャーもかなり影響はしていると思う。ただ、最終的にそういう決定的に快適な環境を作るのは組織レベルぐらいということのようだ。マイクロソフト全体もサティアが主導した文化の導入で変わったのだから、組織でも会社でも結構トップが「良いカルチャーを重視する姿勢」というのはとても大切なようだ。
ほんとうに、ほんとうに、そういう人間関係のつらさが無い環境は何物にも代えがたいぐらい最高です。すべての職場がそうなって欲しいなと思って、今日分かったことをシェアしてみました。決定的な要素は、国の文化とか、運とかでなくて「作られた」ものなので、きっと日本でもやればできるのだと思います。
もしよかったら、この本はエンジニアとついていますが、ビジネス書ですので、エンジニアでなくても楽しんでいただけると思います。アメリカの巨大テック企業のカルチャーの話も沢山書いていますので、よかったらどうぞ。