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統合失調症-病棟記録

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私は、統合失調症です。その発症・入院・退院までの記憶と、精神科病棟の中で出会った人々のことを綴ったマガジンです。
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記事一覧

【閉鎖病棟】⑦ただ、飯を食う!という特別な思い

【閉鎖病棟】⑦ただ、飯を食う!という特別な思い

1日3度の食事。
薬とラジオ体操と病棟散歩。

時々、風呂。

ここは、退屈で仕方がないな…。
小さな心の余裕が生まれた時。
閉鎖病棟の中。

毎日の健康チェック、食事、服薬。
ただ、それだけ。

ラジオ体操と風呂は、自由。
ただ、その時間に行くか、行かないか、それだけ。

外へ出たいなら行けばいい。
ただしその許可があるなら。

煙草は、時々吸えばいい。

トイレは、行きたくない。

まだ、保護

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【閉鎖病棟】⑥聞こえるもの、見えるもの、感じるもの

【閉鎖病棟】⑥聞こえるもの、見えるもの、感じるもの

あなたとわたし。

それぞれ同じようで違うこと。
だけど、誰もが持っているもの。

病について、誤解はつきもの。
それは統合失調症に限ったことではないはずで…。

よく分からない病院。
よく分からない病気。

それが、
人を怖いと感じさせるのか…。
暗く閉鎖的に思わせるのか…。

精神科病棟に入院している患者は実に様々で、
与えられた病名、
主なその症状、
回復のペース、
みながそれぞれに違うのは

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【閉鎖病棟】⑤憎いそのヒゲをどうするかってこと

【閉鎖病棟】⑤憎いそのヒゲをどうするかってこと

女だらけの閉鎖病棟。

少しづつ戻ってきた。
女子が綺麗になる感覚。

私を支配し見張っていたのは、鏡の中の何者か。
そいつは時々私に命令をする。
統合失調症の陽性症状による幻覚や妄想は、とてもわかりやすい。

現実にはないもの。
それらがまるで本当にあるかのように、見えたり聞こえたりする。

何かに怯えたり、
何かと会話をしたり、
それに従うことも、
それから逃れることも、

その様な行動は、明

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【閉鎖病棟】④毎朝パンを食べる方法

【閉鎖病棟】④毎朝パンを食べる方法

朝食は、コメ派?パン派?

私は、パンが好き。
だけど、ここの朝食は毎日コメだ。

閉鎖病棟での生活も、ひと月位すれば慣れたものです。ここでの生活は、悪くもなく。
しかし、決して快適でもなく。

そういうものだ。

という意味での「慣れ」かもしれません。

治療は順調。

初期は、薬の副作用が酷く出る時もありました。
ピタリとくる薬に出会うまでは、ストレスの日々でした。
(このことは、また別の機会

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【閉鎖病棟】③断捨離みたいなもの

【閉鎖病棟】③断捨離みたいなもの

入院してること、
ちゃんと話してないけれど。

そんなの、誰も気にしてない?

ちょっと体調を崩して、入院してるんだ。お見舞いなんて、いらないから。
閉鎖鎖病棟の扉は常に施錠されています。
誰も自由に外へ出る事はできません。

例え、医師から外出許可が出ている場合でも。
外出時の施錠管理は全て看護師が行います。

だから、精神科病院に入院している患者に会いに行く場合は、「お見舞い」というよりも「面

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【閉鎖病棟】②寝床と風呂場と公衆電話…

【閉鎖病棟】②寝床と風呂場と公衆電話…

人生初の入院。

それが、精神科病院だなんて。
ちっとも想像していなかった。

4人部屋。
カーテンで仕切られた、私だけの空間。
私が入院することになった精神科病院は、少し前に建て替えを済ませたばかりのようでした。

他の病院と何ら変わりのない外観。
広々と、新しい匂いのするロビー。
一見すると、精神科病院だとは誰も気付きそうにない。

そんな、印象を受けました。

病室にある全てのベッドが窓に

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【閉鎖病棟】①ひとつ前へ進むこと

【閉鎖病棟】①ひとつ前へ進むこと

今まで、
よくも平気でいたものだ。

こんなにも、騒々しく息苦しいところに。

入院は、急性期症状の改善を目的として。最低でも3ヶ月、長ければそれ以上。私の入院に関して。

「娘さんは、しっかりしている。
 十分に、回復が望めるでしょう。」

担当医師は、こう話していたそうです。

私が母と、この精神科病院へ来たのは、確か。
つい先日、30歳の誕生日を迎えたばかりの日で。

暑くもなく。
寒くもな

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【閉鎖病棟】⓪保護室で過ごす日のこと

【閉鎖病棟】⓪保護室で過ごす日のこと

わかったのは、私は、生きているということ。

よかった。
今は、それだけでいい。

そう言えば、病院へ向かうタクシーの中。とても寒くて、酷く喉が渇いていたのは、こんな妄想があったから。
私は、さっき死んだのよ。
今から、お墓に入るわ。

だから、

綺麗にお化粧をして頂戴ね。
沢山お水をかけて頂戴ね。

「自分」について、
とても冷静に、不思議と心穏やかでした。

既に、どこまでが現実なのか、

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私が統合失調症で入院するまで。②自分がいまここにいる感覚

私が統合失調症で入院するまで。②自分がいまここにいる感覚

所々に抜け落ちた記憶。

いくつかの取り戻せない時間。
それでも不思議と覚えていることはあるんです。

心療内科受診から1週間後に、私は大学病院の精神科を受診しました。十分な睡眠と休息。
適切な服薬。
定期的な通院とカウンセリング。

全て、私には意味のないことでした。

症状はより酷く、明らかに。

間もなくして、
私は、母に連れ添われ学病院の精神科に向かいました。

強い恐怖心、不安感。
この

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私が統合失調症で入院するまで。①日常がストレスに変化した時

私が統合失調症で入院するまで。①日常がストレスに変化した時

発症のきっかけ?

きっと、
本心を悟られぬよう、笑って過ごすのが辛かったんです。

それまで、私の生活の中心は仕事でした。職場へは電車で30分程。

とにかく毎日が忙しくて、
終電が終わった後に、タクシーで帰宅する日が多くありました。
出張も頻繁で、しばらく家に帰れない事もありました。

ロクに寝ず、また仕事。
ロクに食べず、また仕事。

そんな毎日がちょっと格好いい。
だって、仕事は楽しかった

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私の統合失調症の治療について。寛解へのステップは、思えばここが始まりでした。

私の統合失調症の治療について。寛解へのステップは、思えばここが始まりでした。

寛解は限りなく回復に近づくもの。

例えば、
私の場合はこんな感じ。

統合失調症には、「完治」という概念がない。だけど、それは絶望的という意味ではありません。
自分の病気について。
私が、きちんと理解できるようになるまでには、少し時間がかかりました。

精神科病院に入院することになった私は、しばらく保護室で過ごしていました。
ここは、とても不思議な空間で、その時の感覚は今でもよく記憶しています。

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