マガジンのカバー画像

トシバウロンエッセイ

18
運営しているクリエイター

記事一覧

吐くまで呑む夜を幾つ繰り返せるか

吐くまで呑む夜を幾つ繰り返せるか



やってしまった! 人生の汚点をまた増やしてしまった。



コロナ禍でキャンセルになっていたバンドのツアー。ようやく再開に漕ぎ着けた。一日一日を大切にしたい。そんな思いで企画を練った。

大阪淀屋橋にあるカフェ周。オーナーの稲本さんが素晴らしい人で、このハコに自分のバンドを連れて行きライブをする。その夢が実現した夜。僕は明らかに浮かれていた。

自分の酒量を越えて飲み続け、最後は潰れてしまった

もっとみる
釣りにハマってアタリ中毒

釣りにハマってアタリ中毒

 先日、友人二人と小浜に釣りに行った。僕は釣り道具を買ったのは昨年で、まだまだ初心者。二人はもう10年近く釣り歴のあるベテランだ。

 今回はルアー釣りに挑戦した。シーバス(スズキ)に狙いを定め釣る。ビギナーズラックだろうか、釣り始めて1時間でアタリが来た。最初、針が海藻に引っかかったのかと思った。そのくらいズシっと重かった。これはデカい! 慌てて助けを呼ぶ。タモを持った友人が駆けつけてくれたが、

もっとみる
藤井新棋聖誕生によせて〜世間と棋界の温度差〜

藤井新棋聖誕生によせて〜世間と棋界の温度差〜

 昨日は歴史的な日になった。何をするにしても手がつかないくらい、将棋に見入ってしまった。

 藤井聡太七段が最年少、17歳で将棋のタイトルの一つである「棋聖」を獲得したのだ。普段あまり注目されることのない棋界のニュースも、この日ばかりは世間のどのニュースよりも大きく、トップで報道された。価値として高いのだろう。そして世間の耳目も集めやすい。29連勝を達成した時が第一フィーバーとすれば、これは第二フ

もっとみる
棋士の扇子からみる、リズムと思考の関係

棋士の扇子からみる、リズムと思考の関係

 最近は将棋のニュースばかり追いかけている。藤井聡太が強い。最年少タイトル獲得はほぼ間違いないだろう。

 色々な記事が強さの秘密に迫っている。それを読み漁るのも日課の一つだ。その中で、最近面白い着眼点を見つけた。短い文章だが引用する。

「藤井七段は閉じたままの扇子を手元でくるくるさせながら読むのがいつものスタイルです」

「詰将棋解答選手権では消しゴムをくるくるさせるながら、猛スピードで難解な

もっとみる
最後の晩餐に、それを選びますか?

最後の晩餐に、それを選びますか?

 よく、最後の晩餐に何を食べたい?と戯れに訊くことがある。訊かれることもある。

 正直食べたいものはいっぱいある。そして、それは季節や気候や時間帯によって、毎日変わる。前に食べたものからの連鎖的なイメージでも変わるし、その日の行動内容でも変わる。従って、臨終直前の気分はその時しかわからないから、正確に答えるならば、やはり間際に訊いて欲しい。死に瀕している枕元で、そっと僕に耳打ちしてください。「い

もっとみる
味噌汁の具はナメコがいい

味噌汁の具はナメコがいい

 前回食べ物の話が書けない話を書きました。

 書いた後、思いつきました。食べ終わった後、次に食べる前の、中間の時間帯に書けばいいのだと。満腹で食べ物の話を書く意欲に失せている。空腹で食べ物の話を書く気力がない。そういった悩みから解消されます。

 ということで今食べ物の話を書いています。ちょうど午前の10時くらいですね。

 さて、先日味噌汁にナメコを入れました。味噌汁の具、大抵冷蔵庫にあるもの

もっとみる
食べたい!と思う文章が書けない理由

食べたい!と思う文章が書けない理由

 先日、とあるコンテストに応募しようと書きなぐったエッセイ。不評でした。エッセイのタイトルが良くなかったのかな。それともテーマかな。僕としては面白い遊びかな、と思って書いていたんですが。

 どんな話だったかというと、コンテストに応募しようとしていると、「歌詞募集」と「レシピ募集」が同じカテゴリーに入っている。変だな、と思った。でも面白いから、それならレシピになる歌詞を書いちゃえ、とそんなお話でし

もっとみる
コンテストに応募してみよう

コンテストに応募してみよう

 私の目下の興味は音楽と食だ。どちらも感性を刺激する、という点では共通している。ミュージシャンはおしなべて食べるのが好きだし、料理人たちは音楽を聴くのが好きだ。と、言ってしまうと大きすぎる物語だが、傾向として、感覚を使わざるを得ない、というのは共通している。

 私はこの興味のある分野二つに関して、現在執筆を進めている。せっかくだし、何か書いたものをどこかに送ってみようかな、と思い「登竜門」という

もっとみる
ダジャレが楽しい

ダジャレが楽しい

 現在42歳。

 加齢のためだろう。最近ダジャレをつい口にしてしまう。よく人に指摘される。こんなにダジャレを口にしてたっけと。

 自覚はある。前頭葉のブレーキがかからなくなっているのだ。側頭連合野は活性化し、連想記憶の能力は高まっているから、厄介だ。

 思いついた後、言った後に達成感を感じる。ダジャレを口走った後、脳のどこかが光ってるのは快楽を感じている証拠、と言う趣旨の実験をテレビで見て、

もっとみる
炊飯器を食べられた話

炊飯器を食べられた話

 私はホラーは苦手だ。ホラー映画も苦手だし、怖いシーンは顔を手で覆ってしまう。それでも、指の間は少し開けて、つい覗いてしまうのだが。

 これは私の身に起きたホラーな話。そして、あなたの身にも起きるかもしれない話である。指を開けて、こっそり覗いてみてほしい。

* * *

 私はツアーミュージシャンなので、家を空けることが多い。1ヶ月に1週間しか家にいない、ということもザラだ。これは、そんな私の

もっとみる
鍵盤奏者になった話

鍵盤奏者になった話

 私はミステリーが好きだ。ミステリー小説を愛読しているというほどではないが、

「不思議な話があってね」

と前置きされると、首を突っ込んでしまう。これは、そんな私におきた不思議な話だ。

 2017年8月。私はバンドのメンバーと共に北海道をツアーしていた。憧れだったライジング・サン・ロックフェスティバルに参加することができた。その日は生憎の大雨で、会場中も水浸し。石狩湾新港の埠頭一帯はひどく泥濘

もっとみる
外国人に日本食を勧めるという趣味

外国人に日本食を勧めるという趣味

趣味はなんですか?と訊かれた時、漫画を読むこと、料理を作ることと答えていた。将棋を観ること、もそうかもしれない。ただここ最近、これが自分の一番の趣味だな、と自覚したことがある。

それは、外国から友達が来た時に、日本の料理をお勧めすること。

1〜2年に一度は外国人ミュージシャンの日本ツアーをブッキングするから、業務の一環と言えるかもしれない。

しかし正直、自分がブッキングする、しないを問わず、

もっとみる
太る才能

太る才能

実は今だから白状するが、去年の年始に体重が100kgになってしまった。
0.1トン。ショックだった。
その昔、バランスボールを割ってしまった以来のショックだ。

意を決してダイエットを始めた。
自分を追い込むために友人とも賭けをした。
その甲斐あって、ダイエットは成功し、半年で10kg痩せた。

これだけ痩せれたのは生まれて初めてだった。
40年生きてきて初めて少しだけ自信をもてた。
自分にも何か

もっとみる
末っ子理論

末っ子理論

もう何年も一緒に音楽活動している友人、岡林立哉。
彼にはハッとさせられることが多い。
付き合いが長くても、何か心に刺さる言葉を言われる時があるのだ。

最近のマイブームになっているのが、その岡林さんが提唱した「末っ子理論」だ。

あれは去年の12月の頃だった。
ツアー中のドライブの間、ふとこんな話題になった。

Q:ちょっと癖があるお店の人やオーガナイザーとどうやって仲良くなれるのか?

僕と岡林

もっとみる