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棋士の扇子からみる、リズムと思考の関係

 最近は将棋のニュースばかり追いかけている。藤井聡太が強い。最年少タイトル獲得はほぼ間違いないだろう。

 色々な記事が強さの秘密に迫っている。それを読み漁るのも日課の一つだ。その中で、最近面白い着眼点を見つけた。短い文章だが引用する。


「藤井七段は閉じたままの扇子を手元でくるくるさせながら読むのがいつものスタイルです」

「詰将棋解答選手権では消しゴムをくるくるさせるながら、猛スピードで難解な問題を解くことで知られています」


引用元〜神童・藤井聡太七段(17)パーフェクトゲームで王位戦第1局勝利 木村一基王位(47)の粘りを押し切る〜松本博文

 

 非常にサラリとしか触れられていないが、記事執筆者は、手元にある扇子や消しゴムを小刻みに動かすことで、思考を整えているのだろう、とほのめかしていたのだ。

 なるほど、言われてみれば扇子はそういう使い方があるな、と合点がいく。本来、というか、普通なら扇いで風を送り、涼を得るのが扇子の用途だろう。ただし扇いだり、パチンパチンと開け閉めしたり、藤井聡太のようにクルクルと手元で回したりすると、一定のリズムが生まれる。このリズムを感じている間は、心が落ち着き、思考が整理される、というのは体感的に理解できる。

 確かに、何かを集中して考えるとき、人間は体のどこかを動かしてリズムをとっていたりするものだ。貧乏ゆすりもそのひとつかもしれない。もし、こうした一見行儀が悪いとされてきたことも、実は思考を整えるために必要なリズムだった、という理論が確立したら、将来的には逆に推奨されるようになるかもしれない。静かに、動かずに勉強している子供を見つけた母親が言う。

「 貧乏ゆすり、してないじゃないの! もっとゆすらなきゃダメ!」 

 しかしそうなると、そもそも「貧乏」という言葉はしっくりこない。貧乏の逆、例えば金持ちゆすり、とかになるのだろうか。しかし、金持ちゆすり、だと意味合いが全然変わる気もする。

  さて、そんなリズムと思考について考えを巡らす中で、ふと思いついた。マイ楽器・バウロンについても活躍の場がありそうだ。

 そもそもバウロンは、サイズが小ぶりになってから、傍に抱えすくなり、肘や腕置きに丁度いいことはあまり知られていない。長時間、座ったままボ〜ッとするようなことがあっても、バウロンがあれば安心なのだ。なんなら、バウロンを支えにウトウト寝ることすらできる。

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  そして、バウロンはなんと! 短いティッパー(撥)が付属している。これが、まさに扇子の役割になる。右手で小刻みに動かし、左手のひらを皮面がわりにするれば、ミュートされるから、音も腹も立たない。リズムだって、3拍子、4拍子、5拍子、7拍子、9拍子、なんでもできる。きっと思考の整理を助けてくれるだろう。おまけに扇子よりもいい点は、実際の練習も兼ねてしまえるのだ。思考も整え、演奏も上手くなる。なんと素晴らしいことか。

 ということで、最近は藤井聡太先生を見習って、私も執筆の傍、ティッパーを動かすようにしている。そして肝心なことに気が付いた。

 そもそもバウロンの練習が不足していたことに・・・。



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