マガジンのカバー画像

保存用

20
忘れたくない素敵なnote
運営しているクリエイター

#エッセイ

しあわせな土曜日。

しあわせな土曜日。

『9時頃に家を出て、のんびりお散歩でもしましょうか。』

と言われた。頑張っても7時間しか寝られないおばあちゃん体質のわたしは、仕事がおやすみだろうと早朝に目が覚めてしまう。万年寝不足の彼を起こしてしまっては申し訳ないので、わたしが先に起きた朝はいつも物音を立てずに過ごすようにしている。いびきが響き渡る畳の部屋で、ひっそり息をするのも悪くない。

今朝も変わらず、四六時中誰かからのアクションを受け

もっとみる

ライターとマッチの恋

昨日アルバイトをしている時、お客さんが来なくて、一緒に働いていた人も歳の離れた社員ばかりで会話がなくとても暇だった。
そんな時ふと、恋愛のことを考え始めたのである。

私の友達に告白をした女の子がいる。先日、その彼女が告白をして振られてしまい、そのことが周りに噂になってしまったそうだ。 その流れを入院で3ヶ月ほど私と会えなかった彼女は話をしてくれた。
話の内容も、話す姿を見ても彼女は焦りすぎていた

もっとみる
甘酸っぱい秘密。

甘酸っぱい秘密。

自分のことを「僕」と呼ぶ人だった。
背が高く、優しい雰囲気を纏いながら、向上心は高く、自分の意見をはっきり言える人だった。

大学3年生のときに履修した授業は、30人弱のクラスで、ディスカッションが多かった。そこで、1つ年下の彼と知り合った。
共通の知り合いを通して、その授業の間、彼と話すことがなんとなく増えた。適度な距離感で、挨拶程度に言葉を交わす時もあれば、授業の合間を見てプライベートの話をす

もっとみる
激しく萌ゆる恋だった。

激しく萌ゆる恋だった。

人は、過去の恋愛をどれくらい覚えているものなのだろうか?

私は大学生のとき、3年付き合った彼氏がいた。
もうあの頃の愛はないけれど、今でも鮮明に覚えている。とても真っ直ぐな、熱い恋だった。

大学生という、責任を問われない大人という身分は、とても自由だと今でも感じる。

夢を語ることを限りなく許され、未来を無限に想像できる。
お金は十分にはないが、時間だけが有り余り、好きなことを好きなだけできる

もっとみる
もう二度と交わることはないね

もう二度と交わることはないね

少し勇気を出して画面に向かっている。
書くべきかどうか悩んだのだけど、自分の中である程度整理もできたことだし、未来の自分に向けて書こうと思う。

この決断を後悔してしまわないために。
そして、これまで彼へ抱いた沢山の感情をここに置いて、もう全て終わりにするために。

事の発端は数週間前、
元恋人と再会したことだった。

背格好も、話し方も笑った顔も、
彼は何も変わっていなかった。

久しぶり、可愛

もっとみる
引き返しちゃいけないよね、

引き返しちゃいけないよね、

三寒四温とは良く言ったもので、朝がまだまだ寒かったり夕方が寒かったり、これを繰り返して春を作って夏に向かっていくんだなあと思いながら通勤している日々です。

毎朝、一番に更衣室に着く。
バスの乗り換えがうまくいかないこともあって、これを選択している。
いつからか朝にコンビニでコーヒーを買ってそれをゆっくり味わうことが自分の中でルーティンになった。

先日はボーッとしていてコンビニに寄ることを忘れた

もっとみる
どうかまだ、そのままで

どうかまだ、そのままで

今年も桜が咲いてしまった。

いつか桜並木の下で君と並んで歩いたとき、私はどうしても君と手を繋ぎたかったのだけど、だけど私はどうしても、すぐ隣にあるその手を掴むことができなかった。
散り始めている桜たちは、寂しさを仕舞い込むにはあまりにも美しくて、私はほとほと困ってしまう。
たった10cm、こんなに近くにある愛しいものに触れることができないのに、どうして私は桜なんて見上げているんだろう。
何かのせ

もっとみる