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日本酒テイスティングノート

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日本酒の紹介を日本酒のテイスターの視点からしつつ、これまでの私のきき酒師、大阪資本の一部上場企業の大手飲食チェーンの和酒バイヤー、SSI日本酒セールスプロモーション研究員としての…
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#経済

アフターコロナの観光業について

アフターコロナの観光業について

日本の観光業や飲食業についての現状

新型コロナの影響で、日本の観光業と飲食業は壊滅的な打撃を受けましたが、2022年10月頃よりインバウンドの外国人観光客が徐々に戻りつつあります。
一方で、旅行業に関しては従来型の店頭販売に頼った形の旅行業に関してはかなり淘汰されましたし、飲食業に関しても感染症対策の取れない食事を提供するお店や、夜21時以降にお酒やサービスを中心に提供するお店に関しては、かなり

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江戸の市場経済―歴史制度分析からみた株仲間(岡崎 哲二著)

江戸の市場経済―歴史制度分析からみた株仲間(岡崎 哲二著)

現代よりも理にかなっていた江戸幕府の市場経済の運営

江戸の市場経済の本を大阪からの帰りに読んでいましたけど、改めて江戸幕府の経済運営って、現代社会よりも理に叶った事をやっていたんだなって感じました。マーケティング的な視点から見てみて、江戸と大坂って言う現代に置いても全く文化の違う二大消費地を中心に各藩の自治と藩庁所在地という地方の経済の中心都市を中心に、田沼意次公が老中筆頭をされる頃にはある程度

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高級酒を販売するとは その2 デフレ型の商売からの脱却 本日の紹介酒 問世 問世 純米大吟醸 2016

高級酒を販売するとは その2 デフレ型の商売からの脱却 本日の紹介酒 問世 問世 純米大吟醸 2016

酒、観光、飲食業界の本当の課題デフレ型の商売の在り方からの脱却、これからの酒業界、観光業界、飲食業界の大きな課題だと思います。一方で、普段飲みや家庭での食の部分に関しては、ある程度低価格が求められるのは当然かなって感じます。

価格の安さは決して正しい事でとは言えない長年飲食の業界に携わっていますが、この業界独特の安い=正しい事って考え方がどことなくあるように感じる事が、以前からよくありました。日

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本日はきき酒師の日

本日はきき酒師の日

本日はきき酒師の日今日がきき酒師の日って知りませんでしたが、何だかんだで30年続いているって事は一定のニーズがあるって意味では、非常に立派なもんだなって思います。
世間では、良い意見も悪い意見も有りますけど、日本酒に興味を持つ人間を少なからず増やしたって意味では、非常に有意義な資格になっているように思います。

色々な意見が有る事は理解している上で一方で、確かに簡単に資格認定し過ぎているって意見も

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明治維新とは、本当に日本の夜明けだったのか?

明治維新とは、本当に日本の夜明けだったのか?

※坂本龍馬画像 アマゾンより引用

明治維新とはこの一週間で、江戸中期以降に関する経済関係の本や、江戸期から平成に掛けての米価の推移を示す価格表を見る機会があり、一般的に言われている明治維新が日本の夜明けだったって考え方に対して、経済的な視点から見ると全く違って見えるな?って感じました。

※忠臣蔵絵図

元禄期以前と以降の経済的な違い元禄期以前は、確かに国全体を見ていて食べる事で精一杯でお金にし

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実はあまり知られていない三増酒が造られた経緯と特定名称酒制度ができるまでの流れ その1 本日の紹介酒は特選 剣菱

実はあまり知られていない三増酒が造られた経緯と特定名称酒制度ができるまでの流れ その1 本日の紹介酒は特選 剣菱

1、初めに
日本酒が低迷した原因を作ったのは三増酒と言う意見は多いですが、意外にどのような経緯で三増酒が造られ、どのように特定名称酒制度が登場したのか、意外に知られていない気がします。
実際に、三増酒登場までの流れを検証してみて感じるのは、従来言われている三増酒が日本酒低迷の原因を作ったとは必ずしも言い切れない部分があるように個人的には感じました。
現在、和食ブームとともに海外でも日本酒が認められ

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生酛本来の味に対する疑問 その2経済成長の側面から 本日の紹介酒は 櫻正宗 焼稀 生酛純米 協会1号酵母

生酛本来の味に対する疑問 その2経済成長の側面から 本日の紹介酒は 櫻正宗 焼稀 生酛純米 協会1号酵母

2019年現在の日本の人口は約1億2700万人、GDPは約550兆円となっていて、国民一人当たりのGDPが約433.7万円となっていて、普通に働いて生活していれば、少々貧しくても一定のお金さえ出せば、欲しいものは買えますし、余程のことが無ければ食に困ることも、ほぼ無いと言えると思います。

※下記画像は東京の高層ビル群 じゃらんネット(https://www.jalan.net/kankou/sp

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映画関ヶ原に見る石田三成公像 本日の紹介酒は、竹生嶋 金紋 本醸造

映画関ヶ原に見る石田三成公像 本日の紹介酒は、竹生嶋 金紋 本醸造

石田三成公像

昼間、アマゾンプライムで岡田准一さん主演の関ヶ原を見ましたけど、改めて石田三成公に関して感じたのは、儀を通せても、最後までビジネスの視点に立てなかったが故に天下人には成れなかったのかなって感じました。

※石田三成公 銅像 長浜・米原を楽しむHP(https://kitabiwako.jp/)より引用

変な話、経済の視点に立つと、全く違う歴史の姿が見えてきますし、最近私自身を客観

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生酛本来の味に対しての疑問 その1 本日の紹介酒は、菊正宗 生酛本醸造 さけパック (兵庫県 灘)

生酛本来の味に対しての疑問 その1 本日の紹介酒は、菊正宗 生酛本醸造 さけパック (兵庫県 灘)

生酛造りのお酒について、よく目にするのが生酛本来の味わいとか生酛らしい香りとか、伝統的な古式造りとか、よく目にいたします。実際に飲んでみると、結構厚みが有って重たい味であったりするのですが、本来の生酛の味わいってそもそも重たい味わいなのかを考えると、正直微妙な部分があるなとは思います。では、私の考える本来の生酛の味わいとは?味に深みと柔らかさがあり、後味のキレが良くて爽やかってのが、本来の生酛の味

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長年の疑問に感じてきたことの一つの答え 紹介酒は天野酒 僧房酒

長年の疑問に感じてきたことの一つの答え 紹介酒は天野酒 僧房酒

長年疑問に思っていたことが、南北朝の争乱の際に出て来た楠一党と天野山金剛寺(開祖は行基上人、奈良の大仏を作る際にアマルガム製法を応用し、大仏様の顔を金で色を付けた)の資金源と、何故、金剛寺でハイスペックの僧房酒が造られていたのか?
最近、Quoraで質問の回答の中に水銀に触れた回答をいただいたので、金剛山系に水銀鉱山って有ったのかどうかを調べてみましたけど、金剛山~和歌山県、奈良県、三重県にまたが

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日本酒の発展に貢献した幻の全国清酒品評会 その3 紹介酒は賀茂鶴 広島錦 中汲み 純米大吟醸 (広島県)

日本酒の発展に貢献した幻の全国清酒品評会 その3 紹介酒は賀茂鶴 広島錦 中汲み 純米大吟醸 (広島県)

何の競技に置いても表彰台の独占、非常に難しい事ですし、ましてや全国レベルで行われていた全国清酒品評会で優等1~3まで一つの蔵で独占ってどうよって思いますが、これが実際にあった話なんです。1921年(大正10年)の第8回目の全国清酒品評会で優等賞34点中1~3等まで独占しました。※因みに協会の5号酵母(現在は配布されていない)は賀茂鶴さんから分離された酵母です。

(映像は2018年四大陸フィギアス

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日本酒の発展に貢献した幻の全国清酒品評会 その2 紹介酒は月桂冠大吟醸パック

日本酒の発展に貢献した幻の全国清酒品評会 その2 紹介酒は月桂冠大吟醸パック

本年は、コロナウィルスの蔓延の影響で全国新酒鑑評会の決審が中止になりました。この全国新酒鑑評会での賞ですが、正に酒造りのF1で毎年、税務署から酒造りに関しての指導があり、その指導方針に基づいた酒造りが出来るかどうかを競うのが全国新酒鑑評会です。※F1とは本来の意味合いはF1カーで競うグランプリでは無くて、規定の範囲内で車の作り仕上げられた車で競い合う競技です。( 下記動画は本田技研工業さんのチャン

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日本酒の発展に貢献した幻の全国清酒品評会 その1 紹介酒は 龍勢 特別純米 夜の帝王 (広島県)

日本酒の発展に貢献した幻の全国清酒品評会 その1 紹介酒は 龍勢 特別純米 夜の帝王 (広島県)

現在、日本だけでなく、世界中で日本酒の味を競い合うコンクールが開催されておりますけど、日本で純粋に日本酒造りの技術を全国の酒蔵が競い合っている品評会は、全国新酒鑑評会だけですが始まったのが1911年(明治44年)で、それよりも前にスタートしたのが表題の幻の全国清酒品評会です。(写真は、旧大蔵省醸造試験所 東京北区 日本の伝統紀行HPhttp://www.visiting-japan.com/ja/

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日本酒の地域密着性の一つの在り方2 数馬酒造 本日の紹介酒は竹葉 能登純米

日本酒の地域密着性の一つの在り方2 数馬酒造 本日の紹介酒は竹葉 能登純米

限界集落って言葉をよく聞くと思いますけど、北陸でも石川県の能登地方や福井県の若狭地方の方がそれに近いものがあるって書くと、私も福井の若狭地方の出身者(敦賀なので正確には越前の国に入るが、文化は若狭圏)なので知っている人にこのnoteを見られたら怒られるんですけど、本当に農業や漁業以外ほとんど何もない地域であることは事実です。(下は石川県の観光プロモーションムービーです)

ただ、能登地方も若狭地方

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