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読んだ本、読みたい本。 漫画や本の話題多めの日のこと。
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喫茶店から一歩も動けない

喫茶店から一歩も動けない

夏、暑い、夏、暑い。
夏と暑がおなじ漢字に見えてきて、夏。

暑いということがすべてを凌駕して、今なにか優しい言葉をかけられたら容易に泣いてしまいそうなほどに身体がやられている。

せっかく神戸に来たのに。
行きたい本屋さんがたくさんあるのに。
本棚を眺める目が滑って、額から流れる雫ばかりが気になる。本棚に集中できないことがくやしくて、ああ、夏…と思う。

本屋めぐりのはずが、涼しいところをもとめ

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瞬間、瞬間、瞬間

瞬間、瞬間、瞬間

昨年の秋ごろまで働いていた会社の同僚ふたりと、春が来たら会おうね、それまではそれぞれにがんばろうねと約束していた。

朝は選挙へ行くので昼からでもいい?と連絡を入れてすぐに、ふたりのうちのひとりAは海外から日本へ来ているので参政権がないのだということに思い至り、落ち込む。ぽろっと発した言葉がもしかしたら誰かへの暴力になっているかもしれないと、いつも気をつけているつもりなのに、やってしまう。

そん

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星野道夫、約束の川

星野道夫、約束の川

昨夜、星野道夫さんの『約束の川』を読み終えた。

とってもよくて、ああ、この人のように世界に向き合えたら、この人のように言葉が紡げたら、と、とてもうれしくなり、ほかのも読みたい、写真集も眺めまわしたいっとネットで調べていたら、その流れで星野さんの最期を今更ながら知り、とても落ち込んでしまった。

ねこを撫でながら、ぽろぽろ泣いて、なにがかなしいのかうまく伝えられないけれど、とにかくショックで、

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ぽつりぽつり、そして冬の選書

ぽつりぽつり、そして冬の選書

京都の空気はもうすっかり冬の冷たさになった。各地はどうなのだろうか。そしてわたしのきもちはなかなか焦っている。

事務所の引っ越しを年末にひかえ、大量の紙もの文具や本を丁寧に、しかし迅速に箱詰めする作業は骨が折れる。

日ごろPCの前に座っているだけの人間なので、しゃがんで立つだけでめまいすらするし、身体のこんなところにまで筋肉があるのかと思うようなところが筋肉痛で、ひーひー言いながら、次の日には

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人生の中できっと思い出し続ける、忘れてもいい

人生の中できっと思い出し続ける、忘れてもいい

Instagramで読書日記だけではなく、日常のことも投稿するようになった。なんのことはない、ノートだけが並ぶ投稿欄の見栄えにあきてきたのと、日によって違う写真の光の加減が妙に気に障ったという理由なのだ。

そうすることで、InstagramとTwitterとnoteの境目が曖昧になり、3つも本当にいる?という問いが生まれ、書き分けにも悩み、やれこまったとなっている。

もとは誰かに見てもらうため

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住みたい街

住みたい街

昨日は朝から恵文社へ。

オースターの日本語訳本の装丁でも知られている、タダジュンさんの作品展示を見るために行ってきた。

展示は、タダジュンさんが装丁、挿絵をしている阿部大樹さんの『翻訳目録』という本の刊行記念として行われたのだけど、サイン入り本の購入者は、限定のポスターがもらえるということで、こ、こここれは……絶対に行かせてもらいます。と、ぴー太にお願いして、土曜日の予定のはじめにもってきても

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あまりにも美しいインドの絵本

あまりにも美しいインドの絵本

て、てててて手に入れたーーーー!!!
タラブックスの『夜の木』10刷!!!!

写真じゃ感動あまり伝わらないと思うけど、伝わってほしい。くう〜

紙漉きでつくられた黒い風合いのある紙に、手刷りのたっぷりとしたインクの盛り上がりと、配色の美しさ……

そしてなにより、インドのゴンド族アーティストの個性的な絵。トライバルアートと呼ぶそうだけど、この迫力と精密さ、奇妙さとかわいらしさの融合はデザイナー顔

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時間と瞬間という不思議

時間と瞬間という不思議

昨日は、国立国際美術館へ鷹野隆大さんの「毎日写真1999 - 2021」を見に行ってきた。

20年間毎日欠かさず撮り続けた写真、定点観測的に同じ場所で撮り続けた東京タワー、様々なものの影ばかり撮った写真などなど……

テーマやコンセプトから離れて、無目的に撮ってみたいと思っていた。そしてそれが集まったときに何が見えてくるのか、それを知りたいと思った。撮りながら考え、出来た写真を見てまた考えるとい

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