マガジンのカバー画像

蛸文(たこふみ)の読書記録

233
僕の読書記録です。月に3〜4冊ぐらいのペースで更新してます。
運営しているクリエイター

#日本

【死刑廃止を考える】死刑って必要?

【死刑廃止を考える】死刑って必要?

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜死刑に関する個人的な意見〜本書の内容にうつる前に、僕の死刑に対する個人的な考えを述べる。

僕はどちらかというと「死刑反対派」である。
死刑について考えると、僕は「取り返しのつかない事態になる可能性がある」ことが気になってしまう。
例えば、自分でも自分の家族でも友達でもいいが、「冤罪で死刑を言い渡された」という場面をまず想像してしまうのだ。
死刑になってしま

もっとみる
【隣人のあなた】行政や公権力による移民・難民差別を告発

【隣人のあなた】行政や公権力による移民・難民差別を告発

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜行政や公権力による外国人差別〜壮絶な内容である。
本書が伝えるのは、入管や警察による外国人移民に対する差別や、杜撰でお粗末すぎる国の法整備の実態である。
タイトルにある「あなた」とは、日本に住む外国からの移民のことを指している。

2021年に名古屋の出入国在留管理局で収容中であったスリランカ女性のウィシュマさんが死亡した事件はまだ解決には至らずまだ記憶に新

もっとみる
【春宵十話】「情緒」の種は蒔いた。後は育つのを待つ。

【春宵十話】「情緒」の種は蒔いた。後は育つのを待つ。

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜岡潔さん本人の文章に触れる〜数学関連の本を読んでいると頻繁に出てくる「岡潔」さんというお名前。
日本で最も偉大な数学者と呼ばれ、多変数解析函数論の分野における「三大問題」を解決して世界にその名を轟かせた方である(この問題がどういったものなのかはちんぷんかんぷんである(笑))。

「数学する身体」で岡潔さんに関する随筆を読み、「人間の建設」で小林秀雄さんと岡

もっとみる
【戦後史の正体】面白いけど高校生には読ませられないと思う

【戦後史の正体】面白いけど高校生には読ませられないと思う

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜対米追随路線と自主路線〜非常に面白い。異常に面白い。

本書は戦後の日本の歴史を「米国からの圧力」を軸に描いている。
そして、戦後から現代にかけて対米外交は「対米追随路線」と「自主路線」の戦いであったという。
「対米追随路線」とは、アメリカから信頼を得て国益を最大化しようとすること、「自主路線」とは現状を変えようとアメリカに対し積極的に働きかけること。

もっとみる
【シン・ニホン】日本の弱点は科学

【シン・ニホン】日本の弱点は科学

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜日本の大きな課題は教育と人材〜「日本はもう終わってる」
という声が度々色んなところで聞かれる。

日本のGDPは毎年軒並み横ばいで、成長率という意味ではもはや先進国とは言えない状態である。

人口減少や社会保険料・医療費の増大など、現在の国のシステムがこれからの世代に負担が重くのしかかるようなものになってしまっているのは自明のこと。日本の未来を考えた時に、暗

もっとみる
【武士道】現代の日本にも「武士道」精神はあるのか?

【武士道】現代の日本にも「武士道」精神はあるのか?

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆

〜僕が「武士道」と出会うまで〜僕が大学生の頃、たぶん遠藤周作(キリスト教作家)の作品を読んだ時だった、こんな風に考えていた事がある。
「日本人にはもっと宗教が根付いた方が良いと思う」
当時の僕はこんな風に考えていた。
日本人は諸外国から言われるほど礼儀正しくないし真面目ではない。かつてはそんな日本人の姿があったかもしれないけど、今の日本人は「誠実さ」からはかけ離

もっとみる
【日本という国】これまでの日本、そして、これからの日本

【日本という国】これまでの日本、そして、これからの日本

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜シリーズ「よりみちパン!セ」〜よりみちパン!セは、ヤングアダルト向けのサブカルチャー的な「教養書」のシリーズである。
中学生以上を対象としているので、中高生はもちろんのこと、大人も楽しめるシリーズ、だそうだ。

たしかに、この本を読む限りルビが振ってあり読みやすく、中学生にもわかりやすいように配慮されている内容だと思う。
大人の学び直しにも良いかもしれない

もっとみる
【日本社会のしくみ】日本型雇用の成り立ちを知る

【日本社会のしくみ】日本型雇用の成り立ちを知る

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

非常に興味深く面白い本だった。
約580ページの分厚い本だったが、書かれている言葉もわかりやすく、最後までストレス無く読み終える事が出来た。

本書で書かれているのは、日本の慣行ともいえる「年功序列」や「長期雇用」の成り立ちである。100年遡り、どのような経緯でこれらの慣行が構築されたのか、また簡単にではあるが他国との比較も交え、膨大な資料やデータを基に分析

もっとみる