戦後史

日本史論述ポイント集・戦後③

今回は、高度成長を中心に戦後日本の経済について見ていきます。

戦後の日本が「奇跡の復興」を果たした要因はいくつも挙げられますが、中でも、GHQによる戦後改革(農地改革・財閥解体・労働改革)が的確であり、その礎を築いたということが指摘できるでしょう。

これまで何度か指摘したとおり、戦前の日本経済は国内市場の狭さと国際競争力の不足という弱点を抱えていました。(近代⑤参照)

国内市場の問題にダイレ

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日本史論述ポイント集・戦後②

今回は、戦後日本の外交について、講和条約の調印から見ていきます。

講和の形式には、ソ連を中心とする東側陣営(社会主義国)を含めた全交戦国と講和する全面講和と、アメリカを中心とする西側陣営(自由主義国)とのみ講和する単独講和の2つがありました。

アメリカの意向は日本を西側陣営の一員に組み込む単独講和でした。そして、時の吉田茂首相もそれが得策であると考えました。(後述)

しかし、それは日本がアメ

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日本史論述ポイント集・戦後①

この「ポイント集」も、今回から戦後に入っていきます。まずは占領下の日本についてです。

ポツダム宣言の受諾によって、日本は連合国の占領下に置かれることになりますが、占領を主導したのはアメリカです。そして、非軍事化・民主化を進めて、日本が二度と国際社会の脅威とならないようにすることを目指しました。

日本を戦争へと駆り立てたものは何か?アメリカは、国内市場の狭さという、戦前の日本経済が抱えていた構造

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戦後日本チンパンジー列伝⑧肝炎研究とサンクチュアリ――(1)大学医学部を出たチンパンジーたち

第7回で取り上げた日立市立かみね動物園では、個性的な経歴を辿ったチンパンジーたちが「群れ」になる過程で、心が広い「人格者」のリーダー、「ゴヒチ」さんが大きく貢献していました。「ゴヒチ」さんの高い受容力の背景について、『動物翻訳家』(集英社文庫,2017)で同園を取材した作家の片野ゆかさんは、以下のように綴っています。

ゴヒチはなぜここまで心優しく、多くの者を受け入れることができるのだろうか?今さ

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【読書】藤井信幸『池田勇人 所得倍増でいくんだ』ー「健全ある積極財政」論者としての池田勇人

所得倍増「計画」ではなく、所得倍増「政策」

「所得倍倍増計画」を打ち出し、高度経済成長時代を作り出した池田勇人の優れた評伝。世間では池田勇人といえば、「所得倍増計画」の実行者と評価されているが、池田は「所得倍増計画」の計画性を明確に否定しており、厳密に言えば「所得倍増政策」と呼ぶのが正しいと述べられている。

所得倍増計画とは、字義どおりに解釈せれば、十年間で所得を二倍にする計画の意となる。現に

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辻政信を追え【中国編】

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国境、スパイ疑惑

4月27日の早朝、ベトナムの北辺・ラオカイのイミグレ建物で出国審査を終えた私は、中国側の街・河口との国境線の川に架かる橋の中程に立っていた。
正面には看板や垂れ幕に踊る漢字、気味が悪いほど整然とした街並み。
もう一度後ろを振り返ってみる。
戦後から時が止まったかのような煤けた建物の群れが、朝靄の中に佇む。
今回の旅に限らず様々な国境を越えてきたが、ここまで

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辻政信を追え【ラオス編】

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ビエンチャンの消失点

ビエンチャンの街は日本軍用飛行場の所在地であり、太平洋戦争前はフランス人の別荘地であった。メコンの流れに臨み、緑の高原上に白堊の洋館が点在し、酷熱を忘れる快適の街である。

『酷熱を忘れる快適の街……?』

ラオスの首都・ビエンチャンの名刹、ワット・ミーシャイの周辺は言わずと知れたバックパッカー・ストリートだ。
一泊4ドル程度のゲストハウスに洗濯屋、レ

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高田渡のいる世界

文・短歌・写真●小野田光

 大学で歴史を専攻していて気づいたことがある。歴史好きの人は大抵の場合、百年以上は昔、いや数百年から数千年前の世界に興味を覚えるらしい。だから現代史は人気がない。不思議だ。あんなに面白いのに。
 1974年生まれのわたしは、自分が生まれる少し前の世界に惹かれる。60年代後半から70年代前半のことになると反応してしまう。例えば学生時代に親しんだ音楽。当時流行っていた小室サ

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にほんのれきし~めいじからげんざい

明治維新から151年。アジアの小国であった日本が近代化に成功し、途中国家存亡の危機を迎えつつも経済大国として世界にその存在感を示してきた。それはしばしば「奇跡」と呼ばれ、マレーシアの「ルックイースト政策」をはじめ各国の手本・研究の対象とされてきた。

ここでは、明治期以降、日本が辿ってきた歴史をまとめてみようと思う。

明治~第二次大戦期

1.明治維新後の日本
最後の将軍・徳川慶喜による「大政奉

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