卍丸の本棚

L'homme est une passion inutile. J.P.S…

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L'homme est une passion inutile. J.P.Sartre Catholic 小説『Book Cover』出版致しました。 https://amzn.to/418tQoQ

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  • とるにたらないこと

    覚書のようなメモのような日記のような、とるにたらないこと

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    僕の回りくどい手紙のような散文

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人間存在の複雑性──バタイユの視点から

0.要旨 『人間存在の複雑性』をテーマに、本エッセイは人間の存在の意味、対立と調和、内面的葛藤、ジェンダーのアイデンティティ、芸術を通じた感情表現の探求を展開する。サルトルやバタイユの哲学を踏まえ、人間実存の曖昧さと矛盾を統合へと導く道を探り、自己と他者、個人と社会の関係性を深掘りし、新たな自己を生み出す可能性を示唆する。文学作品を引用しながら、ジェンダーの多様性と芸術の力を探究し、人間の精神の頂点への道を照らす。 1.序論1.1.執筆動機  昨今の時事問題、戦争や紛争、

    • とりとめのないこと2024/04/20 追憶

      俯く寒芍薬──尊厘と儚さを纏う控えめなその姿に見惚れていた。 花言葉は〈追憶〉だそうだ。 追憶と言えば、美しいひと、ロバート・レッドフォード主演で古い映画があったのを想い出す。 第二次世界大戦、反戦運動、青春の一時の恋から結婚し、離婚、それぞれ別々の人生を歩み、二十年という歳月の果てに再会するのだが──そのとき、そのときで精一杯だったことも、やがて記憶のひとつになり、その記憶には、塵となった時代の最後の名残りが含まれて……ここまで書いていて、筆を止め、往年の名俳優であり名監

      • 閑話休題:アベノミクスの功罪 ── 一時的効果とその後の構造課題

        アベノミクスの概要と一時的な効果X(旧Twitter)を見ると、トレンドに「アベノミクス」があった。 消費税に物価高、震災や戦争……。経済格差、教育格差、被災地再建問題から国防論まで、それらなくして経済動向や政治についても語れない。一方で、憲法第九条の改憲は反対である。 現代の資本主義経済の限界を日常生活を送る中で感じざる得ない。 そのような中で、経済学者らの書籍を読み返しており、タイムリーな話題だった──アベノミクスは結局何をもたらしたのか。 「アベノミクス」は201

        • ガザ・マリーンなどエネルギー資源についていくつか追記しました。 https://note.com/books_note2021/n/nf6bc914ca1b6

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        人間存在の複雑性──バタイユの視点から

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        記事

          『非-知』と現代社会の危機

          はじめにジョルジョ・バタイユが提唱する「非-知」の概念は、合理性や理性主義に対するラディカルな批判を通じて、現代社会の根本的問題を浮き彫りにする。バタイユは、知の限界を認識し、それを超える試みとしての「非-知」を探求しようとした。現代に生きる我々にとって、その試みは人間と社会の深層を解明しようとしているようにも映る。 このエッセイでは、バタイユの「非-知」概念を中心に置きながら、実存主義哲学者サルトル、マルクーゼらの思想、さらには憲法の理念や格差是正策なども交えて検討する

          『非-知』と現代社会の危機

          エッセイ『春、水底と音の光』

          我妻さん主催「(誌)的ライナー・ノーツ」に久しぶりに掲載していただきました。 静寂と情熱、内面と外界、虚構と現実が交錯し調和──和歌への敬愛と様々な芸術分野、時事との交差。夢幻の言語世界に浸りつつ、人間存在への新たな気づきも。 春、街の喧騒を少し離れたときに読んで頂けたら幸いです。 ご感想などございましたらぜひ。

          エッセイ『春、水底と音の光』

          Harmony in Alexander’s Words: A Triad of Philosophy, Enlightenment, and Science

          I strongly believe in the importance of objective reality and clear language. While I enjoy reading philosophical books and other humanities texts, I often feel a sense of ambiguity. The idea of romanticizing vagueness due to its lack of me

          Harmony in Alexander’s Words: A Triad of Philosophy, Enlightenment, and Science

          対立と調和─思考実験:真空状態と運命の関係性について

          要旨本エッセイは、偶発性と不確定性に着目した数理モデルと文学的思索を織り交ぜながら、人間存在の根源的な問いに挑んだ筆者の思考過程の一部である。 厳密にするならば前提条件の実在性の担保および、定量データとの比較検討が必須である。本エッセイでは、それらがなされていない為、学術的ではないことをあらかじめ断っておく。 筆者は「運命」と「真空状態」の関係性に焦点を当て、時間・意識変化・エネルギーの3次元座標系における数理モデルを構築する。エネルギー(生理学的基礎代謝)レベルが運命の

          対立と調和─思考実験:真空状態と運命の関係性について

          運命の彼方へ ──ミラン・クンデラとカール・ヤスパースに寄せて

          はじめに ヤスパース──懐かしくも親しみ深い名前が飛び込んできた。須藤輝彦さんの『たまたま、この世界に生まれて』というミラン・クンデラ論を読んでいたときだ。  僕が哲学書を読んだのは、ヤスパースの『哲学の小さな学校』がはじめてだった。十代、事情により色々とあったとき、祖父が心配し、僕にキルケゴール、ヤスパース、サルトルのいくつかの本を送ってよこした。すがる思いで僕は読んだ。だからとても思い入れが深く、また、今となっては、少しずつ当時を過去として受け入れはじめてもいることに

          運命の彼方へ ──ミラン・クンデラとカール・ヤスパースに寄せて

          とりとめのないこと2024/03/22

          March 22nd is a hugely important day for my wife, daughter, and me. It would come around every year, even if we didn't exist. And each year, the time until the next March 22nd seems to both drag and fly by. As my little girl grows, time fe

          とりとめのないこと2024/03/22

          とりとめのないこと2024/03/17 成長と格差の岐路に立つ日本社会

          成長と格差の岐路に立つ日本社会 バルにてスペイン人の同僚たちと経済や時事の話をしていた。日本はどうだろうか。ふと疑念が湧く。    1990年代後半から2000年代にかけて、日本はさまざまな改革に取り組んできた。賛否両論あれど、その中心的な役割を果たしたのが、小泉純一郎首相の経済財政諮問会議で影響力を持った経済学者の竹中平蔵だろう。 竹中氏は、構造改革と規制緩和、小さな政府を重視する新自由主義的な経済思想に基づき、郵政民営化を含む一連の改革を推し進めた。市場原理を尊重し競争

          とりとめのないこと2024/03/17 成長と格差の岐路に立つ日本社会

          結論にサブセクション相互依存性の中の自己を設け、Judith Butlerの『The Force of Nonviolence: An Ethico-Political Bind』からの洞察を考慮に入れることの重要性を加筆しました。 https://note.com/books_note2021/n/nd47eba6b48ea?sub_rt=share_b

          結論にサブセクション相互依存性の中の自己を設け、Judith Butlerの『The Force of Nonviolence: An Ethico-Political Bind』からの洞察を考慮に入れることの重要性を加筆しました。 https://note.com/books_note2021/n/nd47eba6b48ea?sub_rt=share_b

          マーラーとの関連性を追記 https://note.com/books_note2021/n/nd47eba6b48ea?sub_rt=share_b

          マーラーとの関連性を追記 https://note.com/books_note2021/n/nd47eba6b48ea?sub_rt=share_b

          人間存在の複雑性 補足

          章立て、加筆致しました。 難解で抽象度が高すぎるきらいがあり、一般読者層にはハードルが高い部分が否めませんが、僕なりに、様々な哲学的視点から対立と調和の概念を探求しています。バタイユの思想に触発されながら、生物学的性差とジェンダーの関係、フェミニズムとヒューマニズムの関係、そして人間存在の根源的な曖昧さと矛盾を掘り下げています。 時間を見繕って、関連参照文献からの引用をさらに補完していく予定です。 執筆動機昨今の時事問題、戦争や紛争、災害への対応や差別問題などから、人間

          人間存在の複雑性 補足

          引用追記など本文を大幅に改訂しました。 https://note.com/books_note2021/n/nd47eba6b48ea?sub_rt=share_b

          引用追記など本文を大幅に改訂しました。 https://note.com/books_note2021/n/nd47eba6b48ea?sub_rt=share_b

          震災から13年──読書、知ること、考えること

          『日米地位協定入門』前泊博盛他著、『戦後史の正体』孫崎享著(いずれも創元社)を再読した。 講和条約がアメなら日米安保と地位協定はムチだろう。 戦後、地位協定を結んだ国は、ドイツ、イタリア、韓国、イラク戦争後のイラクなどあるが、日本以外は、主権国家として、自国の憲法や法のもとに、協定があり、改定してきた。 しかしながら、日本だけが、 日米安保、日米地位協定>日本国憲法という図式があり、日本がいまだに植民地であることを知らないのは日本人だけかもしれない。 『日米地位協定入門』前

          震災から13年──読書、知ること、考えること