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SF - Sumo Fiction

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狂気に満ちた相撲SFの世界(手動収集)
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#逆噴射小説大賞

ファイブ・サバイブ【逆噴射小説大賞二次選考通過記念記事】

ファイブ・サバイブ【逆噴射小説大賞二次選考通過記念記事】

noteの荒野、その中にいかにもメキシコっぽいバーがあった。今日は店前に「逆噴射小説大賞二次選考通過者達御用」のノレンが掲げて、貸し切り状態になっている。馬から降りたアウトロー風の男が手綱を柵に巻いて、店に入った。店内はかなり賑わっている。どいつもこいつもメキシコの荒野を生き延びてきた屈強の男と女ばかりだ。

だがその中に明らかに異質の雰囲気を持つ者がいた。カウンター席の隅で、辮髪と黒い馬掛(マー

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#国技館ロイヤルランブル 【製作ノート】

#国技館ロイヤルランブル 【製作ノート】

(ネタバレ要素が多いので後日有料化するかも。また、追加の質問などがあれば追記の形で回答します)

「国技館ロイヤルランブル」のライナーノーツです。

本編についてはこちらをご覧ください。【製作ノート】おつかれさまでした。
本作は一気に書いたのでほとんど創作メモは残っていないんですが、要素を思い出しながら書き残しておこうと思います。

2018年4月にパイロット版が誕生本作の執筆は2018年4月に急

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パルプ・ハザード!!

パルプ・ハザード!!

 俺が投稿ボタンをクリックした瞬間、背後で轟音! 驚いて振り返った俺はさらに驚いた!
「ゲホゲホ…… 畜生、なんだここは?」
 部屋に詰め込んだ趣味の本やフィギュアが大地震の直後めいて散乱している。埃が舞う中、ヨロヨロと起き上がって不審げに辺りを見回す女。
 誰だ? なんて思わなかった。俺は彼女を知っていた。その姿を肉眼で見るのは初めてだが、俺の頭の中には彼女の全ての情報が入っていた。だって彼女は

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メキシカン・ラプソディ

メキシカン・ラプソディ

10月31日の夜。僕は先刻投稿した『プログレッシヴ相撲』の記事共有ツイートを送信すると、大きく伸びをした。
『パルプ小説冒頭400字』。楽しい企画だったが、応募は今ので最後だ。今日はもう休もう……。

KRAAASH!

その時突如、アパートの扉が破砕!一体何が?僕は戸口の向こうを見遣る。

そこにいたのは力士だった。

僕はそいつの奇妙な出で立ちと、投稿作品一覧が表示されているPC画面を交互に見

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カミリキシ

「百科丸!」行事精霊が勝者の名を宣言する。
「さあ帰って。あんたたちのカミリキシは今日も全滅よ!」
 ラリーの姉のライブがチンピラの一団に叫ぶ。
「往生際の悪い姉弟だ、トリクミで断り続けるのもいつまで持つかねえ」
 チンピラたちがアパートから立ち去るのを確認したラリーが集中を解くと同時に土俵ボードの上にあった折り紙の力士はパタリと倒れ、細かな灰となる。
 ライブは携帯箒と塵取りで土俵ボードの上とそ

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『元傭兵デリックの冒険』より「力鬼士(リキシ)の洞窟」

『元傭兵デリックの冒険』より「力鬼士(リキシ)の洞窟」

「ファック野郎!」

スコップを振り下ろし、襲い来る力鬼士の指をぶった切る!
「ギァーーッ!」指は土に還る。力鬼士は後退し、チッチッと音を発した。仲間を喚んでいる! ボゴン! ボゴン! 床や壁から力鬼士が這い出す。囲まれた!「くそったれ……! まさか、実在するなんてな!」

デリックはスコップを振り回して威嚇し、事の発端を思い出す。



「父を、助けて下さい!」デリックの店に飛び込んで来た少女

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ブラック・ファラオ VS リトル・ブラック・サンボ

ブラック・ファラオ VS リトル・ブラック・サンボ

横倒しになった軽トラが水平に飛ぶ!

ナイスサンドイッチ!

暴徒が壁と軽トラに挟まれ圧搾死!

先程迄の渋谷ピープルの浮かれ具合が水を打った様に静まり返る。

視線の先には不夜城の灯りの下でも尚黒き闇…黒い無貌のスフィンクスの化粧廻しの黒人力士!

相撲通の絶叫が響く!

「“黒きファラオ”…!九龍坊(くろんぼ)だ!」

■■■
弥助は信長気に入りの力士である。

土俵を這う様な低姿勢からのかち

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ロード・オブ・ザ・リング-土俵の王-

 大相撲アサクサ場所、この日の最終取組は夢乃島対十束。両国ナショナルアリーナが最高潮に達する。

 その名の通り、ゴミで埋め立てられた夢の島出身の力士が夢乃島だ。
 洗脳で強化された心、インストールで習得した技、そして義肢や人工筋肉の体を持つ力士が増えた昨今、サイボーグ力士に文句を言う好角家はいない。ましてやゴミから組み立てられた夢乃島は、人々の夢の結晶だった。

 夢乃島が後方に跳ねる。バーニア

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グレイテスト・ワン

グレイテスト・ワン

地上最強を掲げた釈真空手の主催するルール無用の異種格闘技大会。
その一回戦。

釈真空手の押木 譲が対戦する最初の相手は――力士だった。
現役横綱であり、現幕内力士最強の呼び声も高いその名を鳳凰山。
だが、押木は相撲を侮っていた。
どうせ土俵から押し出せば勝ちなんてルールでやってる興行師が格闘家を名乗るのはやめてもらいたいもんだよ、とは試合前の押木のインタビュー発言である。

試合開始の合図と同時

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相撲革命横綱拳銃街道

力士が望郷の歌を奏でる。方や当麻 此方 脚速。
二人の力士は腰だめにした手を見て呼吸を合わせる。古式に則った仕切。
ギターがクライマックス!当麻と足速は廻しに刺した銃を抜く。
「「ドスコイ」」
同時に銃声を上げる二丁の拳銃。太陽は天辺にあり、土俵は回転草が横切る。
「ド・・ッソイ・・」
膝をついたのは…おお!

当麻と脚速の大看板横綱が突然日本を去った。
理由はご存知の通りだ。彼らは力士であること

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江戸前横綱・シャリノ海!

「おうおう親父ィ!今日こそ耳揃えてカネ返してくれるんだろうな!」
二人組のチンピラ、佐治と次郎は岬寿司の暖簾をくぐるなりがなり立てる。

「うるせえぞ!ここは寿司屋だ、食わねえ奴はけぇんな!」
「はいそうですか、って金貸しが帰りゃ商売になんねーんだよ!いい加減社長は待てねえとさ!」
岬寿司の大将、岬源太郎は二人組のチンピラにもまったく怖気づく様子もなく啖呵を切った。

「仕込み中の寿司屋に入るとは

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恐怖!サボテン男の上手投げ

21XX年メキシコ! 世界は平和だったがメキシコは違った! 保安官は悪党を撃つための弾が足りなくなりついに核に手を染める! メキシコは己の罪を贖うために己の身を焼いた! 全ての花々は死に耐え、死の雨が降り、ドリトス工場は爆発四散した! だが、だが! 人類は死滅してはいなかった!!!

「オイゴラァ! 金と女と飯をよこせェ!」

「ひぃええ~~!」

追われる老人! 彼に差し出せる者はもう何もない!

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ラストスタンド・ヨコヅナ

 足元から広がる土の感触、あの場所程ではないにしろ、馴染む。幾年ぶりの土だ。かつての横綱、黄龍はこの場所を懐かしむ。だがここはテスト会場。彼に相応しい場所ではない。だが彼にはもう一度、最初からやり直す意味があったのだ。

 あらゆる産業、スポーツがロボットになり変わられた現代。無論、相撲も例外では無かった。様々なギミックを内包した相撲は武道ではなく娯楽として昇華されていくこととなる。

 神事とし

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爆裂力士!!スモウギア

爆裂力士!!スモウギア

CRAAAASH!!!
田島のDアイランドは山崎のタイムTウィンドの容赦のないハリケーンハリテを喰らいダウン!

「弱すぎるぜテメェ。お前の代わりに、オレがこのギアをかわいがってやる」

ガキ大将山崎はビール瓶を大きく振り上げる!

「やめて、壊さないで!」

そんな願いも空しく、ビール瓶が振り下ろされようとしたその時である!

「待ちな!」

「なんだてめぇ!」

恐るべき蛮行を前に毅然と立つ、

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