ファイブ・サバイブ【逆噴射小説大賞二次選考通過記念記事】
noteの荒野、その中にいかにもメキシコっぽいバーがあった。今日は店前に「逆噴射小説大賞二次選考通過者達御用」のノレンが掲げて、貸し切り状態になっている。馬から降りたアウトロー風の男が手綱を柵に巻いて、店に入った。店内はかなり賑わっている。どいつもこいつもメキシコの荒野を生き延びてきた屈強の男と女ばかりだ。
だがその中に明らかに異質の雰囲気を持つ者がいた。カウンター席の隅で、辮髪と黒い馬掛(マーグア)、日本人が持つテンプレの中国人の相貌、その手には青島ビールの瓶。アウトロー男は内心に舌打ちした。ノレンに書かれた言葉の意味がわからないのか?男はその場違いのチャイニーズの隣席に着いた。
「おい、あんた」
「……はい?」
「ここで何をしている?」
「ビールを飲んでいるのだが?」
チャイニーズの割には日本語が話せるのではないか!ということはノレンの意味も解るはずだ。
「ここの今日貸し切りだ。誰が入らせたのか知らないが、引き取りもらおうか」
チャイニーズはその細長い目を数回瞬きし、思い出したかのように言った。
「ああ、逆噴射小説大賞のことね。大丈夫。わたし、資格持っているから」
「二次選考を通った?お前が?外人のおまえが?」
「そうなんだが?」
「まあ、日本人だけが応募対象ではないからな。お前のような奴もいるだろ。うん」アウトロー男はコロナの瓶口にライムを差し込み、呷った。「で、外人如きがせいぜい一作が限界だろう」
いつの間にか、男の背後に力士とサムライが現れた。ここでは勝ち抜いた小説のキャラはイマジナリーフレンドとして具現化できるのだ。
「おれは今回、二作も二次選考に残っている、つまり俺の方がつええってことだ。日本語で頑張ったおまえは賛賞に値するが、優勝の見込みはねえ。ここで降りてもらおう」
力士は四股を踏み、サムライが居合の構えを取った!フィクションのキャラ達は人を殺しても証拠にならない!アウトロー男自分の力を誇示するため、ここでチャイニーズを排除するつもりだ!
「悔しいか?悔しいのなおめえのイマジナリーフレンドを出して抵抗してみろおらぁ!!」
パチッ!ボウ!
「ドッソイアバーッ!?」「アバーッ!?」
指パッチンと爆発音が鳴ったと同時に、力士が火だるまになり、サムライが数百個のサイコロステーキに分割されて即死した。一瞬のでき事である!
「な、何が起こった!?」
「五つだ」
「なにっ!?」
「僕の五つの作品が二次選考を通過している」
新に出てきた男女たちがカウンター席を包囲するようにゆっくり歩み寄せた。右からボディビルダーばりに体格のいいおっさん、坊主頭筋肉質の女、カーボンアーマー着たうえでサディストな笑顔を浮かべる大男、二人組のヤクザ(若い方がチャカをギャング風に横に構えている)、両目を縫い合わせた恐ろしい魔女。
「なっ、そんなばかなーッ!?如何にもテンプレな外人のお前が、五つもだと!?」
「信じられないか?まあ、僕も驚いたけどさ」
チャイニーズは青島ビールの瓶を呷って、飲み干した。
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アニメではない、ほんとのことだった。僕の逆噴射プラクティスが五つも二次選考を生き延びた。めでたい。
僕の日本語は大学に入ってから本格的に勉強し始めた。当時は漫画やラノベを翻訳を目指していたが、まさか日本語で小説を書くことになるとは夢にも思わなかった。
日本語ネイティブではない僕が日本語で文章を書く際は、いつも言葉を選び、辞書を調べ、適切かどうかを確認してからタイプする、このようなことを何度も繰り返した。日本語の動詞には他動詞と自動詞があり、それがとても難しく、いまでもよく間違えたりする。今回逆噴射小説大賞の予想外の成果は、日本のオタク文化に心酔している僕への最大な肯定である。僕はこれからも書き続ける、まだ誤字と脱字が多いが、そのときは痛くないほどに僕の肩を叩いて教えてくだされば幸いです。
そんじゃ、ピッグアップだ!今回生き残った五作の中に、すでに三作がこのnoteに纏めてあるので
残りの二作を紹介するぜ!
僕が考えた、最強の元・魔法少女、レディ・ドゥームのデビュー作である。昔はリリカルなのはにハマった時期があって、魔法少女が強さを求めたその先にはどうなるかについて考えると、坊主頭の筋肉マダムが頭に浮かんだ。長年ぼんやりと脳の中に浮かんでいたキャラを実際に書けて気持ち良かった。続きは書く予定です。
邪眼の呪いにとりつかれた魔女がすべての魔的力を遮断するホテルに訪れ、わずかな間、平凡な生活を楽しむ小説です。軽い気持ちで書いたが好評のため、続きを書きました。
五つが残った。でも最終的に勝者は一人のみ、それ以外はみな敗者だ。気をしっかり持って結末を待とう。例えCORONAがもらえなくても、私は最寄りのCostcoで1ケースを買って、勝者に祝杯を挙げるつもりでいる。それでは、最終選考の時に、また会おう!
もし僕が勝ったら、航空便でCORONAを送ることになりますよね?うわすごく金がかかりそう。
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