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空を飛ぶ土竜
2023年11月8日 22:54
どうでもいいことをふと思いついたりするもので、この間通勤の帰り道、ほとんど信号にかからずにスイスイと帰れたことがあった。それで、ふと通勤の道には幾つ信号があるだろうと考えてみたのだった。片道25キロの自動車通勤。混んでいなければ40分くらいだろうか。混んでいれば1時間ちょっとかかる時もある。途中、信号のないバイパス道路を走るのでそんなに信号が多いわけでもない。そ
2022年4月28日 21:58
好きな食べ物ですか?梨ですかねえ。そう、そう、他にもタケノコ蒟蒻もやしレンコンそら豆鰯のつみれアサリの味噌汁ネギぬたで食べる白いご飯。里芋をふかしたの。つるっと皮をむいて塩味で。キュウリを味噌でまるかじり、とか。千円以上する食事に限りなくビビッてしまう、我ながら情けない貧乏性・・。そうそう、お金のなかった学生時分の350円の薄いトンカツの定食。
2022年3月18日 15:24
雨の降る日は さびしくて あなたに会ひに ゆけません 雨は嫌ひでないけれど あなたに会ひに ゆけません 雨がやんだら 大好きな あなたに会ひに ゆきませう いくつもいくつも 水たまり とびこえとびこえ ゆきませう わたしはあなが 好きですが うまくあなたに 言へません とってもとっても 好きですが うまくあなたに 言へません 雨はまだまだ
2021年12月29日 21:45
学生のとき合宿で泊まった民宿におばあさんがいた。人のいい世話好きな、いつもにこにこしているおばあさんだった。腰が90度に曲がっていたので仲間のひとりが直角ばあさんと、おばあさんを綽名した。・・親しみを込めて。直角ばあさん昔は今と比べて栄養状態も悪かったからそう言われて思い返してみると身近にたくさんいたようにも思う。僕のおばあちゃんも直角ばあさんだっ
2021年12月27日 19:27
もう20年も前の話である。ある時、新しいメールアドレスを作った。脳に余裕のない僕は、たいてい自分のあだ名である「土竜」をアドレスに使うのだが、同じように脳に余裕のない人はたくさんいるようで、土竜も、土竜くんも、土竜さんも、土竜ちゃんも、土竜はんも、みんな既に使われてしまっていて、使えない。数字と組み合わせればいいのだが、それも味気ないので、半分いい加減に「土竜が海を見ている」と打ち込んだら、さ
2021年12月1日 21:17
退職者を祝う宴のたけなわ。退職者の一人である老教師が「皆さん、聞いて下さい」と、突然席を立って大きな声で言った。一同、静まりそちらに注目すると、皆さん、私は長年かかって人間が癌に冒される仕組みを解明しました。それをご披露したいと思います。そう、老教師は言った。物理を専門とする教師だった。どちらかと言えば目立つところのない、風変わりなところのある人で、それゆえ一部の若
2021年11月2日 22:03
家を出ると首のない男が歩いていた思わずあとをつけてみるくたびれた犬のような足取りだからあとをつけるのは造作もない四つ角を右に曲がり煙草屋の前を通り過ぎ街はずれの川原まで来ると男は腕の時計を見ながらポケットからペンを出しそれを大事そうにベンチの上に置いたそして男は川の方を見やるとほっと息をつきそこにそのまま石になった
2021年10月21日 22:41
なにとなき倦怠もある街にして道玄坂はさらさら白し 不思議なものでそれだけで「詩」になることばがある夕暮れとか半月・三日月とか。俳句の季語などはそういう詩情を背負ったことばなのだろう。トトロの「さんぽ」にはいっぽんばしでこぼこじゃりみちまがりみち・・とかあるが、「道」ならそうした魅惑的な色を持つことばに多くの人は一本道を上げるかもしれない。・・・まっすぐな道でさ
2021年10月9日 22:36
白く鳴る風鈴鈴虫せせらぎのすがしさに似て孤独といふは眠りゐる時のみわれは宥されて秋満つる野に輝く蜻蛉テスト監督に教室に行くとどのクラスの黒板にも「机は空に」と、当たり前のように書かれていてもちろんそれは不正行為防止の注意なのだが、いつも僕は一瞬、机が空を飛んでいる光景をふと思い描いてしまう秋の青空を机が飛んでいる光景・・秋は寂しいと言われるそれは、煩雑な夏を越え
2021年9月17日 22:23
ウィキペディア(Wikipedia)によれば彼岸花は曼珠沙華死人花地獄花幽霊花蛇花剃刀花狐花捨子花はっかけばばあなど様々な名を持つらしい名前が多いのは恐らくその不思議さにあるのだろうが彼岸花の不思議さはあの紅さとあの茎に花がにょきっと立った姿と一瞬の生命の燃焼のように姿を消すことにあるひとは地上に現れることを「萌ゆ」と言い地上から消えることを「枯る」
2021年8月6日 22:06
アラモという映画がありアラモという砦を守る男たちの話だった勝てるはずのない大軍を相手に堂々と戦い死ぬべき死を確かに死んでいった男たちの話だった人の死に様ということにその時僕はひどく胸打たれ子供心に眠れなかったことを今でもよく覚えているそれで- 死から始めなければならないなんて、ちょっと気取って君の方を見ると隣で聞いているはずの君はもう すやすやと寝息を立てて
2021年5月26日 23:46
君を不幸せにするために僕は君といるわけではないのに僕のために君が不幸せになることを思う僕の思いが余計に君を悲しませることで寂しさを募らせる悪循環から逃れられない僕の寂しさをどうすればいいのかわからずにいる僕の寂しさがまた君を寂しくさせる君を求めようにもどこか遠いところにいる君の寂しさに僕はたどり着けないことの寂しさをひとりかかえることでしかその寂しさに耐えるすべが見当
2021年4月30日 22:25
その日 僕の道を陽があたたかく照らしていた春が春らしく輝き始めた田んぼのあぜ道れんげが一面に咲いていたおばあちゃんが乳母車を押しおじいちゃんが鍬をかつぎおやじの引くリヤカーをおふくろが押しそうして時が静かに流れていた決して楽とは言えず決して豊かでもなかったがただ静かに時は流れ人のために生きることが当たり前だった限りないそして無自覚な善良がそこにはあった
2021年4月15日 22:17
カミさんの報告によるとうちの縁の下にトカゲが棲みついてカミさんが草取りとか洗濯をしているとひょっこり顔を出すのだというこの間、子どもが生まれたそうなのだがふと覗いてみるとその子どもが蜘蛛の巣に絡まってぐるぐる巻きになっていたカミさんはそこで糸からはずしてやり体に絡みついた糸を小枝で取ってやったのだがしっぽに糸がぐちゃぐちゃに絡まってはずそうと試みたが取れないままそ