秋空を飛ぶ机
白く鳴る風鈴鈴虫せせらぎのすがしさに似て孤独といふは
眠りゐる時のみわれは宥されて秋満つる野に輝く蜻蛉
テスト監督に教室に行くと
どのクラスの黒板にも
「机は空に」
と、当たり前のように書かれていて
もちろんそれは
不正行為防止の注意なのだが、
いつも僕は一瞬、
机が空を飛んでいる光景を
ふと思い描いてしまう
秋の青空を机が飛んでいる光景・・
秋は寂しいと言われる
それは、煩雑な夏を越え
透明な風の中で
心に「空」が生まれるからなのかもしれない
「そら」ではなく
「から」
あるいは「空き」。
石川啄木は
忙しい時の方がいい
時間ができると自分について
考えなければいけないと言った
と何かで読んだような気がする。
心の「空」が
僕らに物を思わせる。
僕らは考えねばならないスペースを与えられてしまう。
それが
秋の孤独の正体かもしれない。
心の「空《あ》き」こそ「秋」である
と言ったら
秋空に消えてしまいたいほど
寂しいオヤジギャグかもしれない。
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