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2023年10月の記事一覧

晩秋の風 《詩》

晩秋の風 《詩》

「晩秋の風」

たった五秒の口付け 

晩秋の風

午後の陽だまり 

伏せたまつ毛に沈めた

束の間の魔力 

林檎が木から落ちる様な
当然の引力に近い感覚

幸せなのか 
幸せそうに見えるだけなのか

そんな事を口にする君の横顔

綺麗な輪郭を指先でなどった

僕は君の
永遠に損なわれた感情に触れていた

君も其処に
触れてくれる人を探し求めていた

僕は何も聞かない 

君もまた同じだった

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Search & Destroy 《詩》

Search & Destroy 《詩》

「Search & Destroy」

逆さ吊りのキリスト 

瞼の裏に焼きついた鮮血

鎖と鋲とピン 
爆音の中の快楽

編み上げのブーツで蹴り上げた抑圧

糞溜めで見た未来と希望

地下室で抱き合う時を止めた楽園

光の渦と音の色 
降り注ぐ叫び

歯止めも無く繰り返される

動乱 圧政  
歪み堕ちひび割れる社会

地図に無い街を探した

世間の枠組みの外側で

Search & Destr

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新月 《詩》

新月 《詩》

「新月」

髪に触れ首筋に沈めた

視線を彷徨う溺れゆく星ひとつ 

唇で君を感じられないのなら

震える手で触れた夜の終わり 

新月を待つ

跡形もない完璧な孤独をください 

何も見えない硝子の瞳をください

それでも 僕はまだ

夢を見たんだ煌めく夢を

愛しい人へ この夜に歌う  

捧げるものは何もなくても

黒い華 《詩》

黒い華 《詩》

「黒い華」

サヨナラを告げた黒い華の香

悪の血を流すピエロ

お前の欲望に満ちた血を
この皿に垂らしてくれないか

胸に抱いた
幾千ものナイフに映る孤独

背中に立てた爪 

儚い恋夢が目に染みる宵

溢れる太陽に似たお前の汁と血を
塗りつけた熟れた猥褻

舞い降りた神が月を満たす

お前の中で溺れる夜の果て

粘膜で覆い尽くされた闇夜の葬列

鏡の中の老婆が嘲笑い手招きをする

蒼い孤独と狂

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一片の月 《詩》

一片の月 《詩》

「一片の月」

何処にも行き場ない

硝子の様な透明に包み込まれていた

空虚な海に君の言葉を探し求めて

小さな光の微粒子が波打ち際に舞う

手を伸ばし
掴もうとしたが溢れ落ちる

そしてまた 僕は手を伸ばす

その光は既に最初の輝きを
失っている事に気がついていた

それを認めたくない僕が居た

全ては無意味で無価値である 

そう思いたくなかったからだ

時の洗礼は失望を呼び

僕の書いた言

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秋桜 《詩》

秋桜 《詩》

「秋桜」

最後の月が沈む時 

空の向こうを記憶が包む

見つけた声ひとつ

風に消され彷徨う雲となり 

幻影の中 降り頻る雨

濡れた大地に小さな蕾がうずくまる

儚く綺麗な純愛に似た薄紅の花を

数えた夜を胸に抱き  
想いは消えぬ秋桜

咲けない花なら枯れましょう

全てを置き去りにしたままで

貴方ひとりを悪者にして

AC COBRA 《詩》

AC COBRA 《詩》

「AC COBRA」

チーズと生ハム 
ガーリックトースト

ちぎって浮かべたクリームスープ

土曜日の太陽が平らな庭を作り出す

煌めいた銀色のボディー 
AC COBRA

爆音の中 
タイヤが擦れて立ち込める匂い

キスをするには最高の午後

澄み切った空に彼女の柔らかな声

花は夜に咲くらしい

キスはおあずけ やるせない仕草

空を剥がして月を浮かべ 
小さな星を散りばめる

静かに無

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回転木馬の夜 《詩》

回転木馬の夜 《詩》

「回転木馬の夜」

白く霞んだ幻の庭

溜め息を止めた運命の橋

恐れない様に受け入れて

傷付けない様に慰めて

裏切らない様に愛し続けて

円を描く軌道 
指先で触れた愛しさの訳

惹かれ合い寄り添い合う

君を ずっと待っていた

抱きしめ合って迷いは解けた

想いは廻る回転木馬

白馬に跨がり君を抱く

君の新しいキスを待っていた

星明かりに操られ世界が詩を奏でる

想いは廻る回転木馬

沈黙 《詩》

沈黙 《詩》

「沈黙」

孤独の中に属された
重い記憶が囁きかける

僕等は生き続ける意志を探す

語りかけた沈黙 

いつか失われて消えていくはずの
風だけが吹いてる

誰もが皆 

静かに死に向かい

死が僕等を迎えに来る

探していたものは何ですか

それは見つかりましたか

性別を超えた優しい光

優雅にも感じるその微笑み

魂の繋がりと絆 生死を超えた概念

答えはきっと僕等の心の中にある

僕は ま

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死月 《詩》

死月 《詩》

「死月」

明け方の白い月

記憶のドアは空いていた

反社会的なロマンス 

幕開けと幕引き

蒼い月が色を失い白く輝く時

季節はとっくに死んでいた

僕は
欠落した一部を探す為に君を抱き 

君もまたそれを望んでいた

雲が幾度も通り過ぎ

月の明かりをまだらに変える

そして 暁に焼かれて

僕等の代わりに月が死ぬ

銀杏の葉 《詩》

銀杏の葉 《詩》

「銀杏の葉」

夜の真ん中 桟橋の影

水面 さざなみ揺れる小舟

吐息ひとつ風に消え 

言葉 言えずに立ち止まる

振り向く足音 時間を超えて

小さく震えたくるぶし 
指先を添え

露地の細道 窓の無い部屋  

ふたり静かに重ねた唇

銀杏並木が色を変え

はらはらと散る 

涙 

花びら 

銀杏の葉

紫瀾の花 《詩》

紫瀾の花 《詩》

「紫瀾の花」

貴女の世界が

夜明けの駅へと向かう時

僕は月光のドアの影に立っている

夜の風が星を纏い

小さな花を揺らす時

文字を失くした言葉たちが
空から降り注ぐ

淡い紫  

衣の裾が静かに貫く 

胸の奥底 夢想い

心 導くままに 

君想う紫瀾の花

麗しの光 《詩》

麗しの光 《詩》

君の面影 瞳を閉じて

流れる静かに時ゆらら

刹那の美貌その横顔 

麗しの光 
僕を包み込む

小さな蕾が風に揺れ

僕の血は透き通ってゆく

空を映し太陽を映した瞳の色彩

優しく輝く星を見た

永遠の約束 
交わした言葉

君の詩が幸せを呼ぶ

鼓動 《詩》

鼓動 《詩》

「鼓動」

下手くそな嘘で笑って誤魔化した

余計な事 馬鹿な事

分かりきってた事

雨に震える街 硝子越しに映る姿

君の影だけが揺れていた

ふたり許し合えた事

また来るはずの無い
出逢いの季節を探して

僕の鼓動は今もまだ

嫌いになれたら良かったのに