マガジンのカバー画像

恋文・ラブレター

8,025
みんなのフォトギャラリーでイラスト・画像をご利用してくださった方の記事。 そして💬コメント欄には、書ききれない熱い想いをここに綴ろうと思います。ラブ❤️レター💌といっても、同性に対…
運営しているクリエイター

#短編小説

漂着ちゃん | 第1話 [創作大賞2024] | ファンタジー小説部門

漂着ちゃん | 第1話 [創作大賞2024] | ファンタジー小説部門

[ あらすじ ]

漂着ちゃん 第1話 リュックサックにロープだけ入れて山を目指した。日に数人しか利用客がいないような駅だったらどこでも良かった。駅周辺には、数件の家屋しか見えない。そこに魅力を感じたから下車した。

 細い道が一本あって山頂へとつづいている。けもの道だろう。だったらなおさら好都合だ。道なりに進んで行った。それにしても長い道である。もうすでに人家はひとつも見えなくなっていた。なのに

もっとみる
短編小説【落着のとき】

短編小説【落着のとき】

《あらすじ》

夫の病気平癒を願って、山深い法馬寺に参拝する、私。しかし、祈りは夫のためではなく、私のために祈っていた。夫がいなくなったら、どうなるのだろう。揺れる思いの中で、参拝することに意味を見出した私は、やがて救われる。

    
       『落着のとき』

 法馬寺は、山深い。森の奥にひそむ寺は、周囲を寄せつけないものがあった。杉林に囲まれた境内は、昼間でも光が閉ざされ、森閑としてい

もっとみる
短編 | 証人

短編 | 証人

 残業でいつもより帰りが遅くなった。終電もない。タクシーでも拾って帰ろうとしたが、よくよく考えたら、今日急いで家に帰る必要もないことに気がついた。

 さいわい雨も降らなそうだ。たまには時間をかけてテクテクと歩いて帰るのもいいだろう。

 夜の街を歩くのは久しぶりだ。一時期静まりかえっていた歓楽街にも活気が戻ってきているのだろう。久しぶりに遊んでいくのも悪くない。

 しかし、性欲というものは、た

もっとみる
友情の総重量【毎週ショートショートnote】

友情の総重量【毎週ショートショートnote】

急に高熱が出て部屋で苦しんでいたら、死神が現れた。

「お前への恨みの声が呪いとなって降りかかっているのだ」

何だよ。そんな恨まれる覚えはないぞ。

「いいや、大量の声が届いているぞ。聞くがよい」

死神の手にした水晶玉に、良く見知った友人らの姿が代わる代わる映される。

(……あいつ、いつも生徒会長の隣を独占しやがって)
(幼馴染だからって、学校一の美人と仲良くしすぎだろ)
(万死に値する!)

もっとみる
エッセイ | トルーマン・カポーティ

エッセイ | トルーマン・カポーティ

 
 先日、アポロさんの「この頃の本の読み方」という記事を読んでいました。

https://note.com/557apo/n/nb5abc97c017d

 私の最近の本の読み方と似ているな、と共感できることが多かったです。
 この記事が印象に残ったのは、「あ、アポロさんもカポーティが好きなんだ」と知って、とても嬉しく思ったからです。
 自分自身が好きな作家と同じ作家が好きな人に会うと、親近感

もっとみる
短編 | はつこい

短編 | はつこい

「智宏さん、なにしてるの?」

「あぁ、小学生の頃の日記が出てきてね。」

「あら、懐かしいわね。もしかして、私もあなたの日記の中に登場してるのかしら」

「いや、千賀子のことはどうかなぁ。書いてあるかなぁ。」

 私は今、古い日記帳を読んでいる。増えてしまった本の整理をしているとき、小学生の頃、毎日書いていた日記帳をたまたま見つけたのだ。

 昭和59年11月✕日。小学2年生のときの日付だ。この

もっとみる
いやんズレてる【ショートストーリー】(青ブラ_第3回変態王決定戦参加作品)

いやんズレてる【ショートストーリー】(青ブラ_第3回変態王決定戦参加作品)

 「わたくしカブラギ商事の葛城桂子と申します」
 「はっ」
 「かつらぎ・けいこです!」
 「ボヘミア〜ン?」
 「はあ? あっ、すみません」桂子は、言われることを分かっていつつも恥じらった。
 「はあ、とは何ですか。顧客に向かってその言葉遣いは?!」
 「だって、山根社長あまりにもふざけているものですから」
 「・・・・・」山根は思わず黙りこくった。
 「私がカツラだからって少し軽く見ていません

もっとみる
【短編小説】むち打ち治療の日

【短編小説】むち打ち治療の日

 どうも、昨日っから首が痛い。痛いっていうか、ヘンな感じ。違和感、だな。
「どうしたんです?ヘンな顔して」
 うーん、と首を捻ったりぐるぐる回したりしてたら、同僚に心配された。
「なんか、ヘンな感じがしてさ。違和感っつーか……あ、イっ!…てぇー」
「ええー、何したんですか。寝違えでもしました?」
「いや、寝違えじゃない、と思う、昨日っからだし。んー……ああ、そういや、昨日の夜、息子と一緒に柔道の稽

もっとみる
てるてる坊主のラブレター

てるてる坊主のラブレター

 急に大雨が降ってくるんですもの。もうこれ以上に濡れられないっていうくらい濡れちゃったわ。早くお風呂に入って着替えたいわ。

 それにしても、このてるてる坊主。ベランダに吊るしておいたのに何で雨が降ったのかしら?ご利益なんてなかったわね。
 でも上手に作れたから、そのままにしておいてあげる。

 あのね、お姉さん。僕はお話することが出来ない。けど雨を降らせたのは、ちゃんと理由があるの。

 今日お

もっとみる
短編 | 嘆く女

短編 | 嘆く女

 もう、あたし、泣くことしかできないわ。だって、3年も尽くしてきたのよ。

 軽い気持ちで「3年目の浮気なんて、大目にみろよ」って。なんなのそれ?

 だって、あたしの人生の大半をあなたに費やしてきたのよ😭( 。゚Д゚。)😭。

 あたし、どんだけあなたに尽くしてきたと思っているの?

 残り1個のキャンディ🍬をあげたことがあったわ。

 鬼滅のコミックも貸してあげたことさえあったわ。

 

もっとみる
連載小説(35)漂着ちゃん

連載小説(35)漂着ちゃん

 エヴァの車に乗り、収容所へもどるとき、私たちは終始無言だった。もはや所長はいないのだから、何の気兼ねもなくエヴァのもとへ行けるはずなのに、もう二度とエヴァとは会うことが出来ないような感覚があった。

「着きました。ナオミさんのもとへお戻りください。当面の間、ナオミさんのもとを離れないでください」

「なぜです?」

「なぜって、それはナオミさんがあなたの奥さまだからに決まっているじゃないですか」

もっとみる
人の不幸を喜ぶ人、悲しむ人。

人の不幸を喜ぶ人、悲しむ人。

人には不幸がつきものです。
怪我や病気をしたり、身内がなくなったり、落とし物をしたり。
そんなとき、悩みを人に打ち明けることがあるでしょう。

とある大学生のHくんは、人の不幸が大好物です。
俺、人の不幸を見るとウキウキしちゃうんだよね。
嬉しくて仕方がないんだよ。
人の不幸って蜜の味。
楽しそうにそう語る。

閉店セール

閉店セール

 このたび、3年弱つづけてきたnote商店を閉店する運びとなりました。
 SNSは所詮バーチャル空間。言葉の先にリアルな人がいると分かっていても、人を人として感じることができません。

 なんか虚しさがつのるばかりです。再生に向けて、試行錯誤してきましたが、状況は悪化するばかり。

 連載小説を書いても鳴かず飛ばず。
 書きたいことは書き尽くしたような気もしますし、私などいなくても代わりはほかにた

もっとみる