夏目ジウ

note2023.4.24〜 小学4年時に芥川龍之介、太宰治を読み文学に目覚める。大学…

夏目ジウ

note2023.4.24〜 小学4年時に芥川龍之介、太宰治を読み文学に目覚める。大学時代は文芸部に所属。小説、詩、エッセイ、歌詞等思いついた儘に掲載します。 https://twitter.com/AotengShen62526

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  • 夏目ジウ 掌編・短編小説集

    これまでnoteに掲載した小説をまとめました😀 暇(いとま)にでも、気軽に読んでください。

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追憶【掌編小説】

 拳の記憶よりも、愛の追憶は遥か深い。  ボクシング世界タイトルマッチで僅か1R59秒で惨敗を喫した松下タツヤは絶望の淵にいた。  古びた病院の個室にはユリがずっと付き添っている。両親のいない彼はユリ無しでは生きられない。この試合に勝てばプロポーズをするつもりだったのだ。そんな絵に描いたような幸せを目前にしたまさかの出来事・・・一命は取り留めたが、医師からは引退勧告を受けざるを得なかった。  「タツヤ君、彼女を幸せにしてあげなさい」  聖母のような優しさは彼の見知らぬ母を思わ

    • 上京者がたり【詩】

      今春大阪から上京し建設会社に就職した 本心は複雑な胸中に棲んでいる お父さんは嘘つきの裏切り者! 母からそう育てられた でも古びた家族写真の答えが欲しい 確かな温もりの記憶 大きな手は肉体労働者だった父 遠くても繋がっている あの日の父の声が聞こえる この広い東京で いつか逢いたい 今日も、高層ビルから何かを見下ろす 【了】

      • からの〜ご紹介↗️

        いつも拙作をご覧頂きありがとうございます🙇‍♂️ 先日、ご紹介した出雲黄昏さんの記事を多くの方が読んで頂いたことは別稿でお礼を申し上げました💨 そんな熱も冷めやらぬ間に、 本家本元であるご本人からご紹介についてのお礼を賜りました💧 「またやってしまった。あんな拙いご紹介記事で・・・」とやや悔悟をしていた矢先のことだっただけに、望外というか、僥倖と呼ぶべきか😭有り難い降臨に感謝しかないです👼 お互い高い志を持ったクリエーター同士ですので、逆に私も「これは❗️」と思わせる作

        • 🙇‍♂️恐れ入ります🙇‍♂️

          先日note上で、ねむるこさんのご紹介をさせて頂きました😅 ご紹介記事を機に、ねむるこさんの記事を読んで頂いた方が数多くいらっしゃったことに大変感謝申し上げます💧 (自分ではない)クリエーターさんをご紹介する時はある意味では責任が伴いますし、自分の記事以上に力を込めているつもりです😄 創作活動時間よりも、他のnoterさんの記事を読むことが増えたのは良い記事が多いわけで、自らのセンスを磨く上では大変良いことだと思います。 これからも、良い作品や記事は沢山ご紹介させて頂

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        追憶【掌編小説】

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        • 夏目ジウ 掌編・短編小説集
          30本

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          もっと読まれて欲しい推しnoter③_ねむるこさん

          ※イラスト:ねむるこさん作 いつも拙作を御覧頂きありがとうございます。 本業多忙により、投稿が滞っておりました🙇‍♂️。 申し訳ございませんでした。。 早速ですが、オススメnoterさんのご紹介になります。 今回は、長編小説を主に描かれているクリエーターさんです。 🐱ねむるこさん🐱 このかたは既にいくつかの公募系でも数作品が選考通過を果たしています(直近では、今年2月に感動巨編『ぼくらの島』でポプラ社小説新人賞二次選考通過 ※セミファイナリスト)💨主にはエンタメ系や

          もっと読まれて欲しい推しnoter③_ねむるこさん

          創作者の頭の中は?〜オススメ記事紹介②〜

          いつも拙作を御覧頂きありがとうございます🙇‍♂️ 唐突ですが、優れた小説を書く人って普段何を考えているのでしょう。 潮田クロさんは惜しげもなく、素晴らしい小説(人情物や大衆文学系)やエッセイを発表されているnoterさんです✒️どんなことを考えて作品を創っているか🧐非常に興味深い記事でした。 冒頭からやや哲学的に書いてらっしゃいますが、非常に読みやすいエッセイのような、また小説そのものの説明書のような内容で面白かったです😊 よほど小説に対して確固たる信念が無いと書けないです

          創作者の頭の中は?〜オススメ記事紹介②〜

          無料創作物に求められるものとは?〜オススメ記事紹介①〜

          いつも拙作を御覧頂きありがとうございます🙇‍♂️ 私はnote上に小説やら、詩やら、エッセイ等しがない文章を投稿しております💦さて、皆さまが、小説や物語に求めるものって何でしょう? 私はズバリ【非日常性】です❗️ スカッとしなくても面白さ、エンタメ性を欲しながら他の記事を読ませて頂いてます(特に無料記事には、ですね。購買物には何かしらの動機づけが伴います)。 たまに、アマチュアの方にハッとさせられる作品があります。 もちろん作品の冒頭にある通り、 ※この物語はフィクシ

          無料創作物に求められるものとは?〜オススメ記事紹介①〜

          朧月の恋【ショートストーリー】#シロクマ文芸部

           朧月は救いだった。  早春にくしゃみをすると初恋から醒めてしまう、と昔の言い伝えがあった。じゃあ、くしゃみをしないように僕は鼻を塞ぎ、マスクを二重にした。  付き合っているのか、そうではないのかよく分からない時期だったから絶対に美咲を離したくなかったのだ。  【くしゃみをすると、美咲は消える】  余計なプレッシャーとなり、初めてのデートが何だかよく分からない日になっていた。ドキドキする良い緊張感のはずなのに、悪い激しい鼓動しか聴こえなかった。  常に花粉は浮遊しており、到底

          朧月の恋【ショートストーリー】#シロクマ文芸部

          もっと読まれて欲しい_推しnoter紹介②古賀裕人さん

          いつも拙作をご覧頂きありがとうございます🙇‍♀️ わたくし夏目ジウがオススメしたいnoterさん企画です❗️ 第二回目は古賀裕人さん🐸 個人的にnote上でお世話になっており、 下記のような私設の文学賞を主宰されてます✒️ わたくしも、前回(第3回)と今回(第4回)と微力ながら参加させて頂きました🫸 特筆すべきは、彼の文学に対する思いと参加者への愛です☝️あと、参加作品全てに熱い想いがヒシヒシと伝わって来ます👣 古賀さんは一つ一つの作品に真摯に向き合い参加者全員へ講評

          もっと読まれて欲しい_推しnoter紹介②古賀裕人さん

          『ウホッホ探検隊』干刈あがた 著(小説ブックレビュー)

           まだ今ほど離婚することが肯定されない時代(昭和58年)にあえて小説で問題提起させた。  最初はタイトルに惹かれて読んで、著者が鬼籍に入っていること、又自叙伝的な作品だと知り、思わず感情移入をした。二たびと言わず、何度も泣いた。  太郎、君はスニーカーの紐をキリリと結ぶと、私のほうを振り返って言った。  「それじゃあ、行ってくるよ」  一度読んだら忘れないほどの衝撃の一節は中毒性が強い。冒頭だけで名作だと思わせる破壊力は干刈さんの持つ膂力でしかない。母と一緒に暮らす息子二

          『ウホッホ探検隊』干刈あがた 著(小説ブックレビュー)

          拙作『ちぎり』 沢山の方にお読み頂きました。 ありがとうございました。

          拙作『ちぎり』 沢山の方にお読み頂きました。 ありがとうございました。

          拙作『追憶』 沢山の方にお読み頂きました。 ありがとうございました。

          拙作『追憶』 沢山の方にお読み頂きました。 ありがとうございました。

          さようならタイムカプセル【掌編小説】♯シロクマ文芸部

          ※5,528字数。  本作品はフィクションです。  卒業の日を一週間後に控えた愛ノ川小学校には一言では例え難い雰囲気があった。過疎化が進む愛ノ川市は数年前から一気に人口減少の一途をたどっていた。  今月3月末をもって、廃校になるのだ。母校を失くすことは限りなく悲しみが深い。  在校生のうち6年生は5人、5年生は4人、4年生は3人、3年生は2人、2年生は1人。そして、今年度の新入生はいない。傷心にトドメを刺すように市のお偉いさんが閉鎖を決めた。  校長である山本はOBで、そも

          さようならタイムカプセル【掌編小説】♯シロクマ文芸部

          新・芥川賞作品 九段理江著「東京都同情塔」読了。 文学的に優れており、また身震いする作品。 金原ひとみさん、川上未映子さん、村田沙耶香さんらが受賞した時と同じ匂い。久しぶりに、次作を読みたいと思った女流作家のひとり。

          新・芥川賞作品 九段理江著「東京都同情塔」読了。 文学的に優れており、また身震いする作品。 金原ひとみさん、川上未映子さん、村田沙耶香さんらが受賞した時と同じ匂い。久しぶりに、次作を読みたいと思った女流作家のひとり。

          ちぎり【短編小説】

          ※2,170字数。  本作品はフィクションです。  ーあたし、アイドルになるからもう会えない。元恋人のマナは3年前そんな風に別れを告げて僕の元を去った。いつもよりも仲睦まじく地元の文化会館で成人式に参加した帰路の途中だったから、今でもその時の光景は鮮明に覚えている。  「でも、30歳になったら必ず迎えに行くから」マナの青々しい後ろ姿に向かって僕は声を振り絞った。たぶん、聞こえていなかったかもしれないけれど。  僕はあれから大学を卒業して今年入社3年目になった。マナの事はもう

          ちぎり【短編小説】

          エッセイ『サヨナラの魔球』

          人は別れと出逢いを繰り返す。 別れほど悲しいものは無い。 恋人と別れる時、ペットと別れる時、僕はそのいづれにも「サヨナラ」と言ったことはない。サヨナラとは、本来自分が人生を離れる時に用いる言霊だから。心の中でソッと(サヨナラ)を繰り返してきた。 むかしむかし、ある一組の夫婦が結婚をした時にこう誓い合ったそうだ。 ー私たち夫婦は同じ棺桶に入ることを誓います。 何とも潔い。 先に死ぬだの死なないだの、何かを遺す遺さないだのは必要がないということだ。それならば、お互いサヨナラを言い

          エッセイ『サヨナラの魔球』