夏目ジウ

note2023.4.24〜 小学4年時に芥川龍之介、太宰治を読み文学に目覚める。大学…

夏目ジウ

note2023.4.24〜 小学4年時に芥川龍之介、太宰治を読み文学に目覚める。大学時代は文芸部に所属。小説、詩、エッセイ、歌詞等思いついた儘に掲載します。 https://twitter.com/AotengShen62526

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  • 夏目ジウ 掌編・短編小説集

    これまでnoteに掲載した小説をまとめました😀 暇(いとま)にでも、気軽に読んでください。

記事一覧

固定された記事

追憶【掌編小説】

 拳の記憶よりも、愛の追憶は遥か深い。  ボクシング世界タイトルマッチで僅か1R59秒で惨敗を喫した松下タツヤは絶望の淵にいた。  古びた病院の個室にはユリがずっと付…

夏目ジウ
2か月前
63

上京者がたり【詩】

今春大阪から上京し建設会社に就職した 本心は複雑な胸中に棲んでいる お父さんは嘘つきの裏切り者! 母からそう育てられた でも古びた家族写真の答えが欲しい 確かな温も…

夏目ジウ
3週間前
19

からの〜ご紹介↗️

いつも拙作をご覧頂きありがとうございます🙇‍♂️ 先日、ご紹介した出雲黄昏さんの記事を多くの方が読んで頂いたことは別稿でお礼を申し上げました💨 そんな熱も冷めや…

夏目ジウ
1か月前
26

🙇‍♂️恐れ入ります🙇‍♂️

先日note上で、ねむるこさんのご紹介をさせて頂きました😅 ご紹介記事を機に、ねむるこさんの記事を読んで頂いた方が数多くいらっしゃったことに大変感謝申し上げます💧 …

夏目ジウ
1か月前
28

もっと読まれて欲しい推しnoter③_ねむるこさん

※イラスト:ねむるこさん作 いつも拙作を御覧頂きありがとうございます。 本業多忙により、投稿が滞っておりました🙇‍♂️。 申し訳ございませんでした。。 早速ですが…

夏目ジウ
1か月前
43

創作者の頭の中は?〜オススメ記事紹介②〜

いつも拙作を御覧頂きありがとうございます🙇‍♂️ 唐突ですが、優れた小説を書く人って普段何を考えているのでしょう。 潮田クロさんは惜しげもなく、素晴らしい小説(…

夏目ジウ
1か月前
31

無料創作物に求められるものとは?〜オススメ記事紹介①〜

いつも拙作を御覧頂きありがとうございます🙇‍♂️ 私はnote上に小説やら、詩やら、エッセイ等しがない文章を投稿しております💦さて、皆さまが、小説や物語に求めるもの…

夏目ジウ
1か月前
38

朧月の恋【ショートストーリー】#シロクマ文芸部

 朧月は救いだった。  早春にくしゃみをすると初恋から醒めてしまう、と昔の言い伝えがあった。じゃあ、くしゃみをしないように僕は鼻を塞ぎ、マスクを二重にした。  付…

夏目ジウ
1か月前
27

もっと読まれて欲しい_推しnoter紹介②古賀裕人さん

いつも拙作をご覧頂きありがとうございます🙇‍♀️ わたくし夏目ジウがオススメしたいnoterさん企画です❗️ 第二回目は古賀裕人さん🐸 個人的にnote上でお世話になって…

夏目ジウ
1か月前
19

『ウホッホ探検隊』干刈あがた 著(小説ブックレビュー)

 まだ今ほど離婚することが肯定されない時代(昭和58年)にあえて小説で問題提起させた。  最初はタイトルに惹かれて読んで、著者が鬼籍に入っていること、又自叙伝的な…

夏目ジウ
1か月前
18

拙作『ちぎり』
沢山の方にお読み頂きました。
ありがとうございました。

夏目ジウ
2か月前
9

拙作『追憶』
沢山の方にお読み頂きました。
ありがとうございました。

夏目ジウ
2か月前
5

さようならタイムカプセル【掌編小説】♯シロクマ文芸部

※5,528字数。  本作品はフィクションです。  卒業の日を一週間後に控えた愛ノ川小学校には一言では例え難い雰囲気があった。過疎化が進む愛ノ川市は数年前から一気に人…

夏目ジウ
2か月前
21

新・芥川賞作品
九段理江著「東京都同情塔」読了。
文学的に優れており、また身震いする作品。
金原ひとみさん、川上未映子さん、村田沙耶香さんらが受賞した時と同じ匂い。久しぶりに、次作を読みたいと思った女流作家のひとり。

夏目ジウ
2か月前
23

ちぎり【短編小説】

※2,170字数。  本作品はフィクションです。  ーあたし、アイドルになるからもう会えない。元恋人のマナは3年前そんな風に別れを告げて僕の元を去った。いつもよりも仲…

夏目ジウ
2か月前
43

エッセイ『サヨナラの魔球』

人は別れと出逢いを繰り返す。 別れほど悲しいものは無い。 恋人と別れる時、ペットと別れる時、僕はそのいづれにも「サヨナラ」と言ったことはない。サヨナラとは、本来自…

夏目ジウ
2か月前
31
追憶【掌編小説】

追憶【掌編小説】

 拳の記憶よりも、愛の追憶は遥か深い。
 ボクシング世界タイトルマッチで僅か1R59秒で惨敗を喫した松下タツヤは絶望の淵にいた。
 古びた病院の個室にはユリがずっと付き添っている。両親のいない彼はユリ無しでは生きられない。この試合に勝てばプロポーズをするつもりだったのだ。そんな絵に描いたような幸せを目前にしたまさかの出来事・・・一命は取り留めたが、医師からは引退勧告を受けざるを得なかった。
 「タ

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上京者がたり【詩】

上京者がたり【詩】

今春大阪から上京し建設会社に就職した
本心は複雑な胸中に棲んでいる

お父さんは嘘つきの裏切り者!
母からそう育てられた
でも古びた家族写真の答えが欲しい
確かな温もりの記憶
大きな手は肉体労働者だった父

遠くても繋がっている
あの日の父の声が聞こえる
この広い東京で
いつか逢いたい
今日も、高層ビルから何かを見下ろす

【了】

からの〜ご紹介↗️

からの〜ご紹介↗️

いつも拙作をご覧頂きありがとうございます🙇‍♂️
先日、ご紹介した出雲黄昏さんの記事を多くの方が読んで頂いたことは別稿でお礼を申し上げました💨

そんな熱も冷めやらぬ間に、
本家本元であるご本人からご紹介についてのお礼を賜りました💧

「またやってしまった。あんな拙いご紹介記事で・・・」とやや悔悟をしていた矢先のことだっただけに、望外というか、僥倖と呼ぶべきか😭有り難い降臨に感謝しかないで

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🙇‍♂️恐れ入ります🙇‍♂️

🙇‍♂️恐れ入ります🙇‍♂️

先日note上で、ねむるこさんのご紹介をさせて頂きました😅

ご紹介記事を機に、ねむるこさんの記事を読んで頂いた方が数多くいらっしゃったことに大変感謝申し上げます💧

(自分ではない)クリエーターさんをご紹介する時はある意味では責任が伴いますし、自分の記事以上に力を込めているつもりです😄

創作活動時間よりも、他のnoterさんの記事を読むことが増えたのは良い記事が多いわけで、自らのセンスを

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もっと読まれて欲しい推しnoter③_ねむるこさん

もっと読まれて欲しい推しnoter③_ねむるこさん

※イラスト:ねむるこさん作

いつも拙作を御覧頂きありがとうございます。
本業多忙により、投稿が滞っておりました🙇‍♂️。
申し訳ございませんでした。。

早速ですが、オススメnoterさんのご紹介になります。

今回は、長編小説を主に描かれているクリエーターさんです。

🐱ねむるこさん🐱

このかたは既にいくつかの公募系でも数作品が選考通過を果たしています(直近では、今年2月に感動巨編『ぼ

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創作者の頭の中は?〜オススメ記事紹介②〜

創作者の頭の中は?〜オススメ記事紹介②〜

いつも拙作を御覧頂きありがとうございます🙇‍♂️
唐突ですが、優れた小説を書く人って普段何を考えているのでしょう。

潮田クロさんは惜しげもなく、素晴らしい小説(人情物や大衆文学系)やエッセイを発表されているnoterさんです✒️どんなことを考えて作品を創っているか🧐非常に興味深い記事でした。
冒頭からやや哲学的に書いてらっしゃいますが、非常に読みやすいエッセイのような、また小説そのものの説明

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無料創作物に求められるものとは?〜オススメ記事紹介①〜

無料創作物に求められるものとは?〜オススメ記事紹介①〜

いつも拙作を御覧頂きありがとうございます🙇‍♂️
私はnote上に小説やら、詩やら、エッセイ等しがない文章を投稿しております💦さて、皆さまが、小説や物語に求めるものって何でしょう?

私はズバリ【非日常性】です❗️
スカッとしなくても面白さ、エンタメ性を欲しながら他の記事を読ませて頂いてます(特に無料記事には、ですね。購買物には何かしらの動機づけが伴います)。

たまに、アマチュアの方にハッと

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朧月の恋【ショートストーリー】#シロクマ文芸部

朧月の恋【ショートストーリー】#シロクマ文芸部

 朧月は救いだった。
 早春にくしゃみをすると初恋から醒めてしまう、と昔の言い伝えがあった。じゃあ、くしゃみをしないように僕は鼻を塞ぎ、マスクを二重にした。
 付き合っているのか、そうではないのかよく分からない時期だったから絶対に美咲を離したくなかったのだ。
 【くしゃみをすると、美咲は消える】
 余計なプレッシャーとなり、初めてのデートが何だかよく分からない日になっていた。ドキドキする良い緊張感

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もっと読まれて欲しい_推しnoter紹介②古賀裕人さん

もっと読まれて欲しい_推しnoter紹介②古賀裕人さん

いつも拙作をご覧頂きありがとうございます🙇‍♀️
わたくし夏目ジウがオススメしたいnoterさん企画です❗️

第二回目は古賀裕人さん🐸
個人的にnote上でお世話になっており、
下記のような私設の文学賞を主宰されてます✒️

わたくしも、前回(第3回)と今回(第4回)と微力ながら参加させて頂きました🫸

特筆すべきは、彼の文学に対する思いと参加者への愛です☝️あと、参加作品全てに熱い想いが

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『ウホッホ探検隊』干刈あがた 著(小説ブックレビュー)

『ウホッホ探検隊』干刈あがた 著(小説ブックレビュー)

 まだ今ほど離婚することが肯定されない時代(昭和58年)にあえて小説で問題提起させた。
 最初はタイトルに惹かれて読んで、著者が鬼籍に入っていること、又自叙伝的な作品だと知り、思わず感情移入をした。二たびと言わず、何度も泣いた。

 太郎、君はスニーカーの紐をキリリと結ぶと、私のほうを振り返って言った。
 「それじゃあ、行ってくるよ」

 一度読んだら忘れないほどの衝撃の一節は中毒性が強い。冒頭だ

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拙作『ちぎり』
沢山の方にお読み頂きました。
ありがとうございました。

拙作『追憶』
沢山の方にお読み頂きました。
ありがとうございました。

さようならタイムカプセル【掌編小説】♯シロクマ文芸部

さようならタイムカプセル【掌編小説】♯シロクマ文芸部

※5,528字数。
 本作品はフィクションです。

 卒業の日を一週間後に控えた愛ノ川小学校には一言では例え難い雰囲気があった。過疎化が進む愛ノ川市は数年前から一気に人口減少の一途をたどっていた。
 今月3月末をもって、廃校になるのだ。母校を失くすことは限りなく悲しみが深い。
 在校生のうち6年生は5人、5年生は4人、4年生は3人、3年生は2人、2年生は1人。そして、今年度の新入生はいない。傷心に

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新・芥川賞作品
九段理江著「東京都同情塔」読了。
文学的に優れており、また身震いする作品。
金原ひとみさん、川上未映子さん、村田沙耶香さんらが受賞した時と同じ匂い。久しぶりに、次作を読みたいと思った女流作家のひとり。

ちぎり【短編小説】

ちぎり【短編小説】

※2,170字数。
 本作品はフィクションです。

 ーあたし、アイドルになるからもう会えない。元恋人のマナは3年前そんな風に別れを告げて僕の元を去った。いつもよりも仲睦まじく地元の文化会館で成人式に参加した帰路の途中だったから、今でもその時の光景は鮮明に覚えている。
 「でも、30歳になったら必ず迎えに行くから」マナの青々しい後ろ姿に向かって僕は声を振り絞った。たぶん、聞こえていなかったかもしれ

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エッセイ『サヨナラの魔球』

エッセイ『サヨナラの魔球』

人は別れと出逢いを繰り返す。
別れほど悲しいものは無い。
恋人と別れる時、ペットと別れる時、僕はそのいづれにも「サヨナラ」と言ったことはない。サヨナラとは、本来自分が人生を離れる時に用いる言霊だから。心の中でソッと(サヨナラ)を繰り返してきた。
むかしむかし、ある一組の夫婦が結婚をした時にこう誓い合ったそうだ。
ー私たち夫婦は同じ棺桶に入ることを誓います。
何とも潔い。
先に死ぬだの死なないだの、

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