流山 青衣

はじめまして、こんにちは。あおいと申します。 短編小説を投稿しています。 (文字数は、…

流山 青衣

はじめまして、こんにちは。あおいと申します。 短編小説を投稿しています。 (文字数は、400字詰め原稿用紙20枚程度です) よろしくお願いします。

最近の記事

短編小説【アカエイのたたり】

《あらすじ》 北の太平洋に面した川瀬という街を訪れた男は、アカエイを祭る神社に興味を持った。川瀬では、アカエイを神の使いとしていたが、空梅雨になると多く発生してしまい、川瀬の人々を困らせていた。男は、神の使いであるアカエイの尾を切ってしまうが…              『アカエイのたたり』  あの年は空梅雨で始まった。と言っても、晴れることはなかった。  雨が降らずとも、曇天の日が多く、時おり吹く冷涼な湿った北東の風にさらされると、雨が降ったかのように湿度が高くなる。

    • 短編小説【箱入り娘】

      《あらすじ》 東京で働いていた私は、父が倒れたせいで、不本意ながら実家に戻る。ワイン用のブドウ栽培と醸造を行っていた父は、ブドウを娘のように溺愛していた。それに辟易していた私は、葛藤と悪戦苦闘をしながらブドウ栽培に向き合い、やがて、収穫の時を迎える。              『箱入り娘』  年が明けて、穏やかな晴天が続いた。東京では記録的な少雨だというのが、耳に入った。休日になり、昼食をとるため外に出ると、雲ひとつない青空が広がっていた。大寒とは思えない陽気の土曜日の

      • 短編小説【田々井村から】

        《あらすじ》 山村の田々井村から都会に出てきた私は、あるとき地図を拾う。都会は美しく、ふるさとは違う。そう思いながらも、自然豊かな情景が書かれた地図に興味をひかれる。地図がきっかけで、田舎の美景を目にした私は、田々井村にもそれがあったと気づきはじめる。        『田々井村から』  大学の門を出ると、秋の虫が鳴いていた。田舎では毎日鳴いていたから、うるさかった。都会だと珍しいからか、新鮮にさえ思えた。ついこの間まで明るかったのに、いつのまに日の入りが早くなったのか、

        • 短編小説【落着のとき】

          《あらすじ》 夫の病気平癒を願って、山深い法馬寺に参拝する、私。しかし、祈りは夫のためではなく、私のために祈っていた。夫がいなくなったら、どうなるのだろう。揺れる思いの中で、参拝することに意味を見出した私は、やがて救われる。             『落着のとき』  法馬寺は、山深い。森の奥にひそむ寺は、周囲を寄せつけないものがあった。杉林に囲まれた境内は、昼間でも光が閉ざされ、森閑としている。虚ろな目つきの参拝者たちが、ふらふらと亡霊のように歩いていた。参道の石畳は苔

        短編小説【アカエイのたたり】