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すてきなことを描く人たち

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noteで遭遇した、すてきなことを描く人たちを集めてみました。 同じようにすてきだなぁ、と感じて貰えたらとても気持ちがいいです。
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2020年8月の記事一覧

灯台の小道

灯台の小道

歩くのは好きですか?

(それとどうか、深呼吸を忘れずに、
体に良い、とお医者から聞きましたよ。)

どこかへ向かって歩くのも
当て所なく歩くのも良いものです。

一歩ずつ確かに進んで行く感覚が好きで
私はよく散歩に出かけます。

右足を出し、左足を出す
(あるいは、左足を出し、右足を出す
あるいは、足が悪くても、無くても
それは人それぞれですよね。
向かう感覚には変わりありません。)

その単純

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黒の感情

黒の感情

 自分の中にある黒から目を背けなければいい。
 それを見てしまって憂鬱になるのは、きれいな自分でありたい願望を自分に押し付けているからだ。
 色々な色があってもおかしくないのに、自分の中の黒を認めないのは、自分の一部を否定しているように思えて苦しい。
 自分の中の様々な色達が幾重にも重なって、生まれた黒という色。それを嫌って切り取らずに、認めて心の叫びを聞くのも、良いのかもしれない。
 
 私は探

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ヨルシカ『逃亡』と、西伊豆の夏の夕日

ヨルシカ『逃亡』と、西伊豆の夏の夕日

 8月某日の夕暮れ時、私は西伊豆の浮島という地へ観光に来ていた。
 私はバス停「浮島」を降り、海岸へと向かった。
 バス停から海岸までは急斜面が続いていた。西伊豆という地の地形の面白さを堪能しながら、私は坂道を下った。

 海岸へ辿り着くと、そこには見事な夕日が佇んでいた。
 双方を岩壁が立ち並び入り江を構成する。波は穏やかで、今にも沈みそうな夕日が水面で揺れていた。

 写真を撮影しひと段落つい

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日常を3日間タイムループさせたら、74歳に娘ができた

日常を3日間タイムループさせたら、74歳に娘ができた

先日、私は神楽坂でタイムループした。

タイムループっていうのは、「物語の中で、登場人物が同じ期間を何度も繰り返す」というもの。これに憧れていた私は、自分の手でちょっとだけ、ループさせてみた。妄想でもSF小説でもない。至って日常的な一日を、3回繰り返した。

そうしたら、とある74歳の女性に娘ができた。
ひとりじゃない。ふたりもできた。

何を言っているのかわからないと思うので、その3日間にしたこ

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私の背中を押す、「34グラムの銀」

18歳の私にとって、1番たかい買い物は、「シチズンの腕時計」であった。

デパートの1階。黒のストライプスーツを着こなす男性店員が2人。目をあわせぬよう、緊張を隠して店内へ。ショーケースの右から3番目にみつけた。

ソーラー充電だと楽だ。それでいて、ベルト部分はステンレスがいい。うっすらピンクの円に、小さい文字盤。きっかり12時を指して止まったままの針が3本。

即決だったように思う。

いつだっ

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1分で読める短編:スター

1分で読める短編:スター

 ウチ、オトンもオカンも動物好きじゃなかったからちっちゃい頃からペットとかあんまりちゃんと飼ったことないねんな。でもな、小学校の二年か三年かぐらいの頃やったかなあ、夏休みのプール開きからの帰り道でセミ見つけて、そのまま持って帰ったことあんねん。

 手づかみで羽のとこ抑えてそのまま持って帰ってきたセミを、庭の物置から引っ張り出してきたちっちゃいカゴみたいなんに入れて、「スター」って名前つけてん。そ

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左手にココアをもつ妹は、右に座らない。

左手にココアをもつ妹は、右に座らない。

2人の漫才師がステージに立つ。

そのとき、客席から見て、センターマイクを中心に右にツッコミ、左にボケとなるようで。

理由は単純だ。

日本人の多くが右利きで、ツッコミが相方の頭を叩くときには、右に相方がいるほうが自然と叩けるから。

だからこそ、右にツッコミ、左にボケなのだ。

ただ、これも決まったものではない。だから、頭を叩かずにツッコミをするスタイルの場合は、逆であることも多々。

そして

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