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伝説のつるぎ 大熊健司
2024年3月15日 00:16
月明りだけを頼りに、私は極寒の波止場を前へ前へと進んでいった。雨こそ降ってはいなかったが、吹き荒ぶ風はあまりにも強く、一歩一歩踏みしめながら歩みを進めた。始めの頃はあまりの寒さに身震いが止まらなかったが、今となっては最早、寒さを通り越して痛みさえ感じるようになっていた。波止場の先端に到着したところで、改めて辺りを見回してみたが、私以外に誰かがいる気配はやはり感じられなかった。ここら辺は夜釣り
2024年2月15日 01:21
プロローグ どうもー、こちら前回に引き続いての過酷な文章でございます。 何をするかと言えば至って単純、「今までの御話を振り返る」です! あのね、もう一回説明するのも面倒だし、まあ大して気の利いたことも思いつかなかったから、一回こっちを読んでみてください。はい、読んでくれましたね。そしたらもう、とっとと本題に入っちゃいましょう。 いっけー!「黒松という男」 2022年2月15日
2024年1月15日 00:26
プロローグ 2024年一発目の御話でございます。書いてるのは二か月くらい前なんですけどね。 何書こうかなって、毎度迷うんですけどね、今回はなんと革命的な箸休め方法を見つけたんですよ。 しかもこの箸休め方法、今回だけじゃなく定期的に使えちゃいます! その方法とは、「今までの御話を振り返る」、です。 そうなんですよ、今までの御話ってある意味投げっぱなしというか、あげたら、はいおしま
2023年12月15日 00:02
「ここ、本当に大丈夫なの?」「大丈夫大丈夫!」 山本に連れられて雑居ビルの一室までやってきた高木は、不安を拭いきれなかった。「でも親切講座って、なんか怪しくない?」「いやいや、俺も前から通ってるところだから。」「うーん、そう言われても。」 少し前に山本からいい講座があるという話を受け、冗談半分で来た高木だったが、いざ講座が始まる時間が近づいてくると恐怖心が強くなってきた。「いいか、こ
2020年10月19日 19:52
友達に文章を送るのが日課で、誕生日の日にはいつも以上のを送ってあげたいな(嫌がらせ)、と思い、その友達を主人公にした小説を書きました。半分ノンフィクション、半分フィクションです。一応このお話の公開にあたって友達には許可を取りました。このお話で言いたいことは、最後の一言に尽きます。一お話として読んでいただいても嬉しいですし、誕生日にこんなのを送られてきた僕の友達の立場になって読んでいただいても
2020年11月6日 23:56
藤田和日郎さんの「双亡亭壊すべし」を試し読みしてから挑んだ大学生活最後のライブ。後輩たちにお願いして、4人で12分くらいのコントをやりました。お客様からの感想は、「お笑いじゃない!」でした。至極真っ当な意見すぎて、そうなんだよ、って普通に言っちゃいました。書いてる時からお笑いじゃないな、と思い、だからいざ本番中に笑いが聞こえなくても一切不安になりませんでした。ということで、この度そんないわく付
2020年12月15日 00:03
「これが毘沙門天の呪いだったのか……」 ため息のようにそんな言葉を漏らした晋作は、最早その場に立ち尽くすことしかできなかった。 廣瀬晋作は北関東では有名な不良グループのメンバーだった。中学生になった頃からそのグループに入り浸るようになった晋作は、中学卒業後の進路として何気なく見た映画に影響を受け、一度はバックパッカーになって日本中を旅しようかとも考えたが、元来小心者な晋作にそこまで思い切った
2021年2月15日 00:22
御話の第1回目で投稿したこちらはお読みいただけたでしょうか?もしまだお読みいただいていないようなら、是非こちらもご一読ください。こちらは友人に、2019年の誕生日プレゼントとして送ったものになります。ということで今月は、その次の年、2020年の誕生日プレゼントとして送ったものを、加筆修正をした上で投稿させていただきます。こちらの作品に関してはほぼほぼフィクションとなっております。「とあ
2021年3月15日 00:05
3月15日 真田千尋編 今日は香苗と一緒に渋谷でお買い物してきたよー!来月から大学生になるんだし、お洋服とかいっぱい用意しておかないと。憧れのキャンバスライフ、あれキャンパスライフだっけ?まあどっちでもいいや(笑)何のサークルに入るか今から迷っちゃう! そしてついに明日は卒業式。3年間、あっという間だったなあ。色んなことあったけど、なんだかんだいって一高に通えてよかった!こんなこ
2021年3月17日 00:16
こんにちは、この手記を手に取ってくれて、そして読んでくれてありがとう。私はこの手記を未来に向けて書いた過去の人間だ。 具体的にどれくらい過去かを書くと私の年齢がばれてしまうのでここでは伏せておこう。いつの時代も人は若く見られたいものさ。 私がこの手記を書くに至ったきっかけは色々とあるが、端的に言えば、今この世界の状況を書き記したいと思ったからだ。 この手記は地下深くに埋めるつもりなのでよっ
2021年4月15日 00:07
かつてこの辺りにはある国が存在した。 しかし決して覆らない階級制度や独裁政治によって支配されていたその国の民たちは、ただただその日を生き抜くことしかできなかった。このままでは民たちは死に絶え、いずれこの国も滅びゆくと感じた駿屋陽伝(するやおきつぐ)は、その状況を打破すべく仲間たちとともに立ち上がりついには革命を成功させたのだった。その革命ののちに建国された駿屋国(するやのくに)では王制が敷
2021年5月15日 00:23
いつもなら近くの公園に集まるのに、今日は違っていた。都会にあるこじゃれた喫茶店、こんな店、自分の意志で入ろうと思ったことなど一度もない。 大体コーヒー一杯八百円て。今の時代いくらラーメンが高くなったとはいえ、割とガッツリ系のラーメンだって、トッピング付きで食べられる値段である。「あの、何度も確認しちゃって申し訳ないけど、今日ってネタ合わせの予定だったよね。」「そうだよ。」「だよね?じゃあ
2021年6月15日 00:07
「もう決まった?」「まだよ。え、もう決まったの?」 急かすように机を小刻みに叩きながら、男は頷く。「早すぎない?」「お前が決めるの遅いだけだよ。」「別にそんなことないと思うけど。ちなみに、何にしたの?」「明太パスタ。」 女は呆れたようにため息をつく。「いっつもそればっかり。メニューなんか大して見てないんだから。」 男は待ちきれなくなったのか呼び出しチャイムを鳴らす。「ちょっと、
2021年9月15日 00:30
街に近づいてくるにつれて、先程まで晴れ渡っていたはずの空が、みるみると曇り出してきた。「ありゃあ雨雲じゃないか。」 テトは空を指さしながらそう言った。「本当だ。さっきまでは一面青空だったのに。」 カクリが振り返ってみると、後ろにはまだ真っ青な空が広がっていた。「心なしか、雨の日の匂いもしてこないか?」 テトはそう言いながら大袈裟に鼻をひくつかせた。「てことは、もう近いのかな。」「