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Nakano Nanae
2024年5月5日 20:54
「これで最後にしよう」と言うのはもう100度目くらいだからもう誰も私を信じてくれないし私だって信じていないみんながほしがる青い鳥しらんぷりする赤い鳥誰かに愛されるために大きくなった苺と小さくなった犬僕の体から春が分かれてただの点になった今度こそこれで最後にしよう
2024年4月2日 22:19
ある日世界の色が変わった紫の空に黄いろい山並みふもとを流れる赤い川桃色の草原には黒い花が揺れているだけど鏡の中の僕だけは昨日と変わらない青白い顔君の濃い灰色の瞳と光を受けて緑がかる髪が今はどんな色をしているのか知るのはまだ少し怖い
2024年2月11日 19:00
映画を観ましたそれは希望をなくした二人のロードムービーいつ死んでもいいと思いながらどこか分からない場所を列車で走る終点に着いたら今度は車を盗んでまた走るもしも一人だったらまだあの町にいてなんとか暮らしていたかもしれないなでもあなたがいたからここまで来てしまった氷みたいに透き通った目をしているそんな映画を観ました
2023年12月27日 23:58
置いておく場所がなくなったので写真をたくさん捨てたこれで思い出せなくなることがまた増えた風の吹かない朝月の出ない夜もしも逃げだせない時はいつでも電話してほしい海の底でも崖の上でもあのファミレスでもどこへだって迎えにいくよ
2023年12月25日 18:57
100人いたら90人は同じようにやるだろう5人は変わり者だと笑われ3人は金持ちになりあとの2人は今も行方知れずあのことを告白するのはもう少し後にするよ雨が埃を流した頃ぬかるみにそっとつける足跡のように君が私を忘れた頃その髪をなでる風のように
2023年12月16日 21:20
君の町の海は宝石みたいに輝く緑色でこの町の海は見慣れた灰色知らない人が人気者になってすぐに忘れられていった少しだけ信じていたあの予言が当たっていた世界のことを考えてみる「小説は読まない。だって全部嘘だから。」そう言いながら 私の話はいつも聞いてくれたね全部嘘かもしれないのに
2023年12月15日 18:33
太陽が昇る時と沈む時、どちらが美しいと思う?君は昇る時で私は沈む時だった君の好きな人は私の嫌いな人で君がとっておきの日に選んだ服は私が苦手な紫のジャケットいつか今日と同じ悲しみに出会う時には思い出すことくらい許してくれよまぶしすぎる朝日としずかな夕暮れの色
2023年12月14日 20:58
本物の星は手に入らないから星空の絵を描いた本物の月は手に入らないから紙を切り抜いて作ったそれでも足りなかったから庭の木に電球を吊るして光らせてみたりした本物の君にはもう会えないから君が好きだった歌を聴いている
2023年11月29日 19:43
遠く光るその美しい星の表面は猛毒のガスで覆われているらしいお湯を沸かす音だけがはっきりと聞こえるそれ以外のことはどうでもいいみたいに記憶を消して一話から読み返したら何か変わるのかな好きな人ばかりが死んで嫌いな奴ばかりが生き残っている気がするだろう誰も見ていなかったとしたらあなたはここで何をしますかどんな願いでも叶うとしたらあなたは何を願うでしょうか
2023年10月4日 18:36
わざわざ日付と場所を調べるんじゃなくてたまたま見た流れ星じゃないと願いは叶わないと思うお金で買える四つ葉のクローバーで満足ならそれもいいけどあのとき思ってもいないことを言ったのは君の前ではそういう人間でいたかったからオレンジの灯りが反射して夕焼けみたいになった書きかけの返事をずっと送らずにいればいつまでも繋がっていられる気がした
2023年9月30日 18:19
こんな時間に行ったってもう誰もいないし何も残っていないよとみんなが言う月と一番星の距離はまた少し離れたこのまま離れ続けたら隣にいたことさえいつか忘れてしまうだろうか仰向けになって無限のひとつ前まで数えるたった一言が見つからないまま空は美しい群青に染まっていく
2022年12月30日 20:49
どうせなら美しいサイコロを振れ出る目すべてが宝石のような最後まで気持ちよく好きでいたかった魚が絶滅した海さえもかろうじて死刑を免れてるような私たちの愛私たちの美説明書も読めないくせに神様の言う通りになんてほんとにできるの海底で生まれた新種の生命は誰とも交わらないまま死んだ絞り器で絞り出される虹を見ていた 君は笑ってそれを食べた「もし原始時代だったら死んでるよ」原始時代じゃな
2023年9月18日 05:41
明るい星たちがまだ眠りたくないと言っている夜でも朝でもない時間「おはよう」と声に出してむりやり朝にした星たちは文句を言いながらきれいな後ろ姿で帰っていった
2023年8月27日 22:04
夢の中で卵を買ったら全部割れていた薄着の女の人が同情してリンゴを一つくれた懐かしくなんかないあれからずっと食欲もないし「気にしなくていいよ」「誰も悪くないよ」本当にそうかな蒲公英の黄色だけじゃ太陽の代わりにはならなくて今年の春は嘘みたいに寒かった君のいる場所はもっと暖かければいいんだけど