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久住ハル
2024年4月23日 22:36
端正な佇まい口を揃えて優しそうあなたを心から信じたのは信じることに間違いはないと思ったから実際それでよかった濡れて甘い時間は消えることなく続き一歩足を出すたびにすでに用意された幸せがそこにある隙間がないほどバスタブにある溢れる喜びのミルク色時よ止まれ極上の幸せを手放す時が来るなんて思わずただ怖かったあなたが私を忘れて去ってしまってどれだ
加澄ひろし|走る詩人
2024年4月10日 00:03
冬が過ぎ乾いた大地が溶けてゆく土は ほどけて泥となり隠されていた 鼓動が風に くすぐられ想いのまま さ迷いはじめる凍えた大地に幽じこめていた たくらみが痩せた素顔をあらわにして軋むとびらを開けはなつ日々は変わらず過ぎていくうごめく影を見ないふりして傷痕を 嘘でぬぐい涙の得体をわすれてしまう草むらに花弁の粒が肩をならべて瞳を 震わせている©2024 Hir
とし総子
2024年1月26日 22:34
書くことは汚れない私の手がどれほど汚れても生きることは汚れることそれはとても大らかにその汚れを受け入れよう雲に月が灯る蝶に花は広がる連なった声は名を結び目として長くなるそれらすべてを書いていたい書いていたいのだ 私のままでどんなに汚れが身を燃やそうと私のペン先は静かに
2024年1月13日 00:00
浜辺を、トンボが飛んでいるガラスの翅を、震わせて右へ、左へ、餌食を追ってトンボの群れが、飛んでいる岸辺に寄せる波の音時に烈しく、時にやさしく飽くことなく、叩きつづけるやるせなく、ひびきわたる咆哮に深い暗い水底で、空に焦がれていた頃の陸を目指して、息を切らしていた頃の潮の匂いが、懐かしいトンボの空を、燕が通りすぎていく羽ばたいて、風を追いかけている飛ぶことは、叶わなか
ikue.m
2023年11月25日 10:06
お題「詩と暮らす」から始まる物語【未練】(1088文字) 詩と暮らすからには小説とは手を切らなくてはいけない。「そこまで頑なにならなくてもいいんじゃない?」 お気楽ポエマーのみどりちゃんはそんなことを言うけれど、これまで小説と関わったこともないみどりちゃんに私の気持ちがわかるはずがない。「二股かけるわけにはいかないわ。私の気持ちがすっきりしないの」「そんなにいい詩なんだ?」 み
2023年6月23日 23:03
思い出したすっかり忘れていたのにあなたはこんな風だったきれいごとの言葉の中に釘やらガラスの破片やら折れたナイフを入れ込んで知らんぷりをする自分の否を指を折って数えてもそこに答えはなくて気まぐれに振り回されて落ち込むのはこっちの方あなたの優しさは自分に帰属してるものすっかりあなたは優しいと思い込んでた思い出せばあなたは元々そんな風あなたの傷を私が必死で癒して
2023年6月11日 23:05
結んだ手と手どうして今になってこんな小さなことが大事だなんて懐かしい夏の香り遠い面影の湿り気のある空気木陰のタオル汗を拭く母さんに渡されるペットボトル母さんのしてくれていたこと出来ないながらに台所での母さんウロウロと落ち着かないのは何かを作りたいから砂の山が崩れていくように普通の生活が崩れていく大事な思い出と消えていく思い出二人で歌う好きだった
2023年6月9日 00:46
海が、嚆々と鳴っているたたみかける波の向こうから絶え間なく、波の砕ける向こうから片時も、休みなく強くおどろに、とどろきわたる眺めわたす水平線は遠い浜辺の並木のように波の起伏を繰り返す平らにひろがる海原は光と影をみなぎらせ鷹揚に、浮き沈みを繰り返す巨大な魔物が、棲むという足を掴み、海の底まで引きずりこむ姿を見せぬ、黒い魔物陸に向かって、吠えているやるせなく、怒りにま
上水春信
2023年5月11日 19:41
雨は都合よく止ませたりなんて出来ないものだあの日は雨の強い日だった僕は止むのを待たずに駆け出した君は止むまで待って歩き出した彼は行くこと自体を諦めた彼女は傘を探しに行ったらしいが同じ行き先を思い描いていたはずだった我々がその後落ち合うことはもう無かったその時は皆それぞれそうするしかなかったのだ僕も君も彼も彼女もあの時は他に選択肢
imaru_cigar12
2023年5月7日 23:17
あぐは鮮やかな緑だった 俺や他の子は赤や青そんなあぐになりたかったあぐは風のように速かったブンブル手足を回して回してあぐは俺のずっと先にいたあぐは海を知っていた勇気 友情 ユーモアをそんなあぐが優しかったあぐはなんでも聞いてくれたニコニコ笑って 時には叱ってそんなあぐが大好きだったあぐが気づかせてくれたことが今でもキラキラしているずっとずっと先のあぐが優しく聞
2023年4月7日 23:06
どうにかがんばって突っ走ってきた得たいものは得られるがむしゃらの先にあるそれ相応の報酬それ相応の暮らし脈絡のない意識の高さでなんとか這い上がった戻ることを許さないそこまできたそれでもカップに入った虹色の液体は一向に一杯にならない入れても入れてもこぼれることもなくただ溜まらない幸福は報酬に比例するはずだった欲しいものは一通りあるそれなのに幸福だけが
2023年3月29日 23:43
彼女はとある学校の理科室で水素と酸素の混合気を燃やす実験で微量の水として生まれたそのまま水蒸気として空へやがて自分と同じような奴が集まってきて綿みたいな雲になった集まりすぎて重くなったと思ったら今度はいつの間にか雨の雫になっていた地面に落ちた彼女は土の中に染みこんでいったそして木の根っこに吸い込まれ気がつくとその木の果実の水分になっていたその果実を
2023年3月28日 23:09
痛いのは誰かの手首の傷日ごと出るあの日の憂い話舐めあう傷の生暖かさではない漆黒の闇からの手の多さ逃げるために後ずさりする笑いながら地上から去れと手首をつかむように毎日頭の中で聞きたくない言葉が響き渡る否定的な言葉に剣を持って泣きながら戦う誰にも言わず毎日毎日ここにいるここにいると繰り返す隣で微笑んでいる人に漆黒の話をするのは辛すぎるどうぞど
ms11
2023年3月27日 00:30
ここは海の見える家これは来世の物語ちいさな庭に咲く花に水をやり枯れないようにまいにち世話をするきみの後ろ姿を眺めるのがぼくの生きる意味でここにいる理由日曜日の朝自転車に乗って海まで行こうそれから砂浜でふたり並んで遅めの朝食をとろうぼくはこの人生では何も欲しくないきみがさっきくれた四つ葉のクローバーがぼくのいちばん大切なものそんなふうに日々