【詩】春よ
冬が過ぎ
乾いた大地が溶けてゆく
土は ほどけて泥となり
隠されていた 鼓動が
風に くすぐられ
想いのまま さ迷いはじめる
凍えた大地に
幽じこめていた たくらみが
痩せた素顔をあらわにして
軋むとびらを開けはなつ
日々は変わらず過ぎていく
うごめく影を見ないふりして
傷痕を 嘘でぬぐい
涙の得体をわすれてしまう
草むらに
花弁の粒が肩をならべて
瞳を 震わせている
©2024 Hiroshi Kasumi
お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。