記事一覧
【掌編】『世界よ変われ!』
ピュアなハートこそが、
暴力が支配する世界を終わらせる。
これは、世界が変わり始める瞬間の物語。
......
......
20XX年..
アメリカ、国防総省。
「ボタンを押してしまったら、もう後戻りはできませんよ、大統領」
側近の男が中止を懇願する様に語り掛ける。
だが..
大統領はそれを突っぱねた。
「そんな事は、重々解っとるわ!とっとと開けろ!」
その言葉を聞いた側近の男の額から汗
【掌編】『素敵じゃないか!』
土曜日、早朝。
朝4時まで営業してる居酒屋から、追い立てられる様に外に出た。
「風邪ひかないでね。ありがとねぇ」
還暦を過ぎた白髪の男性店長は、疲れた様子で僕と彼女にそう言い、アルバイト2人と店の掃除を始めた。
4月の朝はまだ寒い。
小柄な彼女は赤い顔で、大きなアクビをしてから僕に言った。
「..メチャ寒いね。始発までどうする?」
最寄り駅の始発は5時05分。
あと1時間とちょっとだ。
「ど
【掌編】『2つの、届かぬ想い』
『1.ナオと僕の距離』
ボクシングで曖昧な距離感は危険らしい。
トコトンくっつくか、トコトン離れる。
それが闘いのセオリーなんだ。
「私の話をしてるんじゃないよ。アナタの話をしてるんだよ」
ナオはそう言って僕の目を見つめる。
彼女はある周期で僕を呼び出す。
そして不甲斐ない僕を問い詰める。
「そんな事言ったってしょうがないじゃないか」
僕の口から情けない言葉がこぼれる。
えなりかずき、の
【掌編】『2つの、ちょっといい話』
会社で、肩を叩かれた..
要はリストラ要員だ。
勤続28年、全力で尽くしてきたつもりだったが..
もちろん不況の影響もあるはずだ。
誰かが犠牲にならねばいけないのだろう。
仕方ない部分も確かにある。
だが、俺には家族がいる。
ひとり娘は、まだ高校2年だ。
この歳での再就職となると..
俺と話した上司は真摯な態度でこう告げた。
「御家族と話をしてくれないか?」
あやふやに頷くしかなかった。
会社
【掌編】『シカエシ』
2月の中旬。
外は肌を刺すような冷たい風が吹いている。
『カナラズ、シカエシ、スルカラ..』
カブリエルは強い視線で、私にそう言った..
困惑した私は...
.....
.....
.....
半年前、私は夢を現実に変える為、5年勤めていた会社を辞めた。
プロの作家として物語を世に送りだす。
それが私の夢だった。
しかし、残業続きで疲れきり、体が常に休みを求めている状態では、それは叶わ
【掌編】『小噺みっつ』
【春の小噺】
春先はいつも、くしゃみが出る。
だけど花粉症ではないはずだ。
嫌がる人もいるからマスクは欠かさない。
でも、静かな場所でくしゃみが出そうになると、とても困る。
それが今だ。
平日の午前、客のまばらな純喫茶。
クラシックが薄く流れる店内で、僕は珈琲カップ片手に、くしゅ、くしゅ、と何とか音を抑える。
何度かそれを繰り返していると、僕と空席3つ分離れたカウンターの隅に座る若い女性が
【掌編】『私はSF小説家』
「え?パラレルワールド?...ふふふっ」
私の口から無意識に笑い声が漏れた。
だが、吉村君の顔は真剣そのものだった..
....
私はSF小説家。
大学卒業後すぐにデビュー作を発表した。
そして、その小説はベストセラーになった。
続く2作目は映画化されるほどの大ヒット。
私は若くして幼い頃からの夢を実現させた。
憧れだった、売れっ子SF作家。
でも夢を掴んだはずの私の心は満たされなかった。売れ
【#2000字のホラー】『微睡/まどろみ』
都内の高校に美術教師として勤務している私は、この日の放課後、廊下で後ろから声を掛けられた。
「先生、話があるんですけど」
振り向くと三年の吉崎美咲が、ひとり所在なさげに立っている。
取巻きに囲まれて堂々としている、いつもの彼女とは別人に見える。
「え..どうかしたの?」
私がそう返すと、彼女は少し周りを見てから小声で答えた。
「あの..二人きりでお話できませんか?」
「え?」
私は逡巡した。
吉崎
【空白小説】『コンテストにチャレンジだぜ!その2(アマギフも貰えるらしいよ...前も言ったけど)』
どうも、お疲れ様です。ミックジャギーでございます!
GW真っ只中。皆さんいかがお過ごしですか?
ワタクシは相変わらず賞金が振り込まれないので(上の前回投稿を読んでケロ)コツコツと空白小説を作ってましたよ。【吾輩は猫である】から始まり、【名前はまだない】で終わる掌編小説です。その中身を埋めるんですな。
でも、先立つものが無いとどうにもならないですな。この金の無さをバネにして新たな賞金をゲットしたいな