【掌編】『コンプラ刑事』
『『そこの君!止まりなさい!』』
パトカーの前を走るバイクの若者へ放った俺の言葉に、助手席の近藤刑事が反応した。
「おい、鈴木。今のはマズイんじゃないか?」
「え?どこがです?」
近藤刑事は呆れた様に首を振る。
「【止まりなさい!】がだよ」
「いや、他の言い方あります?」
近藤刑事は露骨にタメ息を吐く。
「【俺は止まって欲しいと思ってる】くらいの方が人権に配慮してていいんじゃないか?ヘタに強く出れば、反発されるぞ」
ここでもコンプライアンスか..
だが、暴走行為で他のドライバ