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どんでん返し

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どんでん返し満載でございます!
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【ショートショート】『イートイン!朝!』

【ショートショート】『イートイン!朝!』

木を隠すなら、森に。
身を隠すなら、人混みに。

裏社会で、いわゆるヒットマンとして生きる俺は、昨晩、社会に蔓延る外道を一匹始末した。
奴の組織の連中は今、血眼になって俺を探しているはずだ。
俺の雇い主は「私の別荘に身を隠せ」としきりに言ってきたが、俺はそんな素人考えを一蹴した。
「木を隠すなら、森に。身を隠すなら、人混みに」
俺のその言葉を聞いた雇い主は、
「...気を付けろよ」

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【ショートショート】『人生/協奏/狂騒/競争曲』

【ショートショート】『人生/協奏/狂騒/競争曲』

【TVの人気者、あの佐古田教授が、まさかの痴漢容疑で逮捕!】

その衝撃的なニュースは、風に飛ばされてきたスポーツ新聞という形で、文字通り、俺の目に飛び込んできた!

そんなバカな..

まさか..サコタに限って..
俺は自分の目を疑って、その飛ばされてきたスポーツ新聞を拾い上げ、食い入る様に見つめた。
本当なのか?佐古田..
【本人は容疑を否認している】のか..

今年で46歳になる佐古田と俺

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【ショートショート】『30年目のリベンジ』

【ショートショート】『30年目のリベンジ』

【30年後あったらいいな/コンテスト投稿作品】

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「必ず、30年前のリベンジを果たしてやるわ」

今日から数えてちょうど30年前、私は都内にある一流ホテルで、自身の研究に関する会見の為、200人を越える記者達を前にしていた。
その会見で私が発した言葉は、その年の『流行語大賞』にノミネートされた程

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【ショートショート】『ヤンチャな人』

【ショートショート】『ヤンチャな人』

「あんまり、でけえ声じゃ言えねえんだけどよう..今、売人やってんだよ..」
そう言って、村田さんはニヤリと笑った..
【売人】..僕の心に、暗い影の様な物が差し込んでくるのが判った。

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村田さんは、僕が今働いている工場の元同僚だった。

大学を卒業しても、希望の会社に就職できなかった僕は、とりあえず実家の近所にある化粧瓶の印刷工場で働く事

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【掌編】『未来を選ぶ』

【掌編】『未来を選ぶ』

【一駅ぶんのおどろき】コンテスト投稿作品

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私は特殊能力者。

これまでの人生、私はこの能力を有効に使った事がなかった。というより、この能力の意味が解らなかった。

そんな私は、この能力を授かった意味をどうしても知りたくなり、相談できそうな能力者がいないか、ネットで探してみる事にし

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【掌編】『私はSF小説家』

【掌編】『私はSF小説家』

「え?パラレルワールド?...ふふふっ」
私の口から無意識に笑い声が漏れた。
だが、吉村君の顔は真剣そのものだった..
....

私はSF小説家。
大学卒業後すぐにデビュー作を発表した。
そして、その小説はベストセラーになった。
続く2作目は映画化されるほどの大ヒット。
私は若くして幼い頃からの夢を実現させた。
憧れだった、売れっ子SF作家。

でも夢を掴んだはずの私の心は満たされなかった。売れ

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【ショートショート】『白い部屋』

【ショートショート】『白い部屋』

ここはテーブルと、椅子が2つ置かれているだけの白い部屋..
俺の目の前に座っている青年は、かなり緊張している様に見える。
演技かもしれないが..

俺は青年に問いかけた。
「お名前を教えてください」
青年は、やや伏し目がちに答えた。
「安田智輝です」
俺は続ける。
「年齢は?」
「21歳です」
「職業は?」
「いや、今、大学生です」
安田は、俺の目を直視せずに、チラチラと視線

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【ショートショート】『こんな学校あったらヤダな..』

【ショートショート】『こんな学校あったらヤダな..』

「こんな学校あったらいいな」コンテスト投稿作品

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西暦2220年...

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ここは、とある小学校の5年3組の教室。

静まりかえった教室に先生の声がひびいている。

「いいか!これからの社会を支えるのはキミたちだ!」

生徒たちはみんな、真剣な顔で先生の話を聞いている。

先生は目の前の机をバンバン

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【掌編サスペンス】『現代的日常 /どこにあるの?』

【掌編サスペンス】『現代的日常 /どこにあるの?』

【一駅ぶんのおどろき】コンテスト投稿作品

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『人を好きになるのに、順番なんてあるんですか!』

あの時、鷲山はギラギラした目で俺に向かってそう言った..
アイツの異常さは薄々感じてはいたが、まさかこんな事が起こるとは..

金曜の深夜1時過ぎ。
同僚の吉田と飲んでいて、

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【掌編】『シカエシ』

【掌編】『シカエシ』

2月の中旬。
外は肌を刺すような冷たい風が吹いている。

『カナラズ、シカエシ、スルカラ..』

カブリエルは強い視線で、私にそう言った..
困惑した私は...

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半年前、私は夢を現実に変える為、5年勤めていた会社を辞めた。

プロの作家として物語を世に送りだす。

それが私の夢だった。
しかし、残業続きで疲れきり、体が常に休みを求めている状態では、それは叶わ

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【掌編】『卒業検定』

【掌編】『卒業検定』

「ねえ、知ってる?」

教習所の無機質な待合室で、隣に座った見知らぬ大きな目の女性に声を掛けられた。
卒業検定の事で頭が一杯だった私は、一瞬遅れて返事をした。

「.....え?...何をですか?」

大きな目の女性は声を潜めて、周りを気にしながら答えた。

「あのね、かなり前の話なんだけど、この教習所で卒業検定の実技試験の時に、運転ミスして大事故起こした生徒がいるらしいのよ」

「え..」

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