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日記・雑記・思いつき

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量子的クオリア仮説:量子認知から量子知覚へ

量子的クオリア仮説:量子認知から量子知覚へ

以下は、結構専門的です。

我々が書いた仮説論文 "量子的クオリア仮説:量子認知から量子知覚へ” が、Frontiers in Psychologyにアクセプトされた! https://osf.io/preprints/psyarxiv/9m5yp

by 土谷、ブルーザ、山田、西郷、ポトス著。

この論文を書くプロセスでは、本当にたくさんのことを学んだ。最終的にアクセプトされ、嬉しいし、ホッと

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客観的科学の側をどうレベルアップすると、主観が扱えるようになるのか?

客観的科学の側をどうレベルアップすると、主観が扱えるようになるのか?

Moonshot 9 というプロジェクトは「こころゆたかな社会の実現」というのを目指している。で、私は山田真希子さんのプロジェクトの一員として、多少プロジェクトに関わっている。そこで運営しているSlackで出た話がちょっとおもしろい。

Moonshot9のタイトルとウェブサイトは以下の通り。Moonshot Goal9: Realization of a mentally healthy and

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なんで私は 統合情報理論や、圏論や、量子認知に惹かれるものがあるのか? 

なんで私は 統合情報理論や、圏論や、量子認知に惹かれるものがあるのか? 

我々は他人の行動の原因を、その人に特有のことだと決めつけがち。つまり、性格・能力・性質をもとに、人の行動を説明して、勝手に理解したつもりになってしまう。言い換えると、行動の文脈を無視しがち。これは、心理学で Correspondence biasと呼ばれる。

Correspondence bias は、進化の結果身についた我々の「クセ」だ。他人の行動の文脈を無視して、その行動その人に典型的なもの

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意識の授業についてのアンケートの結果 日本語と英語のツイートで。(For English version, see at the end of this essay)

意識の授業についてのアンケートの結果 日本語と英語のツイートで。(For English version, see at the end of this essay)

2022 Oct 7 に、北大CHAINの吉田さんと、大学生・大学院生向けに行っている意識の授業についてZoom/Youtube上で話しました。

そこで出てきたマーケティング的なアイデアで、実際、授業を受ける側の人がどんなトピックを求めているかについて、アンケートをYoutubeの視聴者に聞きました。サンプル数が少なかったので、先週一週間かけて、Twitter上で日本語・英語で同じ質問をしました

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久々のNote! 今度心理学ワールド99号に載る予定の原稿。タイトル「意識・クオリアを科学するには?」

久々のNote! 今度心理学ワールド99号に載る予定の原稿。タイトル「意識・クオリアを科学するには?」

ノートに書くの久しぶり! グラント書きに追われ(3月、5月、7月と、でかいのが続いている。。。)、なかなか時間が取れず。

表紙はサーターアンダギー。今日の昼から沖縄へ行きます!2年ぶりの日本一時帰国。2019年の11月に北海道(CHAIN opening)と奈良(Quantum Cognition)に行ったのが最後かな。

以下は、2022年10月発行予定の心理学ワールドの「こころの測り方」とい

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新しすぎるアイデアを発表するタイミングはいつが良いのか? その1(寸止め)

新しすぎるアイデアを発表するタイミングはいつが良いのか? その1(寸止め)

Originals by Adam Grant は、色んな角度で研究に参考になることが書いてある。

今日、Part 4の「イノベーターかフォロワーか ー ビジネスの優位性」 のセクションで自分がとったノートを見直していて、色々思うことがあったのでまとめてみる。

自分自身がこれから応募する研究グラントについての考えをまとめるというのが第一義。これから研究のグラントをたくさん書こうと思っている若手

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意識研究、量子論、仏教の接点が見えてきた。気がする(その3ーこの世界の根本は関係性)

意識研究、量子論、仏教の接点が見えてきた。気がする(その3ーこの世界の根本は関係性)

その2で私が書いたのは、
1)脳内のニューロン同士の相互関係という関係性、
2)我々の身体の外にある世界のモノ同士の関係性、
3)1)の関係性と2)の関係性をつなぐ関係性、
この3つは、世界の構成要素として根源的に違うのか、という疑問だ。

私は、この3つが根源的に違う、ということを指し示すような実験・観測事実は無いと思っている。それは、マッハが「感覚的要素一元論」を提唱した時以降も変わっていない

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意識研究、量子論、仏教の接点が見えてきた。気がする(その2ー実在)

意識研究、量子論、仏教の接点が見えてきた。気がする(その2ー実在)

一番「世界は『関係』でできている」で私に納得が言ったのが、世界の根本をどんどんと突き詰めていくと何か「モノ」が出てくる、わけではないという話。

これはおそらく、普通の考えと異なるだろう。

大栗博司さんの「重力とは何か」にも次のように書いてある

「結論から申し上げましょう。それがクォークかどうかは別にして、この玉ねぎには必ず「芯」があります。… 「プランクの長さ」が、宇宙という玉ねぎの「芯」で

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意識研究、量子論、仏教の接点が見えてきた。気がする(その1ー寸止め)

意識研究、量子論、仏教の接点が見えてきた。気がする(その1ー寸止め)

意識研究をやっていると、その研究費獲得のために書く書類の中で、

「この研究は科学と宗教の対話に貢献する」

とかそういうことを書きたい時がある(ちゃんと覚えていないが書いたことも多分ある)。これまでははっきりと「どのように」貢献する、ということは書いていなかった。おそらく、審査員に突っ込まれたらはっきりと返す言葉をもたなかった。自分の中でその関係性は確実にあったが、それを言葉にできるほど、明確な

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独立ラボを持った時、共同研究者との中型・大型グラントを提案したり、運営するときに、読んでおけばよかったなぁと思う、最近読んで超参考になった本たち。 ー その1

独立ラボを持った時、共同研究者との中型・大型グラントを提案したり、運営するときに、読んでおけばよかったなぁと思う、最近読んで超参考になった本たち。 ー その1

最近色んな事情があって、以下の本を読んでいる。
オリジナルズ
ビジョナリー・カンパニー2
良い戦略、悪い戦略
学習する組織

これらの冊を熟読していて、自分の身にしていたら、Monashで自分の独立ラボを運営しはじめた2012年以降の10年間、相当人生が変わっていただろうな、と思う。

とったノートの量は半端ないし、それぞれの本にはこういう要約サイトがあるので、ここでは、なぜ、私が自分の独立ラボ運

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読者や学生からのフィードバックとやる気

読者や学生からのフィードバックとやる気

先週(1月7日)に東大の國吉さんに頼まれて、「脳型情報処理機械論」という大学院生向けに出張講義を行った。学生の背景知識は心理学から工学まで超幅広とのことだったので、背景知識なしで理解できるような内容を話した。(意識研究のこれまで、最近我々が行っているクオリア構造研究とそのコアアイデアの圏論の米田の補題の紹介、最後に最近私が考えている圏論の随伴を意識研究に紹介する、という話)。最後のトピックは、最近

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祝Youtube channel 登録者900人達成!

祝Youtube channel 登録者900人達成!

去年の12月にMonash大学で行っている意識の授業のズーム録画をアップロードしてから徐々に伸び始めた我々のYoutubeチャンネル Neural basis of Consciousness チャンネル登録者数。遂に今日の時点で900人突破しました!(これをTwitterでアナウンスしたらいきなり+7人増えた)。

日本語・英語両方でやっています。

たとえば、このチャンネルリストは「意識対談」

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経歴と自己紹介

経歴と自己紹介

こんにちは。土谷(つちや)尚嗣(なおつぐ)です。

経歴京都大学理学部を2000年に卒業し、色々あって、カリフォルニア工科大学PhDを2005年に取得。その後ポスドクをやった後、一時日本に帰ったが、2012以降オーストラリアのMonash大学で准教授。2020に教授に昇進しました。English でのCVはこちら

現在の研究と主著主観的な意識、色・味・音・痛みなど、私たちが感じることが、なぜ脳か

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「なんのために生まれて、なにをして生きるのか? 」 生きるから生物。何かをするから人間。と構造主義的に考えたらどうか?

「なんのために生まれて、なにをして生きるのか? 」 生きるから生物。何かをするから人間。と構造主義的に考えたらどうか?

「アンパンマンと構造主義」というタイトルでブログを書きました。

書きながら、ずーっとアンパンマンのテーマソングが頭を回る。

そのうち「愛と勇気だけが友達」のところについてもいつも思っていることを書こうと思う。

私の武器はおそらく「勇気」だと思う。よく言えば、楽観主義、自尊心が高い。悪く言えば隠れナルシスト、自信過剰。これについてもそのうち自己開示的に書こうと思う。