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真夜中の深呼吸。

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私のままで生きるために、深呼吸をするように綴った文章たち。
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#まいにち日記部

あなたと一緒に、仕事がしたい。"働く理由" はそれしかなかった。

「みなさんに、退職のご報告があります。」

部長の口からその言葉が飛び出したとき、辞めるのは彼ではないと知っていたはずなのに、大きく心臓が波打った。

実際は、部下の退職報告を代わりにしたというだけの話だ。けれどわたしはそのとき、不意をつかれて思わず息を呑んだ。

そして、考えた。

もし、彼が今、本当に会社を辞めてしまったら。
わたしは一体、どうするのだろう?

しばらくの間、放心状態になってし

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君がいない夜とごはん

君がいない夜とごはん

料理がおいしければ、それは最高の食事だと
思っていた。

もしかするとそれは違うかもしれない、と
気づいたのは、つい最近のことだ。

なかなか手の届かなかった、高級フレンチ。

会員制の、中華料理店。

予約困難な焼肉屋。

数年前まであれほど夢みていた「憧れのお店」に
足を運んでも、その瞬間は幸せな気持ちでいっぱい
になるのに、帰り道、いつもなぜか虚しくなった。

「この鴨肉は臭みがなくて、焼き

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関西弁に、恋してる。

関西弁に、恋してる。

関西弁が好きだ。

いつから好きなのかなんて思い出せないくらい、
物心ついたときにはもう、すっかりその言葉の響きに
魅了されていた。

気づいたときにはすでに、関西弁に恋していた。

わたしは生まれも育ちもほとんど関東で、方言と
いえば、おばあちゃんとお母さんの使う茨城弁か、
岡崎家のルーツである山形弁くらいしか、人生で耳に
してこなかった。

関西の人にはじめて出会ったのはたぶん、ブラジルに

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「書き続ける」は「生き続ける」の意思表示

「書き続ける」は「生き続ける」の意思表示

毎日noteをはじめて、1ヶ月が経った。

正確には、1日だけ公開したつもりになっていて実はしていなかった、という日があって、25日目くらいで一度記録が途絶えてしまったのだけど、それに目を瞑ったら(noteはきちんと翌日からリセットされたけど…)、1ヶ月以上は続けられていることになる。

この1ヶ月を振り返ってみて、結論としては毎日noteをはじめてみてよかったと思っている。

はじめたことによる

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わたしはずっと、秋の便りを待っていたい

わたしはずっと、秋の便りを待っていたい

「いつからが秋か、その季節のはじまりは自分で決めよう」みたいなことが書かれている文章を読んだ。

決してそれに反対するわけじゃないけれど、季節の変わり目は、自分で決めるんじゃなくて季節からの知らせを待って、それをちゃんと受け取って判断したい、と思った。

その文章では、暦にとらわれず、「何月になったら秋だ」と思うのではなく、「自分でこれをしたら秋のはじまり」というトリガーというか習慣みたいなものを

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蛍光ピンクの小さな優しさ

蛍光ピンクの小さな優しさ

手づくりの、おむすびをもらった。
それも、ふたつも。

そのおむすびたちはなぜか蛍光ピンクの派手な色を
していて、小さな海苔が中途半端に巻かれている。

ラップで包まれたピンク色のおむすびは、どちらも
歪な形をしていて、完成品の一歩手前、本当はまだ
できあがっていないけど、あなたがこのタイミングで
きちゃったからもうあげるね、というような状態で、
いかにもおむすびの途中経過という感じだった。

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リモートワークとうまく付き合う

リモートワークとうまく付き合う

最近、わたしの部署でもとうとうリモートワークが
導入された。

導入されたといっても、週に2回だけなのだけど。

実際に週2回のリモートワークが習慣になってから、
わたしの生活はけっこう変わった。

環境に流されやすいタイプなので、いいことも、悪い
ことももろに影響を受けている日々だ。

これはあくまでも自分の中での整理として、わたしに
とってのリモートワークの良さと悪さを、まとめて
おこうと思う

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毎日note、ひとやすみ宣言。

毎日note、ひとやすみ宣言。

つい先日「毎日noteをはじめてよかったこと」という
記事を書いたばかりで言いづらいのだけど、毎日noteを、しばらくお休みしようと思う。

理由としては、まず、当初の目的が達成されたから。

とはいえ、noteの更新自体をやめる、ということはない。毎日noteを40日間続けて、生活の中に文章を書くという習慣がほどよく組み込まれたから、はじめる前よりは更新の頻度も上がると思う。

ただ、これからは

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捨てて、のびのび生きていく

捨てて、のびのび生きていく

最近、わたしは捨てることを覚えた。

物理的に物を捨てる「断捨離」もそうなのだけど、ここで言う「捨てるもの」とは、どちらかというと物ではなく「やること」という意味合いが強い。

今までわたしは、多趣味で飽き性で、気になったものには瞬時に飛びかかるけれど、すぐ他のことに目移りして、いろいろなことが常に同時進行している、という生き方をしてきた。

特に大学生の頃はそれが顕著で、「特技はマルチタスク」「

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足りないものは、感性じゃなくてたぶん愛

「自分が撮りたいと思うものを探すんだよ、じゃない
と見つからないから」

「自分の感性で、いいなと思うものを撮ればいいんだ
よ」

どうしたらいい写真が撮れるのか、というわたしの
問いかけに対して、彼はそう言った。

感性。

わたしが一番大切にしているもののはずなのに、他の人
からこの言葉を聞くと、なんとなく違和感を覚えて
しまうのはなぜだろう。

自分の感性を、表現する。

表現するのは好きだ

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思い出すために、旅に出る

思い出すために、旅に出る

時々、全てをリセットしてゼロから
新しい人生をはじめたくなるときがある。

そういうとき、わたしには2通りの選択肢がある。

ひとつ目は、自分のことを全く知らない人が集まる、
新しい場所に足を運んでみること。

ふたつ目は、誰とも会わずにひとりで喫茶店に
こもること。

新しい人との出会いも、ひとりで過ごすことも、
どちらも「枠にはめ込まれた自分」を解放して
くれる、有効な手段だ。

旅は、その完

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気づかれなくてもここにいて、何不自由なく生きている

気づかれなくてもここにいて、何不自由なく生きている

「岡崎、会社やめてたの?」

これは今日、前に働いていた会社の同期からきたLINEのメッセージだ。

珍しい人から連絡がきている、と思ってトーク画面を開いたら、内容がこれだった。

最初は冗談かと思った。

疲れて見間違えたかなと思い、何度か目を瞬いてみたけれど、何度読んでもメッセージの内容が変わることはなかった。

いやいや、ちょっと待った。
わたしが前の会社を辞めたのはもう3月上旬のことだし、

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私はたぶん、まだ愛を知らない

「今まで、本気で人を好きになったことないん
じゃない?」

これは、会社の研修で行ったワークの後、同期の
男の子に言われた一言だった。

言われた瞬間、頭に衝撃が走った。

ワークのテーマは「ジョハリの窓の開放の部分を
広げる」。

「今までの人生で、家族にも友達にも言っていない
秘密を3つ共有する」というお題が出た。

わたしは悩みに悩んだ結果、恋愛にまつわる秘密を
話した。

そのワークの最後

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切なさは捨てずに、怒りは味方に

切なさは捨てずに、怒りは味方に

もしかしたら、わたしには「怒り」という感情が必要
なのかもしれない。

と、最近思うようになった。

わたしは「怒り」という感情との付き合い方がいまいち
よくわからなくて、今までの人生でも、あまり関わらないようにしてきた。

「怒り」は暴力的で、人を傷つけて、コントロールが
できない、恐ろしい感情だと思ってきた。

たまに、「怒り」が自分の中で芽を出した瞬間に気づく
と、慌ててそれを鎮めようと、何

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