七木香枝

ライター、デザイナー。本を読んで文章を書き、豆本を作ったりデザインしたりしています。 …

七木香枝

ライター、デザイナー。本を読んで文章を書き、豆本を作ったりデザインしたりしています。 11/19に共著『大人だって読みたい!少女小説ガイド』(時事通信出版局)発売

マガジン

  • かみおとななきのゆるふわラジオ

    • 10本

    神尾あるみと七木香枝が、1~1.5週に一度行っている、ゆるゆると本や映画の話をするラジオのアーカイブです。

  • 週間日記

    ゆるい日記です。週に一回くらいの目安で更新します。

  • この本とあの本の間

    本棚にある、好きなあの子とこの子の隙間に挿すような、本にまつわるエッセイ。

  • 本棚の外側で

    本以外のすきなもの、買ってよかったもの、あるいはお酒などなどについて。

  • お仕事

記事一覧

固定された記事

【11/19発売】『大人だって読みたい!少女小説ガイド』のお知らせ

「少女小説」と聞いて、思い浮かべるのはどんな本ですか? ちょっと背伸びをして読みはじめて、いつしか一緒に大人になった本。こっそり夜更かししながら読んだ本や、友達…

22

#9 かみおとななきのゆるふわラジオ

こんにちは。七木です。 こちらのラジオは神尾あるみと七木香枝のふたりが、ゆる~く好きな本や映画についておしゃべりするラジオです。 9回目となる今回は、神尾さんの…

出張とインク沼、ささやかなお祝い

ちょっと前、また出張で県外へ向かった。 会社勤めでなくなってから、どのような格好をして仕事に向かうのかと考えることが増えた。どうして服について悩むかというと、仕…

9

会社を辞める、そして本を贈る。

はじめて勤めた会社を退職したとき、何度か送別会をしてもらった。 ずっと行ってみたいなと思っていたちょっといいお店でのことだったり、いそがしい間を縫って個別にお食…

33

インク交換会用にオリジナルラベルを作ったよという話【テンプレート付き】

インク沼の浅瀬に立つようになって、そこそこ経ちました。 インク沼とは、万年筆やガラスペンにはまった人が陥る沼の一つで、その名の通り数多あるインクに魅了されて買い…

17

うつろう季節とすみれ色の万年筆、告知

陽が高いうちに外出したら、暑さが和らいでいた。まだ日中は夏の名残を感じもする地元だけれど、陽射しの柔らかさと影の静けさに驚く。もう秋なんだなと肌で感じると、少し…

8

『大人だって読みたい!少女小説ガイド』七木担当作品リスト

11/19発売の嵯峨景子・三村美衣・七木香枝編『大人だって読みたい!少女小説ガイド』(時事通信出版局)の告知です。 今回は、3人の編者が作った全179作品のリストのうち…

24

無花果のホットサンド、薄くて軽やかなもの

無花果が並びだすと、夏の終わりを予感する。 もうそんな季節かと思いながらしばらくして、今年初の無花果を買った。 シンプルにそのまま食べるつもりで買ったのだけど、…

7

2020.8.25-30 付箋とプレイフルな色、なくしものとホテルステイ

ここのところ、人生で一番というくらい付箋を消費している。 付箋は、使う前に糊がついていないほうを指の腹でぐっと押すようにして立ち上げて準備をする。ほんの少し浮き…

8

2020.8.17-22 文章のひきだしと飽和する本棚、気晴らしとカッサータ

世間ではいつまでのことを指すのかはっきりとわからないうちに、お盆期間が終わった。これはおそらく明けたんだろうな、と分かったのは、ホテルのライティング仕事が無事に…

2

2020.8.10-16 オーバーナイトオーツとすずらんボウル、初秋の告知

本当はリゾートホテル(ではたぶんない)での出張についてなど、週間日記の下書きもしていたのだけど、ぽっかりと間が空いてしまった。ぜんぶ夏がわるい。 出張は、iPad m…

6

2020.7.13-7.18 あたらしい私の色とクランブルケーキ、「よるのこえ」

暑さがいや増してきた先週は、すっかりリモートのつもりでいた仕事が生身でのことになったので、慌てて準備をしていた。 思いのほか大変だったのは、会社勤めではない「私…

8

2020.7.6-11 雨音のまどろみ、通りすがりの珈琲、チョコレート色に染めた髪

雨の降る夜に小窓を開けていると、家の外壁を伝い落ちる雨粒が大きくなったな、と感じられるときがある。そのすべるような跳ねるような音が好きで、雨の日は小窓を開けてい…

7

#7 かみおとななきのゆるふわラジオ

こんにちは。七木です。 神尾あるみと七木香枝のふたりが、ゆる~く好きな本や映画についておしゃべりするラジオも7回目となりました。 ゆるふわなラジオですので、今回は…

3

2020.6.29-7.3 気づけば育つ本の山、再読の夏

ベッドの積ん読本の山がすこやかに育っている。厳密には、近々読みたい再読本も積ん読にさし込まれている。 いまの家に越してからは、寝る前に読む本を置くくらいで積んで…

10

名字が変わるまで知らないでいた、透明なかなしみについてのこと

数年前、家族の希望で名字が変わった。 いろんな都合があってのことだったけれど、もともとは、結婚で改姓した母の「自分の名前に戻りたい」という気持ちに端を発したこと…

33
【11/19発売】『大人だって読みたい!少女小説ガイド』のお知らせ

【11/19発売】『大人だって読みたい!少女小説ガイド』のお知らせ

「少女小説」と聞いて、思い浮かべるのはどんな本ですか?

ちょっと背伸びをして読みはじめて、いつしか一緒に大人になった本。こっそり夜更かししながら読んだ本や、友達と貸し借りした本。今でも本棚にあって、時々読み返してはそっと抱きしめたくなるような本……。

そんな「懐かしいあの頃の本」から「いま刊行されている本」までの少女小説179作品をレビューしたガイドブック 嵯峨景子・三村美衣・七木香枝編『大人

もっとみる
#9 かみおとななきのゆるふわラジオ

#9 かみおとななきのゆるふわラジオ

こんにちは。七木です。

こちらのラジオは神尾あるみと七木香枝のふたりが、ゆる~く好きな本や映画についておしゃべりするラジオです。

9回目となる今回は、神尾さんの新刊『ようこそ紅葉坂萬年堂』(小学館文庫キャラブン!)刊行記念ということで、万年筆を中心に文具トークと勤しみます。……勤しみすぎて、延長に延長を重ねてしまったので、全5回構成となりました!

【2020.11.8】1/5 神尾のデイリー

もっとみる
出張とインク沼、ささやかなお祝い

出張とインク沼、ささやかなお祝い

ちょっと前、また出張で県外へ向かった。
会社勤めでなくなってから、どのような格好をして仕事に向かうのかと考えることが増えた。どうして服について悩むかというと、仕事先が自分なりのお洒落を知っていて、身に纏うもので自分の見せ方を心得ている人たちだということも大きい。
夏にも似たようなことで一度考え込んだけれど、しばらくは季節の変わり目ごとに頭を悩ませることが続くような気がしている。

会社という分かり

もっとみる
会社を辞める、そして本を贈る。

会社を辞める、そして本を贈る。

はじめて勤めた会社を退職したとき、何度か送別会をしてもらった。
ずっと行ってみたいなと思っていたちょっといいお店でのことだったり、いそがしい間を縫って個別にお食事の場を設けて貰ったり……。
関係性によって御礼の仕方はさまざまになったけれど、ぐるぐる考えた結果、同じ部署で働いていた人たちには、ちょっとしたお菓子と一緒に本を贈ることにした。

以下はそんな、退職時に贈った本の紹介です。

1.フェアな

もっとみる
インク交換会用にオリジナルラベルを作ったよという話【テンプレート付き】

インク交換会用にオリジナルラベルを作ったよという話【テンプレート付き】

インク沼の浅瀬に立つようになって、そこそこ経ちました。

インク沼とは、万年筆やガラスペンにはまった人が陥る沼の一つで、その名の通り数多あるインクに魅了されて買い集めるうちに、あれよあれよという間にずぶずぶと幸せな沼に沈んでいってしまう……といった状態のことを指します。

何せ、万年筆やガラスペンのインクは、たとえば「青」一つをとっても、その濃淡やニュアンスはほんとうに様々。今はラメの入ったシマー

もっとみる
うつろう季節とすみれ色の万年筆、告知

うつろう季節とすみれ色の万年筆、告知

陽が高いうちに外出したら、暑さが和らいでいた。まだ日中は夏の名残を感じもする地元だけれど、陽射しの柔らかさと影の静けさに驚く。もう秋なんだなと肌で感じると、少しだけ息がしやすくなるからいい。

季節のうつろいを感じるとともに、新しい万年筆がやってきた。
ずっといいなと思いつづけていた、ペリカンのスーベレーン M600 バイオレットホワイトのF(細字)。はじめてのペリカン、はじめての吸入式!

まろ

もっとみる
『大人だって読みたい!少女小説ガイド』七木担当作品リスト

『大人だって読みたい!少女小説ガイド』七木担当作品リスト

11/19発売の嵯峨景子・三村美衣・七木香枝編『大人だって読みたい!少女小説ガイド』(時事通信出版局)の告知です。

今回は、3人の編者が作った全179作品のリストのうち、私が執筆を担当した50作品を一覧にしてご紹介します。

ガイドの詳細については、前回のnoteをご覧ください。おすすめポイントごとに、さっくり分かりやすくまとめてご紹介しています。

まずはこちらのリストをどうぞ
嵯峨景子さんご

もっとみる
無花果のホットサンド、薄くて軽やかなもの

無花果のホットサンド、薄くて軽やかなもの

無花果が並びだすと、夏の終わりを予感する。
もうそんな季節かと思いながらしばらくして、今年初の無花果を買った。

シンプルにそのまま食べるつもりで買ったのだけど、ふと思い立って、お昼ご飯にしてみた。無花果とクリームチーズのホットサンド。
まあ悪くはない組み合わせでしょうね、と一口囓ったら、予想していた以上においしくて、まあ……! としばし放心してしまった。まあ、としか言いようのない味だった。果肉の

もっとみる
2020.8.25-30 付箋とプレイフルな色、なくしものとホテルステイ

2020.8.25-30 付箋とプレイフルな色、なくしものとホテルステイ

ここのところ、人生で一番というくらい付箋を消費している。
付箋は、使う前に糊がついていないほうを指の腹でぐっと押すようにして立ち上げて準備をする。ほんの少し浮き上がったところを弾くように撫でながら、ときどき一枚ずつ剥がして本の間に貼る。その感じが当たり前のようで新鮮に感じられるのは、たぶん、あまり付箋を使ってこなかったせい。

付箋はいつも、万年筆とインク瓶が描かれた小皿に入れている。墨っぽいイン

もっとみる
2020.8.17-22 文章のひきだしと飽和する本棚、気晴らしとカッサータ

2020.8.17-22 文章のひきだしと飽和する本棚、気晴らしとカッサータ

世間ではいつまでのことを指すのかはっきりとわからないうちに、お盆期間が終わった。これはおそらく明けたんだろうな、と分かったのは、ホテルのライティング仕事が無事にフィックスしたから。

この仕事では、おいしい食事やホテルで過ごす素敵な時間についてけっこうな分量を書いたのだけどリライトもなく、少し心配になってしまうくらいにスムーズに終わった。こういう仕事では、ちょうどいいところにおさまりすぎず、すこし

もっとみる
2020.8.10-16 オーバーナイトオーツとすずらんボウル、初秋の告知

2020.8.10-16 オーバーナイトオーツとすずらんボウル、初秋の告知

本当はリゾートホテル(ではたぶんない)での出張についてなど、週間日記の下書きもしていたのだけど、ぽっかりと間が空いてしまった。ぜんぶ夏がわるい。

出張は、iPad mini+Bluetoothキーボードという組み合わせが妙に受けたのが面白かったな。代わる代わる覗き込まれるので、自分のための取材メモを見られてしまうのはちょっと恥ずかしかったけれど。
そういう仕事であったので、出張中はひたすらもぐも

もっとみる
2020.7.13-7.18 あたらしい私の色とクランブルケーキ、「よるのこえ」

2020.7.13-7.18 あたらしい私の色とクランブルケーキ、「よるのこえ」

暑さがいや増してきた先週は、すっかりリモートのつもりでいた仕事が生身でのことになったので、慌てて準備をしていた。

思いのほか大変だったのは、会社勤めではない「私」にちょうどいい服装を探すことだった。ゆるふわ無職になったときに、えーい、とそれまで仕事のときに来ていた服をばっさり断捨離したことや、会社勤めをしないでいた間に価値観が変化していったことも影響して、あたらしい「私」に塗る色をなかなか決めき

もっとみる
2020.7.6-11 雨音のまどろみ、通りすがりの珈琲、チョコレート色に染めた髪

2020.7.6-11 雨音のまどろみ、通りすがりの珈琲、チョコレート色に染めた髪

雨の降る夜に小窓を開けていると、家の外壁を伝い落ちる雨粒が大きくなったな、と感じられるときがある。そのすべるような跳ねるような音が好きで、雨の日は小窓を開けている。

週の初めも、そんな夜だった。さらさらにほんの少しざらっとした感触の混じるシーツの上で肌を泳がせるようにしながらうたた寝するうちに、雨粒の滴りはどんどんくっついて連なって。まどろみがちに雨音を楽しんでいると、次第に窓の外はざわつくよう

もっとみる
#7 かみおとななきのゆるふわラジオ

#7 かみおとななきのゆるふわラジオ

こんにちは。七木です。
神尾あるみと七木香枝のふたりが、ゆる~く好きな本や映画についておしゃべりするラジオも7回目となりました。

ゆるふわなラジオですので、今回はちょっと雑談が多めです。
今回は、それぞれおすすめの漫画を紹介しました。

【2020.7.11】前編 神尾のおすすめ 木々『魔法使いリド&シドシリーズ』(幻冬舎コミックス)前編では、神尾が 木々『魔術使いリド&シドシリーズ』全9巻(幻

もっとみる
2020.6.29-7.3 気づけば育つ本の山、再読の夏

2020.6.29-7.3 気づけば育つ本の山、再読の夏

ベッドの積ん読本の山がすこやかに育っている。厳密には、近々読みたい再読本も積ん読にさし込まれている。
いまの家に越してからは、寝る前に読む本を置くくらいで積んではいなかったはずだった。なのに、ふと気づけば山ができていた。中高生のときはベッドの半分を本の山で埋めていて、それなりに眠れてしまうのでしばらくそのままだった。しかし長じるにつれて私にも分別がついたので、もう一列増やすのはかたく禁じている。上

もっとみる
名字が変わるまで知らないでいた、透明なかなしみについてのこと

名字が変わるまで知らないでいた、透明なかなしみについてのこと

数年前、家族の希望で名字が変わった。
いろんな都合があってのことだったけれど、もともとは、結婚で改姓した母の「自分の名前に戻りたい」という気持ちに端を発したことだったので、私は反対しなかった。それはそうよね、と思って。多少不便だけど、その気持ちはわかるなと思ったのだった。

「名前が変わってしまうこと」について自分があまりに無自覚だったなと気づいたのは、届けが受理されてもとの名前に戻ったと喜ぶ母に

もっとみる