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本棚の外側で

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本以外のすきなもの、買ってよかったもの、あるいはお酒などなどについて。
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インク交換会用にオリジナルラベルを作ったよという話【テンプレート付き】

インク交換会用にオリジナルラベルを作ったよという話【テンプレート付き】

インク沼の浅瀬に立つようになって、そこそこ経ちました。

インク沼とは、万年筆やガラスペンにはまった人が陥る沼の一つで、その名の通り数多あるインクに魅了されて買い集めるうちに、あれよあれよという間にずぶずぶと幸せな沼に沈んでいってしまう……といった状態のことを指します。

何せ、万年筆やガラスペンのインクは、たとえば「青」一つをとっても、その濃淡やニュアンスはほんとうに様々。今はラメの入ったシマー

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名字が変わるまで知らないでいた、透明なかなしみについてのこと

名字が変わるまで知らないでいた、透明なかなしみについてのこと

数年前、家族の希望で名字が変わった。
いろんな都合があってのことだったけれど、もともとは、結婚で改姓した母の「自分の名前に戻りたい」という気持ちに端を発したことだったので、私は反対しなかった。それはそうよね、と思って。多少不便だけど、その気持ちはわかるなと思ったのだった。

「名前が変わってしまうこと」について自分があまりに無自覚だったなと気づいたのは、届けが受理されてもとの名前に戻ったと喜ぶ母に

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HiGH&LOW THE WORSTの衝撃で退職日が決まった話

HiGH&LOW THE WORSTの衝撃で退職日が決まった話

ゆるふわ社畜として数年を過ごしていた私の退職日が決まったのは、昨年夏に辞意を告げてから延びに延ばされ、実は人事まで話が通ってなかったと知った秋を過ぎ、本当ならば有給消化中のはずだった年末。
忘れもしない、『HiGH&LOW THE WORST』を観た直後のことだった。

そもそも私が『HiGH&LOW THE WORST』(通称ザワ)を知ったのは、ゆるふわ社畜ぶりが極まったせいでタイムラインを追う

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おうち時間には甘くて素敵なものが必要ですという話

おうち時間には甘くて素敵なものが必要ですという話

このところ、おいしいもので命を存えさせている。
もともと食べることが好きだし、何かいいことがあったりつらいことがあると、ご褒美や慰めとして「何かちょっと素敵なもの」を用意するのが常だった。何気なくしていたことが存外に気持ちを引き立ててくれていたんだな、と気づいたのは、おうち時間が増えてからのことだった。

……ということで、おうち時間のうるおいとしてここのところ縋ってきた、「ちょっと素敵で、おいし

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私に呪いをかけたあの子の行方を、いまはまったく知らないけれど

私に呪いをかけたあの子の行方を、いまはまったく知らないけれど

鏡を見るのは勇気がいる。毎朝、勇気をふりしぼるようにしてこわごわと覗く銀色の四角には、眠たげでゆううつそうな私がいる。
そうして鏡の中に自分を見出すとき、いつしか私は(あなたの顔がよく見えない)とぽつんと思うようになっていた。自分の顔がいったいどんなのもので、肌の明るさだったり何が似合うのかということすらも、なんだかよくわからなくなってしまっていた。

気にしていないようでいて、その実私にも自分が

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本棚の前に花を挿す

本棚の前に花を挿す

「あなたのイメージだったから」とか「何となく目にとまったから」と添えられて、思い出したように花を一輪いただくことがときどきある。
その都度、家にあるありあわせの瓶に挿すのがしのびなくて、ずっと花瓶を探していた。

私の部屋に合うデザインで、いろんなお花に似合いそうで。あまり場所をとらなくて、でもいつも目に入るところに置けるようなもの。そして、机に積んでいる本がなだれてしまっても恐ろしい思いをしなく

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