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2020.8.17-22 文章のひきだしと飽和する本棚、気晴らしとカッサータ

世間ではいつまでのことを指すのかはっきりとわからないうちに、お盆期間が終わった。これはおそらく明けたんだろうな、と分かったのは、ホテルのライティング仕事が無事にフィックスしたから。

この仕事では、おいしい食事やホテルで過ごす素敵な時間についてけっこうな分量を書いたのだけどリライトもなく、少し心配になってしまうくらいにスムーズに終わった。こういう仕事では、ちょうどいいところにおさまりすぎず、すこし背伸びをして手に入れたくなるような素敵さを余白やことばに託した文章が書けるので、楽しい。

素の文章にはない色を乗せる仕事であったので、リライト依頼が来るのかそわそわしていた間にも開けっぱなしにしていた文章のひきだしを、次の機会がくるまでに一旦閉めた。継続していただけそうなので、ひきだしの空いているところにはことばを増やしておかないといけないな、と思いながら。

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いま頑張っている原稿に必要な本を取り出すのに、ここのところ本棚に手を突っ込んでいる。本好きあるあるな可動棚が移動する場所も本で埋まっている状態の本棚から、机の下にくっついている本棚、開けっぱなしの扉付き本棚の間を行き来して、時に床に積んだ山を崩している。

時には、何度本棚に手を突っ込んでもなぜか出て来ない本もある。その中には、地元の図書館で除籍になっているものもある。いっとき働いていた身なりに頭では分かってはいるものの、かつて借りたはずのものがなくなっていることを知ると、さみしさを覚えもする。同時に、大学院にいたときは、雑誌やいわゆる「読み捨て」と判断されることのある本が、都会に比べて地方では残りづらいことが身に染みてつらかったことも思い出す。すべてを守ることはできないと分かっている上で、それでも。もういなくなってしまった本が、除籍本を持って帰ることができるイベントで、誰かの手に貰われていっていたりしていたらいいな、と思った。

気づかないふりをし続けていたけど、もうとっくに部屋の本棚は飽和している。いまは資料本を取りあえず出して数カ所に積んでいることもあって、床に本の山がぽこぽこ生まれている。幅180cmの机上も、1/3くらいが本になっている。おかしいな。引っ越したときには本棚に隙間があったのに。

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加工でごまかしているけれど、前の家ではこの写真みたいな状態だった。120cm幅の本棚とガラス戸付き本棚ふたつ、無理やり足した可動棚のある本棚がぱんぱんで、それぞれの前に腰~胸のあたりほどの山を数列ずつ連ねていた。そういう環境だと、文字通りうずたかく積まれた本の山に囲まれて寝ることになる。おのずと、地震のときには上から本が降ってくる。強い地震のときなどは、本に埋もれて死んでいるのでは? と危ぶんだ家族から「生きてる?」と生存確認をされていた。

さすがに反省して、引っ越しのときには悲しみながらもなんとか本を減らした。こんなに本を減らすだなんて、とうとう私にも焼きがまわったのね……などと思っていたはずなのに、本は増殖し続けている。電子書籍も買っているのにな。

そうそう、電子書籍といえば。iPad miniのことは愛してるけれど、この頃、小説の電子書籍を立て続けに読むのは苦しいという悩みがでてきた。もっと気軽に電子で小説を読みたいと思って、Kindle Paperwhite を検討している。ゆるふわ無職なのに、欲しいものがどんどんでてくる。おやばい。

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概ねふわふわ気楽に過ごしているものの、毎日ずっと家にいると、自分という存在とは……? などと考えてしまって気持ちが沈むことがときどきある。引き籠もるのは得意だと思っていたし、ゆるふわ無職でいることに開放感を感じているけれど、どうやらそれなりにへこんだりもするようで。そっか、そうなんだな。と、自分の心の動きを見つめていたりする。

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あまりに煮詰まったら、ジョーマローンのバスオイルとお気に入りの紅茶と資料を鞄に詰め込んでホテルに出掛けたり、カフェで資料読みをしたりして気分転換をしている。トーンが統一された空間で、バルミューダのケトルを使ったりお風呂に入りながら海外ドラマを観たりするなど、ホテル遊びは楽しい。ほとんどは原稿をしているけど。

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ゆるふわ無職なので、来週こそは役所(とできればハロワ)に行かなくてはならない。のだけど、目の前の原稿と、何より暑さの前に倒れ伏している。どちらも行きづらい場所な上に大変密なので、とても、とても行きたくない。思いだしてはため息している。

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実は、ちょっと前に一度、今日こそは行こうとチャレンジしてはいる。しかし、あまりに嫌だったせいか、気づけば身体はこの頃お気に入りのカフェへと向かっていたのだった。ぜんぜん違うところに来ちゃった。来ちゃったものはしかたないね。と自分を盛大に甘やかして、カッサータでおいしく涼んだ。来週こそは、せめて手続きだけはしに行かないと。


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